2015年9月5日 (土) 掲載

◎アーケード撤去完了 大門の商店街見守り38年

 函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)が8月から進めていた函館駅前通のアーケードの撤去作業が3日夜、終了した。予定より4日ほど早く、各店舗との接合部の補修や信号機の移設などの作業を残すのみとなった。これまでアーケードに隠れていた店舗2階部分や看板などが見渡せるようになった。

 市中心市街地活性化基本計画の駅前通再整備の一環。1977〜78年に設置されたアーケードは鉄製の上屋が老朽化し、維持や補修費もかかるため撤去を決めた。作業は8月6日に始まり、当初は9月7日の撤去終了を予定していた。

 3日夜は8月末で閉店した旧ケンタッキーフライドチキン函館駅前店前に残っていた部分を撤去。一部店舗は接合部の補修も進められている。松風町方向からJR函館駅舎が見えるようになり、撤去前よりも道路幅が広くなった印象を与えている。

 市経済部中心市街地再生担当は「通り全体が明るくなったとの声が寄せられている」とする。一方で、夜間照明の役割を果たしていたアーケードの蛍光灯がなくなったため、道路管理者の函館開発建設部は今月中旬以降、仮設照明の設置を進める方針という。  (今井正一)



◎西部地区巡りはしご酒 バル街 

 スペインの伝統的な飲食文化「バル街」を函館市内の西部地区で展開する「函館西部地区バル街」(実行委主催)が4日、同地区で開かれた。グループ客や家族連れらが参加飲食店を巡り、料理や酒を楽しんだ。

 各飲食店で特別に用意したピンチョス(つまみ)や酒をはしごする人気イベントで、今回で24回目。居酒屋やパブ、レストランなど70店が参加。同地区以外では江差町や木古内町、弘前市などからも出店があった。

 スタート時間の午後2時には市地域交流まちづくりセンター(末広町)でオープニングセレモニーが行われ、函館市の片岡格副市長やスペイン大使館のサンティアゴ・エレロ・アミーゴ文化参事官らが出席。実行委の深谷宏治委員長が「きょう1日を存分に楽しんで」とあいさつし、サンティアゴ参事官は「バル街はスペインの概念を表したイベント」とたたえた。

 地区内では、着物姿で巡る女性グループや仕事帰りのサラリーマンらが専用のマップを手にお目当ての店を巡る光景があちらこちらで見られ、行列ができる店もあった。末広町のアクロス十字街前では生ハムやチーズ、ワインの振る舞いサービスが行われ、100㍍以上の長い列ができる盛況だった。

 長男の良歩得(らふぁえる)ちゃん(4)や友人とともに3年ぶりに参加した秋山清美さん(45)は「新たな出会いが生まれるのがバル街の魅力。きょうは息子と一緒に楽しめたのが何より」と満喫していた。  (鈴木 潤)



◎大間原発工事1年延期 電源開発 運転開始も先送り

 電源開発(東京)は4日、青森県大間町で建設中の大間原発について、今年11月に開始するとしていた安全強化対策工事の開始時期を1年延期し、2016年11月ごろとすることを発表した。原子力規制委員会の審査終了のめどが立たず、同社が21年度を目標としていた営業運転開始時期も1年程度先送りとなる見通しで、計画全体の見直しを余儀なくされている。

 同社は同日、同町と隣接する佐井、風間浦の両村、同県に規制委の審査状況を報告。国と同社を相手取り、建設差し止めを求める訴訟を起こしている函館市には電子メールを通じて連絡した。

 同社は昨年12月の規制委への新規制基準への適合性審査申請の段階で、1年程度での審査クリアを見込み、20年12月の安全強化対策工事の完了、試運転を経て21年度に運転開始を目指す考えを示していた。

 ただ、今年1月以降の規制委の審査会合での指摘を受け、原発周辺のさらなる地質調査が必要と判断し、8月から追加の調査を開始した。下北半島西部の広範囲で海成・河成段丘面などのボーリング、トレンチ調査などを実施し、12月の終了を予定する。  同社広報担当者は「断層は調査済みだが、規制委の審査を受ける中で、下北半島の成り立ちについて補足説明をする必要があると判断した」とし「今後とも審査に適切に対応していく」としている。

 また、同社と係争中の市総務部の三原克幸参事は「規制委は『慎重に審査する』としており、電源開発が適合性審査の終了を1年程度としていた計画が当初から疑問だったので、延期について驚くことはない。訴訟の場で粛々と建設凍結に向けて対応していく」と話している。   (今井正一)


◎「大間凍結」へ来月決起集会 函館市町連

 函館市の182町会でつくる函館市町会連合会(新谷則会長)は10月21日、市亀田福祉センター(美原1)で、大間原発建設凍結・函館市民総決起集会を開く。市が国と電源開発(東京)を相手に起こしている大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟を担当する海渡雄一弁護士を招いた講演などで、市民に大間原発の危険性を説明し、建設凍結の必要性を訴えていく。

 昨年12月から今年3月までの間、原発建設凍結に向けて14万6184筆を集めた署名活動の成果を風化させないようにと決起集会を企画。10月23日の住民訴訟(函館地裁)の口頭弁論の前に開き、市民の関心を高める狙いもある。

 集会は3部構成で行われ、大間原発から函館市までの距離が最短23キロと近く、世界で初めてフルMOX燃料を全炉心で使用することや、周辺で活断層の存在が指摘されていることを説明し、建設凍結を強く訴えていく。

 第1部は「福島からのメッセージ」と題し、福島第1原発事故による安心、安全神話の崩壊をテーマにした映像を放映。事故の悲惨さを訴えた詩の朗読も行う。第2部では海渡弁護士が「大間原発建設差し止め訴訟の現場から」と題して講演。同訴訟の状況や、過去に携わった訴訟の事例を紹介する。第3部では建設凍結を訴える声明文を発表する。

 新谷会長(80)は「署名活動で集まった市民の原発凍結への思いを風化させないように、大間原発の危険性に警鐘を鳴らす機会にしたい」と話している。

 決起集会は午後6時から。参加無料。定員500人。ヤマダ電機(美原2)屋外駐車場(奥側)が利用可能。問い合わせは市町連(TEL0138・22・0180)へ。  (能代俊貴)