2015年9月13日 (日) 掲載

◎函自転車タクシー人気、西部地区を快走中

 屋根付き三輪自転車タクシー「notte(ノッテ)」が、函館の西部地区を快走中だ。昨年開発され、電動アシスト装置を搭載している新型タクシーで、本格運行は全国で初めて。車内から街並みをゆっくり楽しめることから、市民や観光客から早速人気を集めている。

 ノッテは、部品製造業の「シマト工業」(新潟県三条市)などが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの利用を見据え、共同開発した国産自転車タクシー。昨年10月、「燕三条ものづくりメッセ」でお披露目され、今年5月に神奈川県横浜市で試験走行が行われた。

 定員は最大3人(運転手を除く)。車体の素材には十分な耐久性を持ち、リサイクル可能な防水段ボールを使用し、外装のラッピングにかかるコストを大幅に削減した。イタリア語で「夜」を表すノッテというネーミングには、「気軽に乗って」という意味も込められている。

 市内で運行を担うのは、関東地方で人力車や自転車タクシーの業務経験を持つ大和田康さん(32)。埼玉県生まれで、函館にはほぼ毎年、自転車旅行で訪れており愛着があるという。昨年11月にはフランス製自転車タクシー「シクロポリタン」を使って、西部地区を試験走行した。

 今年8月中旬からノッテの本格営業を開始。金森赤レンガ倉庫を主な拠点として駅前方面や西部地区に客を運んでおり、大和田さんは「需要の多さは想定以上。特に市民や観光客の家族連れにご利用頂いている」と手応えをつかんでいる様子だ。当面の運行は1台だが、改良を加え、将来は複数台を導入するという。

 大人1人初乗り300円で、以降は区間ごとに100円ずつ加算。周遊コースは1台15分1000円で、最大1時間まで楽しめる。営業時間は午前10時から午後5時まで。雨天休業。問い合わせは大和田さん(☎090・9008・0285)へ。(山田大輔)



◎エアポートフェスタ盛況

 空港や航空関連業務に親しみを持ってもらうイベント「函館エアポートフェスタ」が12日、函館空港で開かれた。航空各社による体験会やステージイベントなど、大勢の市民がさまざまな催しを楽しんだ。

 「空の日」(20日)に合わせた取り組みで、同空港にかかわる行政機関や事業者などでつくる実行委の主催。小野晃函館空港長は「いろいろな団体や企業の協力を得て、イベントを企画、準備している。見学や体験を楽しんでもらいたい」とあいさつした。

 屋外会場では、南茅部地区で水揚げされたブリやホッケなどの鮮魚販売、地域の農産物販売が人気を集めた。ステージでは銭亀沢中学校吹奏楽部の演奏、全日空(ANA)の歴代キャビンアテンダントの制服紹介などが行われた。

 ANAは最新鋭機のボーイング787の仕組みを紹介する航空教室や着陸・誘導業務を体験する「マーシャラー体験」、日本航空(JAL)も機体見学会などを企画。普段は味わえないさまざまな体験で来場者を楽しませた。

 フライトシミュレーションゲームを体験した野場琉聖君(4)は「飛行機は着陸するところが好き。(ゲームは)楽しかった」と笑顔を見せていた。(今井正一)



◎歌や踊りでアイヌ文化体感

 第4回アイヌ文化交流の集い函館「イランカラプテ」が12日、サン・リフレ函館で開かれた。「帯広カムイトウウポポ保存会」(帯広市)と、函館から2団体が出演。古式舞踊や歌など、民族文化の世界に触れた。

 NPO法人道南マウコピリカの会の主催で、函館アイヌ協会の共催。加藤敬人理事長はアイヌ語で「こんにちは」を意味する「イランカラプテ」とあいさつ。「函館にはアイヌ文化を知り、勉強し、パフォーマンスをする人たちがいる。文化を残すためには皆さんの協力が必要。歌や踊りを楽しんでほしい」と述べた。

 帯広カムイトウウポポ保存会は道内で最も長い歴史を持つ保存会で国の重要無形民俗文化財に指定されている。30種類以上受け継いできた古式舞踊や歌から、先祖供養やクマ送りの儀に使う酒を造るときの歌と踊り「シントコサンケ」、穀物を臼でひくときの様子を表す「フミウス」、弓を持った男の勇壮な舞「クリムセ」などを披露した。アイヌの世界観に引き込まれた観客は手拍子や大きな拍手を送った。

 函館からは民族歌舞団こぶし座が伝統楽器トンコリの演奏やアイヌ語の朗読、歌を披露。会場に配られた口琴「ムックリ」の演奏指導も交えて、アイヌ音楽の世界を伝えた。アイヌの精神性を現代的音楽で表現する「ピリカモシリプロジェクトReRa」もステージを盛り上げた。函館のアイヌ文様の刺しゅう団体「イランカラプテの会」は作品展示で楽しませた。(今井正一)


◎来月5日からマイナンバー通知、函館市、情報流出対策を強化

 国民1人1人に行政手続きなどに活用する番号を割り当てるマイナンバー制度で、10月5日から個人番号の通知が始まる。函館市は個人情報の漏えい防止に向けた対策強化に取り組むとともに、事情により住民票に記載した住所で通知を受け取れない人への「居所情報登録申請」を周知し、制度の普及と情報管理の徹底を目指す。

 マイナンバーは全国民に12桁の番号を割り当て、社会保障、税、災害対策などの手続きに活用する。今月3日に成立した改正マイナンバー法により、2018年から金融機関の預貯金口座番号と結びつけ、別々の金融機関に預けられた資産が把握しやすくなるほか、政府は消費税引き上げに伴う還付金の事務処理への活用を視野に入れている。

 利用範囲拡大によって利便性が高まる半面、個人情報が流出する可能性が高まる。市はもともと税金や国民健康保険など住民情報を扱う基幹系システムと、インターネットと接続しメールの送受信などを行う情報系システムを分離しており、マイナンバー業務を扱う基幹系がインターネットやウェブメールなどを通じ、ウイルスに感染するリスクは低いという。

 このほか、基幹系から記憶媒体(USBなど)を使って情報を取り出せないようにしたり、なりすましメール対策など担当職員への注意喚起を改めるなどして運用面での対策強化を徹底している。市情報システム課は「市民が不安がらないよう一層個人情報の取り扱いに気を付け、継続して対策を講じていく」とする。

 個人番号が記してある通知カードは、簡易書留で住民票の住所地に送られる。ドメスティックバイオレンス(DV)被害者や1人暮らしの長期入院・入所者など、事情により住民票と異なる場所に住んでいる場合、居所情報登録申請を行うことで送付先を変更できる。市戸籍住民課によると、9日現在の申請者は18人で入院・入所者が半数以上を占めている。

 これまで福祉や子育て支援を所管する関係部局が各病院や施設に対して周知を図ってきたほか、ひと目で記入内容が分かるように、市独自で申請書の様式を変更するなどし、通知カードを受け取りやすい環境を整えている。同課は「ぜひ登録申請の活用を」としている。

 登録申請は今月25日まで。申請書は市のホームページからダウンロードできるほか、本庁舎と各支所窓口で配布。住民票のある市町村へ持参、または郵送(25日必着)する。(蝦名達也)