2015年8月23日 (日) 掲載

◎北斗星 函館駅に最後の雄姿

 JRの寝台特急「北斗星」が22日、運行最終日を迎えた。半世紀以上の歴史に幕を下ろす「ブルートレイン」の最後の勇姿を目に焼き付けようと、JR函館駅には鉄道ファンら約300人が詰め掛け、手を振りながら別れを惜しんだ。

 北斗星は1988年、青函トンネルの開業とともに運行を開始。上野—札幌間1214㌔を約16時間で結んだ。車体の老朽化や北海道新幹線開業などの影響で引退が決まり、今年3月のダイヤ改正以降は臨時扱いとなり、週3日ほど運行していた。

 上野行きの最終列車として、札幌を22日夕に出発した北斗星は午後9時6分、函館駅に到着。客車11両をけん引してきたディーゼル機関車の切り離し作業などを行った。汽笛を鳴らして出発する際には、ファンから「ありがとう!」との声が上がっていた。

 昨年12月に北斗星に乗車したという愛知県常滑市の会社員、大谷和樹さん(21)は下り最終列車を札幌で見届け、普通列車を乗り継いで函館入り。「最後のブルートレインの姿は感慨深い。27年間お疲れさまと声をかけたい」と話した。 (稲船優香)



◎訓練運転初日に不具合 ポイント切り替わらず 道新幹線

 JR北海道は22日未明、来年3月の北海道新幹線開業に向け、乗務員の訓練運転を始めた。新函館北斗駅で運転士が指導員と共に北海道新幹線車両「H5系」に乗り込み、営業運転を想定した訓練を実施。初日は、ポイントが切り替わらない不具合が発生したため途中駅で折り返し、予定していた新青森駅までの運転を取り止めた。

 同社はこの日、新函館北斗駅で訓練運転の様子を報道陣に公開した。函館新幹線総合車両所所属で、訓練運転の〝始発列車〟の運転士を務めた前田祥平さん(33)は、「今までにない緊張感がある。しっかりと運転技術を向上させ、開業までに万全の準備をしたい」と抱負を述べた。

 午前1時過ぎ、前田さんが運転する車両が先行し、10両の新幹線車両2編成が新青森駅に向けて出発。木古内駅に途中停車し、青函トンネル通過後、同1時45分ごろに奥津軽いまべつ駅で進路を転換するポイントなどに不具合が生じたため、同駅で引き返し、新函館北斗駅に戻った。

 同社によると、故障部分に対して正常に動くよう処置を行ったため、23日以降は予定通り週4回程度、新函館北斗—新青森間で訓練運転を行うという。同社広報部は「今後もさまざまな事象を想定し、安全運転に努めたい」としている。

 訓練には運転士約30人が参加。9月以降は車掌20人も加わって車内放送や駅到着時のドアの開閉、ホーム柵の操作を行い、本番に向けた準備を進める。 (山田大輔)



◎夜空に大輪 行く夏惜しむ 湯の川温泉花火大会

 第50回湯の川温泉花火大会(実行委主催)が22日、函館市の松倉川河口海岸付近で行われた。スターマインなどが打ち上がり、晩夏の函館を彩った。

 河内孝善実行委員長が「来年3月にいよいよ北海道新幹線が開業する。湯の川温泉も一層の努力をし、観光客を迎えたい。今夜は花火を楽しんでください」とあいさつし、打ち上げ開始。

 2部制で30プログラム、約3000発の打ち上げを予定していたが、日中に設置した一部の花火に高波がかかり、打ち上げができなくなったため、内容を変更した。夜空に咲いた大輪に、松倉川周辺などに集まった観光客や市民が歓声をあげて見入っていた。 (山崎純一)


◎環境、自然 興味尽きず 国際科学祭が開幕

 「はこだて国際科学祭2015」(サイエンス・サポート函館主催)が22日、五稜郭タワーなどで開幕した。環境をテーマに、子どもから大人まで科学の魅力を楽しめるイベントやワークショップを繰り広げる。30日まで。

 五稜郭タワーアトリウムには、3つの科学屋台が登場。自分の声を音源にした「ラップ製造マシン」や、ヒグマの生態を伝えるブースが人気を集めた。愛知県春日井市の神坂沙渚(さな)さん(8)と、いとこで札幌市の舟橋心菜さん(同)はヒグマの毛皮に恐る恐る触れ、「肉球が固くてびっくりした」と目を丸くしていた。

 オープニングイベントの「サイエンスダイアログ」では、渡島総合振興局保健環境部環境生活課自然環境係の荒井一実主任、七飯町のハンター金森春菜さんをゲストに、野生動物とのより良い付き合い方を考えた。

 荒井さんは「ヒグマは本来大人しい性格だが、人間が不用意に落とした菓子などの味を覚え執着する」とし、「エゾシカは全体数が減れば被害も減るが、ヒグマは問題を引き起こす個体がいる限り、数を減らしても被害は減らない」と指摘した。

 金森さんは、ハンターとしての経験を踏まえ「道南は、都市と自然の距離が近いのが特徴。人間がマナーを守れば被害は減ると思うので、どうすればいいか一緒に考えよう」と話した。

 23日は「青少年のための科学の祭典」「函館高専メカニズムフェスティバル」(いずれも千代台公園陸上競技場、午前10時〜午後3時)などが行われる。 (稲船優香)