2015年8月25日 (火) 掲載

◎先人の功績に触れて、木村さん「願乗寺川物語」出版

 市立函館博物館友の会理事で、北海道史研究協議会会員の木村裕俊さん(67)=函館市東山=はこのほど、函館のまちの原形を築いた人たちの活躍をオムニバス形式でまとめた「願乗寺川物語」を自費出版した。木村さんは「先人の功績や人生観、時代感に触れてもらえれば」と話している。

 木村さんは江差町生まれ。鉄道建設技術者として活躍し、2008年に定年退職。函館に戻り、歴史学に力を入れ、13年に初期の松前家の家史を記した「新羅之記録(しんらのきろく)」を現代文に訳して出版し、函館文化会が郷土史研究を表彰する神山(こうやま)茂賞奨励賞を受賞した。

 本のタイトルとなっている第1編は、江戸末期に亀田川を分流させ、人工の「願乗寺川」を開削した僧侶の堀川乗経と土木技術者の松川弁之助、そして願乗寺川の生涯をつづった。

 青森から渡った堀川乗経が浄土真宗の布教に苦労する中、亀田川の氾濫による水害と箱館の水事情が悪いことで、松川弁之助とともに亀田川から人工の川を引き入れることを考えた。現在の梁川町から十字街(末広町)までの約4㌔を堀り、飲料水を確保。人々の暮らしを潤わせたが、人口増加によって水質が悪くなったことなどで役目を終え、埋め立てられた。現在は高砂通となっている。

 木村さんは古地図などを調査し、川のルートや構造、功績、記念碑、埋め立て工事までをまとめた。「願乗寺川は今の函館が発展した大きなきっかけであったことを忘れてはならない」と話す。

 第2編は木村さんが「まちづくりの起点で別格的な存在。この人を外すことはできない」と話す高田屋嘉兵衛。北方開拓や箱館の土地開墾を行い、繁栄に導いた業績を紹介している。第3編は経済発展に尽力した豪商杉浦家で、初代の長男が病死したことで2代目杉浦嘉七を継ぐことになった「井原忠三郎」を取り上げた。第4編は公園や学校、病院など社会資本を充実させた渡辺熊四郎の一代記。

 木村さんは「大勢の人が資料の提供や、後押しをしてくださったおかげ。出版でき、恩返しができたと思う。市民に読んでいただき、函館の未来を考える機会としてくれれば」と願う。

 A5判、193㌻。税込み2160円。市内の主な書店で発売中。問い合わせは木村さん(TEL0138・55・0384)へ。(山崎純一)



◎駅前市有地、年明けにプロポーザル再実施へ

 函館市の工藤寿樹市長は24日の定例会見で、JR函館駅前の市有地を活用した再開発事業に関し、年明けにもプロポーザル(提案型公募)を再度実施する意向を明らかにした。市側から打診している企業もあるとし、事業者の動向を見極めて公募に踏み切る考え。

 隣接するJR北海道の土地と合わせた約1万平方メートルは本年度、函館地区バス協会に土地を無償貸与し、観光バスの臨時駐車場として活用。来年は北海道新幹線開業後イベントの会場として7~8月に使われることが決まっており、施設建設に着手できるのは同年9月以降となる。

 工藤市長は会見で「当面は焦って(活用し)、後々後悔したくない。重要な場所であり、中途半端なものはどうなのか」と慎重な姿勢を示しながらも「私どもから打診している企業もある。年明けのしかるべき時に、事業者の動向をみながらプロポーザルを実施したい」と述べた。

 駅前市有地をめぐってはは、大手住宅メーカーがホテルと飲食、物販の複合施設を建設する構想を市側に打診するなど、具体的な動きが出始めている。同市長は「複数社から(打診が)来ているとは聞いているが、今の段階では言えない」と明言を避けた。

 市は2009年に策定した土地利用方針で、隣接するJR北海道の土地と合わせた約1万平方メートルを売却か賃貸とすることを定めている。12年度に行った公募では地元の洋菓子製造販売業ペシェ・ミニョンが菓子工場を軸とした複合施設の整備を提案、市、JRの3者で事業協定を結んだが、建設資材高騰などが影響し、昨年5月に事業中止を決めている。

 また、北海道新幹線の開業予定日として来年3月26日が有力となっていることに関し、同市長は「JRから正式に話はないが、3月末の方が観光客にとっては良い環境で迎えやすい」と述べ、歓迎の意を示した。(千葉卓陽)



◎ブランド強化へキュウリ共選、JA新はこだてが新施設

 【北斗】JA新はこだて(畠山良一組合長)はキュウリ共同選別施設を北斗市中野通306に新設し、24日、現地で操業安全祈願祭を行った。道内のキュウリ産地で初となるFGフィルムという小袋詰めができる「ピロー包装機械」を導入、消費地ニーズに的確に対応する。

 国と市の補助金を活用し、事業費は1億740万円。昨年11月に着工、今年3月に完成・引き渡された。カメラ形状選別により日量11・2㌧を処理し、箱詰めする。別にピロー包装機械は1日1㌧を扱う。24日午後に試験稼働、25日から本格稼働する。

 同JA大野基幹支店によると、上磯地区を中心に抑制キュウリを作付け、今年は11月上旬まで580㌧の出荷を見込む。2014年度の作付実績は10・5㌶、販売高1億9000万円。

 式典には、約35人が参加。畠山組合長は「最新のキュウリ共選施設が完成した。面積を増やし、有効に活用したい」とあいさつ。高谷寿峰市長は「キュウリの一大産地を目指して努力を」と励ました。長尾信秀道議も祝辞を述べた。

 畠山組合長や高谷市長ら5人が起動スイッチを押すセレモニーもあった。最後に、市野菜生産出荷組合きゅうり部会の西村孝夫部会長が「キュウリの出荷シーズンを迎えた。今年は天候に恵まれて生育は順調。新たな機械で全国の消費地へ出荷できることを楽しみにしている。ブランド力の強化へ努力したい」と決意を話した。(山崎大和)


◎福島町長選、鳴海氏が出馬表明

 【福島】前町長の失職に伴う福島町長選(9月29日告示、10月4日投開票)に、元町役場総務課長の鳴海清春氏(59)が24日、出馬する意向を明らかにした。鳴海氏は「まずは町の信頼回復と、町民や同郷人の誇りを取り戻すことを最優先に進めたい」と話している。

 鳴海氏は前回(2012年8月)の町長選に続く2回目の出馬となる。前回は事前収賄容疑で逮捕・起訴され、町議会の不信任決議を受けて15日に自動失職した前町長の佐藤卓也被告に150票の僅差で敗れた。

 鳴海氏は任期満了で行われる予定だった来年の町長選に出馬する方向で準備を進めていた。「選挙時期は早まったが、前回の選挙後の3年間で体制を整えてきた」と話し、①人財育成②産業振興③定住・少子化対策④がんの予防対策⑤高齢者が安心・安全で暮らせる生活改善の整備—の5つの柱を政策に掲げる。

 鳴海氏は1956年、福島町生まれ。福島商業高校卒業後に町役場入り、町民課長や総務課長などを歴任。

 町長選に出馬を表明したのは、鳴海氏が初めて。(斎藤彩伽)