2015年8月28日 (金) 掲載

◎新函館塩ラーメン開発へ20店で研究会発足

 函館市内や近郊のラーメン店20店でつくる「函館未来らーめん研究会」(木村恵輔会長)が27日、市内で発足した。函館の特産品イカを使い、「函館百年ラーメン」と題した新しい塩ラーメンを作ろうと、約3カ月前から準備を進めてきた。今後は協力加盟店や一般からの参加を呼び掛けていく。

 今年5月ごろ、市内のラーメン店数店が「新しい塩ラーメンを各店で作り、地元を盛り上げたい」と企画。より大きな活動にできないかと、市内や近郊の各店を回って賛同者を募り、研究会発足にこぎつけた。

 会員企業の函館フロンティアフーズ(昭和3)で行われた発足会にはオーナーや関係者約30人が参加。木村会長は多数の賛同に感謝し「各店の個性を生かした新しい塩ラーメン開発を通して地域活性につなげる。会はそれぞれの活動が情報交換できる場にしたい」と呼び掛けた。イカを使い、伝統の味と新しいスタイルを生かした新函館塩ラーメン第1弾は、9月ごろの発売を目指して各店で開発を進めていく。

 続いて同会顧問で、冷凍札幌ラーメンの通販サイトを手掛ける大石敬さんが、札幌ラーメンコンシェルジュとして函館ラーメンの未来について講演。大石さんは「ラーメン好きは二極化している」と指摘し、安心感を求めて昔ながらの味を愛する人と、味の多様性を求めて新しい味に出会いたい人の2タイプを紹介。その上で「新しい味の流行は移ろいやすいが、函館ラーメンと言えば塩というイメージは武器であり、活用すべき」と強調した。

 また、昔ながらの味を守ってきた市内老舗店の相次ぐ閉店を残念がる一方、「歴史は変えられないが、未来へ生かすことはできる」と呼び掛けた。発足式に参加した函館市港町3の「麺屋 伊吹」店主、加我卓也さんは「函館の新ラーメンを会員全員で盛り上げたい」と意欲を見せていた。(半澤孝平)



◎プレミアム商品券発売1カ月、効果の評価二分

 函館市がプレミアム付き商品券を発売してから約1カ月が過ぎた。市内の百貨店やスーパー、飲食店などでは「売り上げが伸びた」と恩恵を実感する声がある一方、「消費喚起には至っていない」と不満を漏らす意見もあり、販売効果をめぐって評価は割れている。

 商品券は7月25日に市内15か所で一斉に発売され、用意した10万セット(発行総額10億円分、額面総額12億円分)が即日完売となった。市経済部商業振興課によると、これまでに約4割が使用されたという。

 丸井今井函館店(本町)は、発売日となった同25日の売り上げが、前年同日と比べて10%アップ。担当者は「商品券を使って買い物する客の3、4割は食品を購入している」と分析する。棒二森屋(若松町)は、7月25日〜8月23日の売上高が前年同期比で2・4%増加。商品券発売日は時計などの高額商品を購入する客もいたという。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)は、商品券効果でランドセルや家電製品の売り上げが前年同期比で2割増加。ホームセンター「イエローグローブ」の担当者は「家電の売れ行きが良く、消費回復の追い風になっている」と話す。

 一方、市内で回転すし店などを展開する「やすけフーズ」の担当者は「売り上げの回復につながるほどの商品券の利用はない」とため息をもらす。函館本町市場商業協同組合の石橋良理事長は「普段必要なものに使われているだけで、効果は実感していない」とする。

 市内の商店街関係者は「売り上げは変わらない。生活防衛の手段として日用品に商品券が使われているイメージだ」と話す。

 同課の柏弘樹課長は、「アンケート調査の結果などをもとに、年内に効果測定についてまとめたい」と話している。(山田大輔)



◎国内外のうまいもの集結、来月「グルメサーカス」

 函館とゆかりのある都市のグルメを集めた道南最大の食のイベント「はこだてグルメサーカス2015」(実行委主催)が9月5、6の両日、大門グリーンプラザと函館朝市第1駐車場で開かれる。地元の名店をはじめ、国内外の味覚や観光情報を提供する130ブースがそろう。隣接地では北海道新幹線開業200日前カウントダウンイベントを同時開催する。

 市や函館商工会議所などでつくる実行委が2012年度から開催し、昨年は16万9000人が来場。今年は新幹線開業プレ事業と銘打ち、事務局では昨年並みの集客を期待する。

 大門会場には地元函館をはじめ、開港都市や東北6県などのグルメが集結。新幹線開業を見据え、栃木県宇都宮市のギョーザの名店「みんみん」が初出店し、群馬、埼玉のブースも設ける。朝市会場は道南各市町の味覚を集めた。  両会場ステージでは、各地域のPRイベントが随時行われ、先着限定のプレゼント配布も。名古屋市からは甲冑(かっちゅう)姿の「おもてなし武将隊」が登場するほか、「八戸えんぶり」(八戸市)、「金多豆蔵」(中泊町)、「大川平荒馬」(今別町)などの青森各地域の伝統芸能が披露される。

 一方、200日前イベントは、大門会場近くの函館大門パーキングで開催。H5系「グランクラス」の座席シートの展示、新幹線型遊具の設置、鉄道模型の操作体験など、親子で楽しめる催しが盛りだくさん。フォトライターの矢野直美さんを招いたトークショー「鉄子が行く!!新幹線東北の旅」も、グルメサーカス会場ステージで行われる。

 両イベントについて市は「グルメサーカスは9月の一大イベントして定着しつつある。新幹線開業まで約半年となり、地域を盛り上げていきたい」としている。両日ともに午前10時スタート、5日は午後5時、6日は午後4時終了。3〜6日は会場周辺で交通規制が行われる。問い合わせは市観光部(電話0138・21・3499)へ。(今井正一)


◎中心市街地の企業立地促進へ補助、函館市が概要

 函館市は市内中心部の空きオフィスへの事務所開設を促すため、家賃補助金などを交付する「中心市街地立地促進補助金」の制度概要を固めた。家賃は3年間で最大420万円を補助し、新規に大卒者を雇用した場合の奨励金の交付要件を定めた。7月6日以降に市外から対象地区内に進出した企業が対象で、11月から申請受け付けを開始する。

 対象地区は市中心市街地活性化基本計画で定めた駅前・大門地区、本町・五稜郭・梁川地区と、両地区を結ぶ市電沿線地区。

 家賃補助金は補助開始から半年間は月額20万円、7カ月目以降は同10万円が上限で、3年間で最大420万円。建設業、製造業、情報通信業など業種を幅広く設定しているが、市民を常用雇用することや、賃貸面積の3分の2以上を事務所として活用する—などの制限がある。

 今年7月6日以降に市外から進出した企業が対象で、開設後4カ月経過した日から30日以内に市に指定事業者の申請を行い、事業継続性などを審査。認定後、開設日から6カ月目以降に補助金の交付申請を受け付ける。

 また、補助対象となった事業所が大学卒業以上(雇用時点で卒業3年以内)の市民を雇用した場合には1人当たり30万円、最大5人までの雇用奨励金を交付する。

 今年3月末現在の市の調査で、対象地区内の空きオフィスは150室。予算額は370万円で、本年度内に3件程度の申請を見込んでいる。市経済部労働課は「事務所の進出を促すことで、周辺の飲食や商業施設にも波及効果を生む。若者世代の流出も課題で、大学卒業後の就職先となるような事務所の開設につなげたい」としている。

 問い合わせは同課(電話0138・21・3309)へ。(今井正一)