2015年8月20日 (木) 掲載

◎函水高・阪内さん全国優勝…水産・海洋高校食品技能コン

 函館水産高校水産食品科3年の阪内楓さん(17)が、7月22、23日に東京海洋大で開かれた「第13回全国水産・海洋高校食品技能コンテスト」(全国水産高校長協会主催)で総合優勝を果たした。北海道地区の出場者が全国優勝するのは初めて。阪内さんは「上位に入賞できればと思っていたが、まさか優勝できるとは。うれしい」と喜びを語っている。

 コンテストは、水産・海洋高校の食品系学科に通う生徒の専門的な知識と技術の向上を目的に毎年開かれており、今回北海道地区からは阪内さんと小樽水産高生徒の計2人が参加。全国13校の精鋭15人が力を競った。

 筆記(100点満点)は、水産・海洋高校で習得する範囲を網羅した食品技能検定がベースになっており、海洋生物の分類や専門用語の意味を記述する問題などが出されたという。

 このほか、アジのたたきを作る基本実技(50点)、中和反応を用いて酢の濃度を調べる「中和滴定」を行う応用実技(同)を実施。初の大舞台にも「基本実技は時間を目いっぱい使い、今までで一番良い出来だった」と阪内さん。筆記は2位、実技は4位で終え、合計点で見事、快挙をつかみ取った。

 アルバイトや部活動の合間を縫い、コンテスト直前の放課後に実技対策を講じた。中和滴定は同校品質管理流通科の教諭が指導するなど、全校で阪内さんをサポート。指導した星澤克幸教諭(42)、岩岬(いわさき)耕平教諭(30)は「総合2位とは1点差の僅差。丁寧さで1点をもぎとってくれた」とたたえる。

 製造業への就職を目指し、面接練習に励む阪内さん。「優勝は自信になった。作業の細やかさを要する食品業界にアピールしたい」と笑顔を輝かせた。(稲船優香)



◎縄文期の地形、堆積土検出…垣ノ島遺跡調査

 函館市教委は19日、南茅部地区の国史跡、垣ノ島遺跡(臼尻町)の本年度発掘調査の進捗状況を公表した。祭祀(さいし)・儀礼の場と考えられる「コ」の字形をした盛土遺構に関し、これまで未調査だった7カ所などを掘り下げたところ、南西部と南東部から縄文時代当時の地形が、北東部は畑耕作時に削平を受けたとみられる堆積土が検出されたと報告。市教委は来年度中に、2013年度から4カ年分の調査報告書を作成するため、引き続き効果的な現地調査に努めるとした。

 同日開かれた史跡垣ノ島遺跡調査検討委員会(議長・菊池徹夫早稲田大名誉教授)で明らかになった。

 市は同遺跡の将来的な整備に向け、12〜13年度の2カ年で土地を公有化。発掘調査を進め、遺物の検出や遺跡の性質を調べている。市教委によると、盛土は縄文時代中期末(約4200年前)から後期初頭(約4000年前)にかけて使われ、全体面積は約2万平方㍍、最長160㍍以上に上るという。

 本年度の調査では、盛土と削平部(コの字の内側)との境界を確認し、全体の範囲を特定するため盛土の裾部分7カ所と盛土同士が接する2カ所を採掘。また、昨年調査した3カ所を拡張し、地質を確認した。

 盛土の南西部と南東部から火山灰を含む盛土堆積土を検出し、南東部の端からは近くを流れる垣ノ島川に向かい、大きく傾斜する当時の地形を確認。同日、同委員による現地視察も行われ、堆積土の状態や盛土の形状をくまなく見て回った。

 会合では盛土の基底面や規模を明確にするため「調査地区のポイントを絞り、もっと深く掘り起こせないか」などと意見が上がった。市教委は来年度中に4カ年分の調査報告書を作成するほか、遺跡全体と盛土の旧地形図の作成、委託事業として遺跡内の竪穴住居群の地形測量を実施する予定だ。(蝦名達也)



◎「市民交流プラザ」整備設計業務事業者に乃村工藝社選定

 函館市は19日、市内本町の旧グルメシティ五稜郭店跡地で建設中の複合ビルに整備する「市民交流プラザ」の整備設計業務事業者に乃村工藝社(東京都港区)を選定したと発表した。若者世代を中心とした創作活動のほか、新たな発信などを行う活動を支援するための空間活用や運営計画を高く評価した。

 マンション併設の地上19階、地下1階建てとなる複合ビルは、本町地区の集客拠点として整備し、2017年3月の完成を予定。市が整備する同プラザは4階に入居する。設計業務事業者はプロポーザル方式で公募し、3者が応募。整備基本計画策定業務も担当した同社を最適提案者に選定した。

 提案では、施設の基本コンセプトの「函館のまちを舞台に未来を創る人たちを育む場」に沿って、多目的に活用できる空間を最大限に利用。施設を訪れた若者同士が興味を持ちやすいプログラムやプロジェクトの企画・運営を支援する活用案などを示した。また、内装には道南杉など地元素材を使用し、倉庫や石積の防波堤など、函館の既存資源をイメージした空間とすることなどを盛り込んだ。

 設計業務の成果品は年内に市に提出。市は16年度予算に整備事業費を計上する方針。市経済部中心市街地再生担当は「函館の魅力を高め、若者たちが希望を見いだせる施設を目指している。若者たちが興味を持って取り組める提案があった」としている。(今井正一)


◎う〜みさん22日に新アルバム

 函館出身の歌手う〜みさんがデビュー15周年を記念したCDアルバム「時の流れに身をまかせ」を22日に発売する。自らの音楽の原点で、幼少期からあこがれ続ける故テレサ・テンの名曲をカバーし、オリジナルのラブソングも収録した。「自分がいま歌いたい曲、聞いてもらいたい曲を入れた。『何度聞いてもいいよね』と思ってもらえる1枚になれば」と話している。

 う〜みさんは2000年にCDデビュー。高知や関西での活動を中心にこれまで11枚のCDアルバムをリリース。デビューからを振り返り「『千と千尋の神隠し』のイメージソングや海外でのコンサート、作曲活動も含めて、ずっとラッキーが続いている」と笑う。

 自身15周年の節目と、テレサ・テンの没後20年が重なった。10年ほど前には墓参のため台湾を訪れたほか、アジア各国で歌い継がれていることを感じた。「彼女の歌はアジアのどこにいっても人気で愛されている。言葉は違っても聴いた人は同じ気持ちになれる力や可能性を持っている」とし、国境や世代を超えて愛される名曲を原曲のイメージ通りに歌い上げた。

 タイトル曲以外にも自ら作詞・作曲を手掛けたオリジナル曲を収録した。「あの夏の終わり」は活動の軸足を置く高知の「よさこい祭り」のにぎわいが終わり、人々が元の日常に向かう切なさを込めた。

 今月中旬には同じ函館出身の歌手大石まどかさんと高知県内で共演する機会があり、さまざまな刺激を受けた。「今まで通りの活動を続けながら、アジアの国々に歌いに行きたい。どこに行っても同郷の人たちの応援がありがたい。これからも函館に帰る度に恩返しができる活動を続けたい」と話している。

 個人レーベル「う〜みの世界社」から発売。価格は2000円(税込み)。22日午後2時からは発売記念ライブを函館蔦屋書店で開く。入場無料。(今井正一)