2015年9月22日 (火) 掲載

◎五稜郭タワー65歳以上の市民ら488人無料ご招待

 「敬老の日」の21日、函館市の五稜郭タワーは道南在住の65歳以上を無料でタワー展望台に招待した。488人が訪れ、さわやかな秋晴れの中で地上90メートルの高さから函館の景色を満喫した。

 無料招待は旧タワー時代の1980年から続く恒例行事。来場者は特別史跡五稜郭の美しい星の形や、復元された「箱館奉行所」、函館山の麓に広がる街並みを見下ろし、記念写真などを撮りながら楽しい思い出をつくっていた。

 函館市内の新庄清藏さん(73)は「日ごろ散歩している公園や登山を予定している横津岳がきれいに見ることができて良かった」と笑顔で話していた。(能代俊貴)



◎日吉が丘小金管バンド、東日本大会出場へ

 「第60回北海道吹奏楽コンクール」(8月30日、札幌市)の小学校の部で、函館日吉が丘小学校金管バンド(石橋美優部長、部員39人)が金賞を受賞し、道代表として10月10、11日に札幌市で開かれる「東日本学校吹奏楽大会」に出場する。5年ぶり2度目の大舞台に、部員の士気は高まっている。

 道コンクールには3〜6年生の36人が出演。石橋さん(6年)は「部全体が『良い演奏をしよう』という雰囲気だった。代表に決まったときは驚いたと同時にうれしさがこみ上げた」と振り返る。

 演奏したのは「レイク・オブ・ザ・ムーン」(K・ホーベン作曲)。副部長の小林未来さん(同)は「勢いのある冒険のような曲調。特にソロパートのある中間部が好き」と話す。

 朝と放課後にそれぞれ週4回、さらに土曜日の午前中に練習に励んできた。今年1月にコンクールに向けて始動したが、出だしの音程がそろわず、何度も繰り返す毎日。それが本番では「ばっちりそろった」(石橋さん)という。

 前回出場時は銀賞。しかし、賞は意識せず「聞いている人が感動する演奏」にこだわる。石橋さんは「選ばれたからには、悔いを残さない演奏をしたい」と意気込み、本年度顧問に就いた寺澤春佳教諭(37)は「積み重ねてきた成果を立派に発揮できれば」と期待を寄せる。

 東日本大会には、北斗上磯小(2年ぶり6度目)も出場する。(稲船優香)



◎函館市の地方版総合戦略、人口ビジョン素案まとまる

 函館市は、地方版総合戦略「函館市活性化総合戦略」と将来の人口展望をまとめた「人口ビジョン」の素案をまとめた。交流人口の拡大や子育て環境の整備など、5つの分野で基本目標を掲げ、各施策ごとに指標を定めた。24日から素案について市民意見を募集し、10月末までの成案化を目指す。

 地方版総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法に基づき、国が各自治体に策定を求めている。市は昨年から人口減少問題の現状分析を進め、今年6月に総合戦略策定に向けたグランドデザインを策定。有識者らで構成する市まち・ひと・しごと創生推進会議(奥平理委員長)を立ち上げ、議論を進めてきた。

 総合戦略の計画期間は本年度から2019年度までの5年間。函館の人口減少の課題を▽若年層をはじめとする転出超過▽合計特殊出生率の低下などに伴う出生数の減少▽高齢者の死亡数の増加-の3点にあるとし、各分野で5つの基本目標を設定した。

 目標のうち、「経済を元気にする」では、新幹線開業による交流人口拡大、函館アリーナなどを活用した「MICE」(コンベンション)などの誘致、雇用拡大に向けたIT企業などの誘致などを推し進める。

 「子どもたちと若者の未来を拓く」では、妊娠、出産から子育てまでの不安の解消、若者の雇用の拡大創出などの施策を盛り込んだ。高齢者の暮らしやすいまちづくりを進める「市民の安全・安心を守る」では、地域包括ケアシステムの構築、健康増進や生きがいづくり推進などの施策を掲げた。このほか、まちの魅力の向上や広域連携の推進についての方向性を示した。

 一方、人口ビジョンでは、合計特殊出生率や移動率などの条件を変えて60年までの将来人口推計を盛り込んだ。出生率が大幅に改善した場合でも15万人台にまで落ち込むなど、人口減少が避けられない厳しい状況を示した。施策の推進で活力低下や減少幅の抑制を図る。

 17日に開いた同推進会議では、それぞれの素案を了承。委員からは「現状の市の事業を戦略のように並べ替えただけではないか」という指摘もあった。パブリックコメントは24日から10月23日まで募集。素案は市のホームページで公開しているほか、市役所などで配布する。


◎渡島水産塾で漁業体験学習

 渡島総合振興局は29、30の両日、人口減少対策の一環として「渡島水産塾」と銘打ち、一般の高校生を対象にした漁業体験学習を函館市内で行う。函館の基幹産業である水産業を広く知ってもらうことで、地元での漁業就業や水産加工・流通業への就職に結び付け、人口減を食い止めるユニークな試みだ。

 清尚学院高校(土家康宏校長)調理科2年生84人を対象に初めて企画した。29日に41人、30日に43人が参加予定。函館市漁協のコンブ倉庫(石崎町)や戸井漁協のコンブ種苗センター(小安町)を見学後、同校に戻り調理実習に臨む。

 戸井漁協女性部の室谷久恵部長ら4人が講師となり、戸井産イナダのさばき方を伝授。生徒たちは南茅部産サバを一人一匹ずつさばいてサバのみそ煮に挑戦するほか、戸井産のコンブ入りご飯、だしコンブの炒め物、コンブだしのみそ汁を作る。全員で昼食に味わった後、渡島南部地区漁業士会の成田力会長(えさん漁協)が函館のコンブ漁や水産業の魅力を座学で教える。

 普通高校に通う生徒は漁業に触れる機会が少なく、函館のメーン魚種コンブについて詳しい知識を持っていないのが現状。同振興局は「現場見学や調理実習を通じ、まずは水産業に関心を持ってほしい。担い手の確保だけでなく、関連産業への就職を契機として人口減対策にもつなげたい」(水産課)と期待を込める。振興局は本年度から5年間、魚種を替えて事業を継続する考えだ。(山崎大和)