2015年9月21日 (月) 掲載

◎手を合わせ先祖供養 彼岸の入り

 彼岸の入りの20日、道南各地の墓地では家族連れらが墓参りを行い、先祖の供養に努めた。

 函館市東山町の東山墓園には、さわやかな秋空のもと多くの市民が訪れた。管理事務所によると、この日は午前8時ごろから墓参りをする人の姿が目立ち始めた。例年では彼岸中日(23日)にピークを迎えるという。

 20日正午前に、家族4人で同墓園を訪れた七飯町の会社員、清水優さん(30)は墓石に水や供花などをささげて合掌。長男の健人ちゃん(3)も祖母が眠る墓石を前に「また来るね」と話しかけていた。(田中陽介)



◎祈り旗で大間ノー バイバイウォーク函館山山頂で集会

 大間原発(青森県大間町)建設に反対する市民団体「バイバイ大間原発はこだてウォーク」は20日、函館山山頂で集会とデモ行進を行った。津軽海峡対岸に見える大間の工事現場に向かって、市民手作りの祈り旗を掲げて約70人が「ノー!」と気勢を上げた。

 つつじ山駐車場で集会を開き、逢坂誠二衆院議員ら4人がマイクを握った。国会で成立した安保法と大間の共通点として「国民の声を聞き入れない」と政府の姿勢を批判した。また、大間原発訴訟の会(竹田とし子代表)が、24日に第7次訴訟を函館地裁に起こすことを明らかにした。今回の原告の人数は52人という。

 集会後、千畳敷に向かって1・5キロの登山道をデモ行進。参加者はプラカードを手に持って「原発いらない」「子どもを守ろう」などとシュプレヒコールを繰り返した。千畳敷近くの砲台跡地では、一人一人が祈り旗を高々と掲げ、反原発ソングを歌うなどして心を一つにした。(山崎大和)



◎函館市高齢化進む 65歳以上8万5571人

 函館市の65歳以上の老年人口が過去最高の31・8%(8月末現在)に達したことが市のまとめで分かった。この影響で、町会や在宅福祉委員会の役員の成り手が不足し、敬老会をはじめ、祭りの中止や町会自体を解散した地域も出ている。高齢化の進展は町会単位の問題にとどまらず、市の経済や福祉、人口減などにも影響を与えており、早急な対策が求められる。21日は「敬老の日」—。

 市によると、住民基本台帳に基づく8月末現在の65歳以上の老年人口は8万5571人(男性3万3764人、女性5万1807人)で、総人口26万9295人(男性12万2704人、女性14万6591人)に占める割合は昨年同期より0・8ポイント高い31・8%。総務省が発表した全国の26・6%(8月1日現在)、本道の28%(1月1日現在)に比べて高く、昨年3月末に初めて30%を超えてから高齢化に歯止めが掛かっていない。

 2005年8月末時点の市の老年人口の割合は22・8%だったので、この10年間で9ポイントも高くなったことになる。また、市所別でも10年前と比較すると、本庁、亀田、南茅部以外の5支所(湯川、銭亀沢、戸井、恵山、椴法華)で10ポイント以上高くなっており、旧4町村地区や西部地区を中心に40%を超える地域も目立つ。一方、石川町や桔梗、昭和の一部などでは0〜14歳の年少人口、15〜64歳の生産年齢人口の割合が高いため、老年人口は10%台と全国平均より低く、地域間で高齢化率の格差が広がっている。

 来年以降は、高齢化率の上昇にさらに拍車が掛かるとの見方も。函館短大の岡田邦宏入試広報係長は「新幹線開業で東北や関東へのアクセスが容易になることで、進学先として本州を選びやすくなり、函館の若い人たちがさらに減る可能性がある」と指摘。「市内の学校や企業は教育力や雇用条件などの魅力を高めなければ、生き残っていけない」と話す。

 地域に再び活気を取り戻そうとする動きが始まった町会もある。高丘町会(武下秀雄会長)の高齢化率は40・9%(8月末現在)で、町会の行事は年々縮小傾向が続いていたが、地域内の函館大や函館高専などと連携し、学生が雪かきや清掃活動への協力を続けている。また、人手不足で準備に困っていた高丘夏祭り(8月)の開催については、函館短大の学生が地域学習の一環として参加することを町会と短大双方が検討しており、地域の強みを生かした対策が有効な手段になりそうだ。(能代俊貴)


◎北海道への思い熱く 元日ハム稲葉さん講演

 函館青年会議所(横田貴之理事長)は20日、函館アリーナで、プロ野球日本ハムファイターズの元選手、稲葉篤紀さんの講演会を開いた。同会議所の創立65周年記念事業として実施。約1800人が来場し、稲葉さんの選手時代のエピソードや北海道への熱い思いに耳を傾けた。

 横田理事長は「多くの皆さまに支えられ65周年を迎えることができた。これからも地域の皆さまと一体となって未来を見据えた運動を続けていきたい」とあいさつ。

 稲葉さんは「夢に向かって全力疾走」と題して講演。日ハムでの10年間の選手生活を振り返り「調子が悪いときは下を向いてしまいがちだが、北海道の青々とした空を見上げて気持ちを切り替えられた」と語った。

 また、来場した子どもたちに対し「一生懸命にやっていれば結果が出なくてもその姿を見ている人が必ずいる。最後まで諦めないで頑張ったことは必ず将来につながる」と伝えた。

 講演後に設けられた質問コーナーでは、女性の来場者から「どうしてそんなに爽やかなのですか」などのユニークな質問も飛び出し、会場は盛り上がった。

 函館市の野球少年団、鍛神ベースボールクラブに所属する花田壱颯君(8)は「一生懸命頑張って稲葉さんのように活躍できるようになりたい」と話していた。(金子真人)