2015年8月2日 (日) 掲載

◎待望の新拠点オープン

 函館市が新たなスポーツ・文化の拠点として建設を進めてきた函館フットボールパーク(FP、日吉町4)と函館アリーナ(湯川町1)が1日、同時オープンを迎えた。両施設でそれぞれ開場記念式や市民イベントなどが行われ、大勢の市民が供用開始を祝い、地元のスポーツ競技のレベル向上を誓った。

 FPでは午前11時半から開場記念式が開かれ、工藤寿樹函館市長やサッカー、ラグビー関係者ら約130人が出席。テープカットと始蹴式を行い、待望の大型スポーツ施設の門出を祝った。

 式典では、工藤市長が「各種スポーツ大会や合宿の誘致を図り、さらなる交流人口の拡大に努めてまいりたい」とあいさつし、「子どもから大人まで幅広いご利用によってスポーツの振興が図られるとともに、市の活性化につながる」と述べた。

 FPは既存の日吉サッカー場と一体化した屋外運動場で、道南最大数のグラウンドを有する。2014年5月から旧北高跡地で新設工事に着手。総事業費は約15億円で、敷地面積は約9万9500平方㍍。サッカーとラグビーがプレーできる多目的グラウンド(68㍍×120㍍)2面とフットサルコート(18㍍×38㍍)3面を新設し、いずれも人工芝を採用。中でも多目的グラウンドは日本サッカー協会(JFA)公認規格の検定を合格し、全国、プロレベルの試合の開催が可能だ。

 FPでは今後、ラグビーの北海道小・中学生大会(9月)や10月にサッカーの高校選手権大会北海道大会など、全道規模の大会が開催される。

 函館アリーナでは、オープン記念試合を2日に行うプロフットサルチーム「エスポラーダ北海道」の選手らが参加し、道南の子どもたち100人とダンスやフットサルを楽しむイベントが行われた。

 2日午後1時から行われるFリーグ公式戦第15節、エスポラーダ北海道—アグレミーナ浜松戦を盛り上げようと企画。

 参加した子どもたちは前半、サッカーJリーグ・コンサドーレ札幌のダンスチーム「コンサドールズ」の指導を受け、エスポラーダの選手らと一緒に「ジャガイモ機関車」のダンスに挑戦。2日のハーフタイムにこの踊りを披露するため、真剣に動きを確認した。

 その後、ゲームやスピードガンで蹴る早さを競い、ドリブルのタイムレースなどを楽しんだ。上磯小6年の泉毅君は「サッカーがうまくなりたくて参加した。ダンスもプレーも選手が盛り上げてくれて楽しかった」と話していた。



◎道新幹線、2新駅に「開業準備駅」

 【北斗】来年3月の北海道新幹線に向けて、JR北海道は7月31日付で新函館北斗駅と木古内駅にそれぞれ「開業準備駅」を設置、1日に両駅で開駅式を行った。両駅では今後、訓練運転や設備の設置・点検などの準備に当たる。

 新函館北斗駅では午前11時20分から、関係者20人が参加して開駅式を実施。安全祈願祭に続き、JR北海道新幹線推進本部長の小山俊幸常務は「北海道の新しい玄関口として安全で確実な開業準備を進め、地元民に愛されるような駅を目指す」とあいさつ。開業準備駅の鳴海正駅長は「スタッフ一丸となって開業準備に取り組み、北海道らしい駅にしたい」と決意を表明した。

 続いて除幕式が行われ、「新函館北斗開業準備駅」と表記されたアルミ製のプレート(縦30㌢、横50㌢)がお披露目された。同駅には7人が配置された。

 一方、同日午後2時20分からは、木古内駅でも開業準備駅で式典を実施。2日には青森県の「奥津軽いまべつ駅」でも開かれる。木古内には5人、奥津軽いまべつには4人が配置される。

 また、JR北海道は7月31日付で、運輸部の付属機関として「新幹線運行管理センター」を設置。運転や車両点検を行う「新幹線準備運輸車両所」を「函館新幹線総合車両所」に名称変更した。新幹線関連の主な地上設備の管理は1日に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から引き継いだ。(毛利祐一朗)



◎五稜郭跡の兵糧庫を一般公開

 国の特別史跡・五稜郭跡にある兵糧庫の一般公開が1日、始まった。箱館奉行所跡の発掘調査で出土した陶芸製品などを展示しており、初日から多くの観光客が訪れた。31日まで。

 兵糧庫は1864年ごろに土蔵として建設。五稜郭建造当時から唯一現存している建物で、大正時代には「懐旧館」の名称で箱館戦争の展示資料館として利用されていた。その後も解体を逃れ、数回の補修工事をしながら現代に受け継がれている。一般公開は毎年この時期に実施している。

 庫内には皿や瓶など遺物数点のほか、箱館戦争時に砲撃を受けて爆沈した明治新政府の軍艦「朝陽」の竜骨の一部などを展示。また、兵糧庫の歴史を紹介するパネルも設置している。管理する箱館奉行所の田原良信館長は「建設当時の柱もしっかりと残っており、多くの人に五稜郭の歴史の一端を感じてもらいたい」と来場を呼び掛けている。

 千葉県から訪れた主婦、八木沼恵さん(42)と娘の結戸さん(12)は「普段見られないものばかりで感動した」と話していた。

 公開時間は午前10時から午後3時まで。入場無料。(蝦名達也)


◎だしソムリエ協会、コンブ漁を見学

 だしソムリエ協会(東京、鵜飼真妃代表)は1日、函館市南茅部地区を初めて訪れ、マコンブ漁を見学した。和だしの代表的な素材のコンブの生産現場を知るため、ツアーを組んで全国から27人が参加。最高級のだしがとれる南茅部産マコンブの魅力を肌で感じ取った。

 協会は2010年に設立。だしソムリエ検定(1〜3級)を行うなどして天然だしの文化継承に力を入れている。だしをテーマにしたツアーも行っており、コンブの現場ツアーは2013年の根室管内羅臼町に次いで2回目。今回は函館をはじめ、札幌、仙台、東京、名古屋、広島などから有資格者や認定講師が参加。南かやべ漁協(鎌田光夫組合長)が協力した。

 一行は午前5時から、臼尻漁港で養殖コンブの水揚げ作業を見学。漁協の吉崎欣也常務が、浜の苦労や工夫を説明した。参加者は肉厚で幅も広いコンブを手に取りながら、真剣な表情で耳を傾けていた。

 鵜飼代表は「人手不足が課題になっていると聞き、もっとコンブ漁が魅力ある職業だということを広く知らせれば、後継者育成につながるのでは」と話した。

 ジャズ歌手で、食の専門家と二足のわらじを履いている亜樹山ロミさん(東京)は「養殖ロープの太さやコンブの根っこなど、現場に来て初めて知る面白さがたくさんあった。本物のだしの良さを広めていきたい」と笑顔を見せた。(山崎大和)