2015年9月1日 (火) 掲載

◎みそ汁協会理事の高村さん、食文化継承へ意欲

 食育講座とレシピ開発を手掛ける「フード・コミュニケーション」代表の高村亨さん(40)=函館市本通4=が、今年6月に設立された一般社団法人みそ汁協会(本部名古屋市)の理事として活動している。みそ汁離れに歯止めを掛け、日本の伝統的な食文化の継承に力を注ぐ。道内で理事は高村さん一人で「みそ汁に親しんで、食生活を楽しんでほしい」と意欲を見せる。

 みそ汁協会は、名古屋のみそ卸売業「泉広」(廣井栄治社長)が中心となって設立された団体で、みそ汁の普及と振興に関わる人材の育成、和食文化の伝承、海外への普及に取り組む。理事7人、監事1人の役員がおり、廣井社長が代表理事を務める。

 だしの専門家である高村さんが廣井社長と知り合い、だしとみそを使えばみそ汁ができる共通項から協会の立ち上げに携わった。事業の一つとして、協会認定資格「みそ汁コーディネーター」(1〜3級)を予定しており、高村さんは会員を募って資格取得講座の開催を担当。今後、道内でも受講できるよう準備を本格化させる。

 「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されており、高村さんは「みそは日本のソウルフードであり、和食文化の基本。みそ汁は子どもからお年寄りまで気軽に作って食べられる料理なので、ぜひ日常生活に取り入れてほしい」と話す。

 みそ汁に使うみそ、だし、具材は各家庭・調理者によって千差万別。そして、どんな食材とも相性が良いのが魅力だ。「忙しいときに野菜を多めに入れることで、みそ汁が立派な一品料理になる」とアピールする。

 協会に関する情報はホームページ(http://www.misoshiru.co.jp/)で閲覧できる。問い合わせは高村さん(℡090・1645・0261)へ。(山崎大和)



◎2市1町が埼玉のホテルでPR、新幹線開業見据えきょうから

 来年3月の北海道新幹線開業を見据え、函館、北斗、七飯の2市1町は1日から2カ月間、さいたま市JR大宮駅近くのパレスホテル大宮(海保邦男総支配人、204室)で、観光や物産のPRを行う。ホテルに入居するレストランなどに食材を提供するほか、客室に3市町の観光パンフレットを置く。新幹線での来道客が大きく見込める埼玉で、道南の魅力をアピールしたい考えだ。

 同ホテルが毎年秋に開催している「北海道フェア」(9月1日〜10月31日)に合わせて実施。ホテル内のレストランやラウンジなど6店舗で、函館のイカや乳製品、北斗のワカメ、七飯のリンゴやワインなどを使ってもらい、利用客に道南の食の魅力を発信する。

 昨年10月、道南の魅力を紹介するイベント「函館・みなみ北海道グルメパーク」が同ホテル周辺で行われた際、七飯町の担当者が、同ホテルの洋食レストラン統括料理長、毛塚智之さんに道南の食材を使ってもらうよう打診。今年7月には、毛利さんが道南を訪れ、2日間かけて3市町の生産者や市場などを回り、今回使用する食材を選んだ。

 七飯町商工観光課の山口快さんは「新幹線でつながる大宮は羽田空港からも遠く、新幹線誘客の重要なターゲットとしている。今後も近隣の自治体と連携したPR活動に力を入れていきたい」と話している。(金子真人)



◎函館市の公共交通、新計画に数値目標

 函館市は昨年11月の地域公共交通活性化再生法の改正に伴い、市地域公共交通網形成計画(計画期間2015〜24年度)を策定する。昨年5月に策定した市地域公共交通総合連携計画に、まちづくりの観点や、持続可能な公共交通網の構築に向けた数値目標などを盛り込む。

 8月31日に企業局庁舎で開いた市生活交通協議会(会長・木村健一公立はこだて未来大学教授)で計画案を了承した。市の政策会議や市民意見を反映させ、11月中に成案化し、国交省に提出する。

