2015年9月11日 (金) 掲載

◎函館三部作最終章 佐藤泰志原作の映画「オーバー・フェンス」 主演はオダギリさん

 「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」に続く、函館出身の作家佐藤泰志の小説を映画化する函館三部作の最終章「オーバー・フェンス」のキャストが10日までに発表された。主演はオダギリジョーさん(39)、ヒロインは蒼井優さん(29)で、松田翔太さん(29)も出演する。現在、編集作業に入っており、完成は冬ごろ、公開は来年晩夏となる予定だ。

 前2作に続き、市民映画館シネマアイリス(本町22)の菅原和博代表が製作・企画を手掛けた。撮影は6月24日から函館公園など函館市内5カ所を中心に行われ、7月17日にクランクアップしている。テアトル新宿ほか全国で順次公開される。

 函館の短い新緑の季節を舞台に「家族、夫婦、共にいきる」という普遍的なテーマに向き合った大人のラブストーリー。オダギリさんは、元サラリーマンの職業訓練校生・白岩義男を演じる。ヒロインの田村聡(さとし)役の蒼井さんは、風変わりなホステス「鳥になりたいと願う女」を熱演。白岩に興味をもつ職業訓練校生の代島和久を、松田さんに扮する。

 監督は「天然コケッコー」「味園ユニバース」などでメガホンをとってきた山下敦弘さん(38)。  原作は、佐藤自身が小説を諦めかけ、函館の職業訓練校に通った日々の経験を基に執筆し、1985年に自身5回目で最後の芥川賞候補作品となった。前作「そこのみにて光輝く」は第38回モントリオール世界映画祭での最優秀監督賞受賞ほか、数多くの映画賞を獲得している。 (半澤孝平)

 ◆オダギリジョーさん

 函館での1カ月は合宿のような状況だったので、この作品の事だけに集中できたし、みんなで過ごす時間は劇中の関係性を見事に反映したり、より深めたり、貴重な時間でした。信頼できるスタッフとキャストと、共にこの作品に関われて幸せでした。愚作になるはずがないと確信しています。

 ◆蒼井優さん

 長い間、この作品に出会うことを待ち続けていたような気が今しています。それくらい、この現場の過酷さも喜びも想像を絶するものでした。大切な仲間に出逢えたことに心の底の底から感謝します。

 ◆松田翔太さん

 新鮮で真剣な山下組と共に函館で過ごした時間が、すでにかけがえのない時間となり、撮影を思い返すたび、幸せになります。このキャストとスタッフで撮影した本作品を、僕も一緒に期待して待ちたいと思います。



◎まきストーブ作りピーク 冬に備え

 本格的な寒さの訪れを前に、板金加工業「大和金属」(新川町28、高岸良明社長)では、まきストーブの生産がピークを迎えている。職人が連日4人体制で鉄板の加工や組み立てに汗を流している。

 同社は1952年創業以来、0・6ミリの鉄板から主力商品の「玉子型」をはじめ「角型」「時計型」などのまきストーブを手作業で生産し続けてきた。ピーク時は1日120〜150台を手掛け、トータルで年間2万2千台を製造する。うち1万6千台が「玉子型」だという。道内一円から東北のホームセンターや金物店へ出荷している。

 高岸昌寛専務(39)は「価格変動のある灯油よりエコだと、外作業の多い農林水産業者や建設業者などにいまだ人気がある」と話す。

 同社によると、12月頭ごろまでピークは続く見通し。問い合わせは同社(TEL0138・23・1455) (半澤孝平)



◎杭州線定期便が来月就航 中国本土3路線目

 函館市は10日、中国東方航空(本社・上海市)が中国・杭州市と函館を結ぶ定期航空路を10月27日に開設すると発表した。毎週火、土曜日の2往復で、国交省の認可後に正式決定する。中国との定期路線は、天津、北京に次いで3路線目で、さらなる外国人観光客増加が期待される。

 同社は道内とは、上海と新千歳、旭川間のほか、北京—旭川間に定期便を運航し、函館が4路線目。今年2月には杭州—函館間にチャーター便を計6往復運航した。工藤寿樹市長ら官民による訪問団が7月、上海の同社を訪問し、新規路線開設を要請し、同社も函館との定期路線開設に前向きな姿勢を示していた。

 使用機材はエアバスのA320(156席)。火曜日が午後4時、土曜日が午前11時半に函館着を予定する。杭州は名所旧跡が数多く残る古都の一つで、上海と高速鉄道で1時間程度で結ばれる。人口も1000万人規模の大都市。同社東京支店は「人口密集地との直通便開設は選択肢を広げる。北海道は中国で人気が高く、函館も有名だ。旭川や札幌の路線をみても搭乗率を確保できる勝算はある」とする。将来の増便の可能性は需要次第だとし、「自治体や空港の協力は欠かせない」とした。

 市では運航初便に合わせて歓迎事業を予定。市港湾空港部は「トップセールスの成果が早期に実現し、うれしく思っている。中国からさらに多くの観光客に来ていただけると期待している」としている。 (今井正一)


◎スーパー魚長、新業態 生鮮食品 鮮度で勝負

 地場スーパーの魚長(函館市西桔梗町、柳沢一弥社長)は11日、乃木町8に新業態の店舗「生鮮乃木市場」をオープンする。「当日仕入れ、当日売り切り」にこだわり、鮮度の高い生鮮食品を提供して、近隣の同業店と差別化を図る考えだ。

 店舗面積は約1000平方メートル。8月末で閉店した「スーパー魚長乃木店」を改装、業態転換した。

 新店舗は、地場産を中心に、鮮魚や青果の品ぞろえを強化。テナントとして、市内で焼き肉店「焼肉番長」を展開するジー・プラネット信州(長野県塩尻市、古村卓実社長)が入居し、精肉店「肉処匠」と総菜専門店「穂の香」を出店する。

 担当者は「新鮮な生魚や青果が自慢。ぜひ足を運んで買い物をしてほしい」とPRしている。同社は、「生鮮が強くなる店づくり」を本年度の経営方針として掲げており、今年8月には「生鮮げんき市場榎本店」を新規出店している。 (山田大輔)