2015年8月27日 (木) 掲載

◎映画「函館珈琲」撮影始まる

 函館港イルミナシオン映画祭で2013年にシナリオ大賞最高賞を受賞した「函館珈琲(コーヒー)」の現地撮影が市内各地で行われている。ロケ3日目の26日は、原作者のいとう菜のはさん(45)も撮影に同行。函館の洋風アパートを舞台に、若者たちの日常を描く作品は、今年12月に開く同映画祭の公開を目指している。

 同映画祭シナリオ大賞受賞作の長編映画化は6作目。来年春には全国30〜40館で公開を予定する。

 撮影は23日、函館八幡宮でスタッフ、キャスト、同映画祭実行委員会(米田哲平委員長)のメンバーら36人による安全祈願でスタート。24日には、市民エキストラを交えて金森倉庫群などでロケ撮影を行い、25日と26日は緑の島近くの歴史的建造物内で撮影した。撮影は9月3日まで行われる予定。

 監督は新進気鋭の西尾孔志(ひろし)さん(40)。函館の街と人の印象について「映像作品などのイメージから、はじめは素朴な方々ばかりなのかなと思っていたが、とてもハイカラな人たちで驚かされている。市民エキストラも協力的で映画慣れしているのを感じた」と笑う。映画について「撮影は順調。人生のこれからについて真剣に迷い、考えている30〜40代の人たちのための作品。同世代に届けたいし、届いてほしい」と話した。

 原作者のいとうさんは、文章が映像化されていく様子について「自由に書いた私の好きな世界を美術さんがセンス良く再現してくださった。素晴らしい世界をつくってくださったことに感謝している」と笑顔。「映画の住人が函館の街のどこかで暮らしているように感じてくれたらうれしい。長く愛してもらえるような作品になりますように」と願いを込めた。(半澤孝平)



◎砂糖抜きソフトクリーム 函館酪農公社が原料提供

 本州の大手百貨店などで酢の専門店を展開するオークスハート(東京、内堀光康社長)は28日から、函館酪農公社(函館市中野町、柴田満雄社長)が提供する原料を使った砂糖不使用のソフトクリームをJR東京駅の構内で新発売する。はちみつや酢などを加え、牛乳本来の味を引き出したのが特徴で、内堀社長は「北海道新幹線開業を前に、東京駅で函館の乳製品の魅力を伝えたい」と意気込んでいる。

 内堀社長の実家は、食酢製造の内堀醸造(岐阜)。酢の需要拡大を図るため、2014年に分社化してオークスハートを設立。酢と果汁を合わせ、ジュース感覚で飲むデザートビネガーのほか、酢の入ったパンやバターなどの販売を手掛けている。

 同社と函館酪農公社のコラボは2012年にスタート。原料を取り寄せ、フルーツビネガーをトッピングしたソフトクリームを期間限定で販売したところ、大好評だったという。

 「新商品開発のきっかけは、アラブ首長国連邦(UAE)からの引き合いから始まった」と内堀社長は打ち明ける。UAEでは、糖尿病がまん延しており、オークスハートのソフトクリームの味に感激したアラブ人から「砂糖抜きのソフトクリームを製造してほしい」と要望があったという。

 これを受け、内堀社長が函館酪農公社に相談し、試作を開始。約1年かけて、砂糖の代わりに無糖練乳やはちみつ、果実酢などを加えたソフトクリームミックスが完成した。

 新商品は「自然な甘さの酢フトクリーム」と名付け、東京駅構内の「飲む酢 エキスプレ・ス・東京」で1つ500円(税込)で販売。飲む酢をかけて味わうこともできる。内堀社長は「売れ行きを見ながら、UAEへの進出も検討したい」としている。(山田大輔)



◎縄文文化交流センター 受け皿の財団設立

 函館市縄文文化交流センター(臼尻町)の指定管理者導入をめぐり、市や経済界、関連団体が参画する一般財団法人「道南歴史文化振興財団」が設立されたことが26日、分かった。市は来年度から3年間、特例措置として新財団を同センターの指定管理者とする方針。官民一体の財団として同センターの管理運営とともに、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の世界遺産登録に向けた運動を進める構えだ。

 同センターの指定管理者制度導入は2013年9月の市議会で条例改正が可決されたが、同センターが道内唯一の国宝「中空土偶」を管理している点などから、地元経済界が「市の関与が必要」として導入に反対した経緯がある。

 条例は14年度から施行されたが制度導入は事実上凍結され、引き続き市教委が館長を出すなど関与している。この間、市と経済界が継続的に協議を進め、受け皿となる新たな財団を立ち上げることで一致した。

 新財団は今月7日に設立。現在同センターの事業委託を受けているNPO法人函館市埋蔵文化財事業団(山本光明理事長)を母体としており、代表理事には函館商工会議所副会頭で、道南縄文文化推進協議会の久保俊幸会長が就任。市や同会議所の幹部、同事業団が理事や評議員として運営に携わる。同事業団は取材に対し「本年度末で発展的に解散し、新組織に移行する」としている。

 市教委は条例制定以降、指定管理者の指定を見送ってきたが、「管理ノウハウを持っている」として、新財団を指定管理者に指定する方針。9月2日開会予定の第3回定例市議会で、来年度から3年間の管理委託料1億4077万円の債務負担行為を含む一般会計補正予算案を提案する。

 市教委生涯学習部は「経済界も納得できる体制に落ち着いた。財団に対して人材を派遣しながら運営を進めていきたい」としている。(千葉卓陽)


◎赤字幅 計画上回る 市立函館病院

 函館市病院局は26日、市立函館病院で開かれた第2回市病院事業経営改革評価委員会(岩田州夫委員長)で、本年度4〜6月の経営実績を報告した。市立函館は1日平均の入院患者数(一般)減が影響し、入院収益は当初計画を3億600万円下回る26億7489万円となった。赤字幅も当初計画を2億5696万円下回った。収益の改善策として、10月を目標に「入院支援センター」を立ち上げ、入院と外来の効率化を図る考えが示された。

 市立函館は、入院患者数の目標を480人に設定していたが、6月中旬まで産科再開に伴う入院制限などの影響により、436人にとどまった。医療機器購入など資本的支出は11億6930万円だった。

 市立函館は昨年度予算決算で8億3258万円の赤字を計上。本年度の赤字を2億6380万円以内に抑える目標を掲げており、民間コンサルタント業者を通したコスト管理など収支の改善に取り組んでいる。今後開設予定の入院支援センターでは、入院に関する窓口を一本化し、入院予定患者の受け入れをスムーズに行い、入院件数を確保するのが狙いだ。木村純院長は「今後患者の確保と入院1日単価の引き上げを同時に行い、入院件数が減っても収益を確保できるよう進める必要がある」と述べた。

 一方で、恵山病院が6603万円、南茅部病院が3462万円の黒字で、ともに本年度予算執行計画の目標値を上回った。恵山は入院収益が計画を2400万円下回る9231万円だったものの、給与費や材料費など医業費用を中心に支出を抑えたことで黒字を計上。南茅部も入院、外来収益ともに計画を下回ったが、支出を1143万円削減した。(蝦名達也)