2015年9月3日 (木) 掲載

◎はこだて検定 申し込み出足好調

 8月3日に受け付けを始めたご当地検定「第10回函館歴史文化観光検定(通称・はこだて検定)の申し込みの出足が好調だ。同31日時点の申込者数は、前年同期比で41・5%増加。上級合格者のメンバーが開く無料相談会には、昨年を上回る市民が訪れているほか、今年初めて開いた検定用の講座には、ほぼ定員となる25人が参加し、関心の高さをうかがわせている。

 同検定を主催する函館商工会議所によると、8月末時点の申込者数は92人。特に初級は、前年同時期の44人に対し、今年は71人と高い伸びを示している。昨年の最終申込者数は、初級と上級合わせて363人。

 上級合格者の有志でつくる「はこだて検定合格者の会」(会員8人)による無料相談会は、昨年から実施。前年は8〜10月の全17回で33人が利用したのに対し、今年は8月の8回で既に26人が訪れた。同会の中尾仁彦さん(72)は、「昨年に比べて、上級の受験者の相談が増えた。出題傾向や学習方法を伝え、バックアップしたい」と話す。

 一方、まちづくり五稜郭(久保一夫社長)は8月21日から、「イカせる!はこだて検定講座」を開講。全7回の講座で、上級合格者が講師を務め、地理や自然などテーマごとに講義している。歴史に興味があって参加したという市内の主婦(66)は「知識がどんどん深まり、おもしろいです」と話していた。

 同会議所の竹内正幸企画情報課長は、「北海道新幹線開業をきっかけとして、函館をPRしようと勉強する市民が潜在的に増えている」と分析。「今年は節目の10回目でもあるので、400人の受験者が集まれば」と期待を寄せている。(山田大輔)



◎食育推進計画 3項目達成…函館市

 函館市はこのほど、市独自の食育推進計画「はこだてげんきな子 食育プラン」(2011〜15年度)で掲げる評価結果をまとめた。学校給食における地場産食材の割合を増やす、虫歯のある子どもを減らすなど5項目のうち、4項目は「達成」または「改善傾向」とし、市や関係団体などによる食育推進に関する取り組みが効果を示した。

 同プランは国の食育推進基本計画に基づき11年3月に策定。子どもが規則正しい生活や好き嫌いのない食習慣に取り組むことや、市民一人一人が食育に理解を深めるようさまざまな施策を盛り込んだ。

 市が設定した5項目のうち、目標を達成したのは「子どもの肥満の割合が減る」「学校給食における地場産食材の割合が増える」「食生活改善推進員(ヘルスメイト)を増やす」の3項目。肥満については、「4カ月から3歳児を対象とした乳幼児健診において、おやつや飲み物の与え方をきちんと教えている」ことから、1歳半児は08年度比0・8ポイント減の0・5%、3歳児が同0・6ポイント減の1・8%で、ともに「現状値以下」の目標を達成した。

 給食は、学校給食で使用しやすい加工食品の開発が積極的に行われたことや、海藻類では函館産が昨年度に6割を占めた。ヘルスメイトはヘルシーランチの作り方を教えたり、幼稚園児に食の重要さを伝える「パクパク教室」をボランティアで行うなどし、昨年度は、09年度から6人増の99人で活動した。

 一方で「虫歯のある割合が減る」は、3歳児が目標の25%に対し21・5%と達成したが、1歳半児は目標を0・8ポイント下回る3・8%で「改善傾向」と評価。また、「朝食を必ずとる子どもの割合が増える」は中学1年が「改善傾向」、小学4年は「変化なし」とした。

 市は過去5年間の評価結果を検討し、本年度中に「第2次食育プラン」(16〜20年度)を策定する予定。同課は「家庭の事情などもあると思うが、なるべく早い段階から食育を意識づけられるよう、各種団体と連携した取り組みを行う必要がある」としている。(蝦名達也)



◎「歴風文化賞」候補 市民公募に

 函館の歴史的風土を守る会(佐々木肇会長)は、歴史的に貴重な建物などに贈呈する「歴風文化賞」の候補を、本年度から市民公募する。同会は「賞にふさわしい建築物や風景を推薦してほしい」と呼び掛けている。

 これまでは、80人余りいる会員に限定して候補の推薦を募ってきたが、幅広い視点で歴史的価値の建物を発掘していこうと、市民全体から公募することに決めた。

 歴風文化賞は1983年度に始まり、本年度で33回目。函館市内、近隣の北斗市、七飯町を対象に歴史的価値のある建築物や風景、街並み保存に貢献する個人・団体を表彰した。昨年度まで約190件に賞を贈ってきた。

 賞には「保存建築物」「再生保存建築物」「個人賞」「団体賞」「原風景」の5部門がある。建物は昭和20年代までに建てられたもので、函館市の伝統的建造物、景観形成指定建築物に指定されたものは除く。建造物自体の貴重性や持ち主が長年保存してきた努力、景観への寄与、歴史性、創意工夫を基準に選定する。

 今月20日まで候補を募っており、同会の対馬誠監事は「古い住宅や広く周知されていない風景など知っていたらぜひ推薦してほしい」と話す。同会運営委員会で11月下旬に選定し、来年2月に表彰式を開く。

 推薦の受け付け、問い合わせは対馬監事(℡090・6214・8191)へ。


◎商品券効果で消費買回復…日銀8月 2カ月ぶり上方修正

 日銀函館支店(沼本奈美支店長)は、各指標に基づく8月の道南地方の金融経済動向をまとめた。プレミアム付き商品券の効果で、個人消費に回復の動きがみられることなどから、全体の景気判断を「基調としては持ち直している」とし、2カ月ぶりに上方修正した。

 基調判断の引き上げは、7月に続いて今年2回目。前月まであった「一部に弱めの動きがみられる」という表現を削除した。個別の項目では、個人消費と住宅投資の判断を上方修正した一方、生産の判断を引き下げた。

 個人消費は、2カ月連続の引き上げ。主要小売店10社の7月の売上高は、4カ月連続で前年を上回り、消費税増税前の13年7月と比較しても、1・9%のプラスとなった。沼本支店長は「総菜の販売が堅調で、プレミアム付き商品券が追い風となり、食料品の売り上げが伸びた」とする。

 住宅投資は4カ月ぶりに上方修正。前年あった分譲住宅の大型需要の反動で、新設住宅着工戸数は前年同期比30・4%減となったものの、持家は3カ月連続で前年を上回り、好調を維持している。

 一方で、生産は9カ月ぶりに下方修正。電子部品について「弱含んでいる」から「緩やかに減少している」とした。

 先行きについて、同支店は「持ち直しの動きが続くと考えられる」とし、沼本支店長は「家計の支出、企業の設備投資について注視したい」と話している。(山田大輔)