 改正法では▽コンパクトシティ実現に向けたまちづくりとの連携▽地域全体を見渡した面的な公共交通ネットワークの再構築—の視点を計画に盛り込むことが求められ、既存の連携計画に代わり、新たな形成計画が国からの支援を受けるための法定計画となった。

 新計画案では、基本理念を「まちづくり、観光振興と一体となった将来にわたって持続可能な公共交通網の構築」と定めた。市民や観光客に分かりやすいバス路線網の構築に向けて、五稜郭、美原などを交通結節点として拠点化するゾーンバスシステムの導入を目指し、各実施施策を盛り込んだ。数値目標では計画最終年の24年度に、各交通拠点のバス利用者を12年度比で10%増加を目指すことや、利用者の満足度向上、利用者減少率の抑制などを記載した。

 また、協議会では、交通拠点の整備やバス路線再編に向けて、地域公共交通再編計画を策定するための調査事業を実施することを確認。同協議会に市路面電車整備推進協議会を統合し、バスと市電路線が一体となった輸送サービスの実現を目指すことが示された。

 函館バスが11月1日に予定するダイヤ改正では、1系統(稜北高校前—船見町)、81系統(稜北高校前—富川会館前)、90系統(銭亀沢中学校前—稜北高校前)、106系統(往路・稜北高校前—函館駅前)の4路線で一部経路を変更。冬期間のダイヤ遅延の一因となっている美原学園通と道道函館上磯線を結ぶ市道美原3—12号(市内北美原1丁目3—美原3)の走行をやめ、新都市病院前などを経由する路線に改める。(今井正一)


◎夏物商戦 例年並み

 今年の道南地方は、近年続いた8月中旬以降の厳しい残暑はみられず、「暑さもお盆まで」といわれるような〝短い夏〟に終わりそうだ。比較的穏やかな気候が続いた中で、各地の「夏物商戦」は例年並みの様相となっている。

 地ビールの「はこだてビール」(大手町)の売り上げは、昨年からの全国的な地ビール人気を受けて今季も好調を維持。7月に若干伸び悩み、同社は「北陸新幹線開業で、函館に来る観光客が流れた印象」とみる。ただ「クラフトビールや北海道の食材を使ったメニューが好調で、その後はばん回した」という。

 製氷販売の田村氷室(大森町)は、暑さが続かなかったため、飲食店に対する販売が例年の6~7割減となった。一方でかき氷用の角氷は、全国的なブームにより顧客店舗やホテル、専門店などから注文が相次ぎ、売り上げが倍増した。

 鈴木牧場牛乳(北斗市向野)では、ソフトクリームの売り上げが例年の約2割増。お盆の1週間がピークだったという。

 イトーヨーカドー函館店では、衣類などの夏物が出始めた5月は肌寒さから低調だったが、7月後半から8月の割引企画が好評で、ほぼ例年並みの売り上げに。秋物商品の導入は早まる傾向があり、特に今年は「お盆前からの対応が功を奏し好調」だという。また、来春の北海道新幹線開業効果が土産コーナーの売れ行きに現れ、お盆時期に新駅ができる木古内の商品が飛ぶように売れ、新幹線パッケージなどの工夫も帰省客らの注目を集めた。

 テーオーデパートも、夏商戦の売れ行きはほぼ前年並みだが、お盆明けには婦人服を中心に秋物の売り上げが伸びている。肌寒さを補う羽織ものの中でも今年は丈の長い「ロングカーデガン」が人気だ。紳士服コーナーは、9月末までクールビズに取り組む企業があることから、「変化はあまりない」(担当者)とする。

 ケーズデンキ函館本店(美原3)では、エアコンの売り上げが7月まで伸び悩んだものの、8月に入り例年を2割程度上回った。冬に備えて、暖房機能を重視した製品の購入が多かったという。扇風機は今夏も完売状態だったほか、今季の売れ筋は除湿機で「除湿で体感温度を下げて、蒸し暑さを乗り越えようとする動きがあり、例年と比べて約1・5倍売れた」という。(田中陽介、能代俊貴)