2015年9月7日 (月) 掲載

◎介護予防教室 メニュー増え好評 函館市

 元気な85歳を目指して健康づくりに挑戦してみませんか—。函館市は平均寿命を迎えても元気に生き生きとした生活を長く続けられるよう、運動実践と講話による「介護予防教室」(参加無料)を毎年開いている。これまで転倒骨折予防の教室のみだったが、本年度から新たに筋力・脳力アップ、泳がないプール運動を取り入れ、現在計4つの教室を開催中だ。さまざまな視点から高齢者の健康づくりに取り組んでおり、参加者の健康維持の意識づけに一役買っている。

 同教室は、「第7次市高齢者保健福祉計画・第6期市介護保険事業計画」(2015〜17年度)で定める介護予防事業の1つで、要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の市民を対象に実施。昨年度までは市直営による事業だったが、今夏から介護予防における専門の知識を持つ民間事業者に業務委託し、事業の拡充を図った。

 新たに「マシンで!筋力アップ教室」「泳がない!プール運動教室」「わくわく!脳力アップ教室」を加え、これまでの「転ばない!からだづくり教室」と合わせ計4教室を開講。各教室とも1時間半ほどで、全10回。本年度は延べ3960人の参加を計画している。

 このうち、ルネサンス函館(鍛治2)が受託する筋力アップ教室は定員20人で、ランニングマシンによる有酸素運動や上・下肢を鍛えるトレーニングを行っている。腕をしっかりと振り普段より少し早めの歩行、体に負担をかけすぎないトレーニングなどで、日常生活に重要な筋肉を効率よく鍛えられる。

 トレーニング後に取り入れているダンベル体操は、1、2キロのダンベルを両手に持ち、肩や腕を動かすもので、自宅でも気軽に行えるメニュー。介護予防教室初参加の水野八博さん(67)は「働いている間は健康、介護についてあまり考えていなかったが、トレーニングのおかげで体の痛みがなくなり、今後も継続して体を動かしたいと思った」と話していた。

 このほか、脳力アップ教室では順番通りにステップを踏んだりボールを上に投げている間に手を数回叩いたりなど、ルールを決め、頭を使いながら運動するメニューを用意。加えて、各教室で毎回10〜30分ほどの健康講座を開き、食事の取り方や認知症予防などについての知識も身に付けられるのが特徴だ。

 同計画によると、14年度の認知症高齢者が9959人なのに対して、25年には約2200人増の1万2135人に上ると推計。市保健福祉部高齢福祉課は「運動は健康づくりとともに、認知症予防にも効果的。ぜひ興味のある教室に参加して欲しい」としている。

 市は秋期の参加者を18日まで募集(申込順、定員になり次第終了)。問い合わせ・申し込みは同課(勝手TEL0138・21・3081)へ。(蝦名達也)



◎函館—倶知安バス 運行開始 10月まで

 来年3月の北海道新幹線開業に伴う二次交通の実証実験として、道は5、6の両日、函館市—後志管内倶知安町間の都市間高速バス「しりべし号」(乗車定員42人)を初めて運行した。利用者へのアンケート調査を行い、定期便化や旅行商品の開発を目指す。10月12日までの土・日曜、祝日に利用できる。

 函館とリゾート地の倶知安・ニセコ地区を結ぶ直通のバスや列車はなく、新幹線開業後に観光客をどう後志に呼び込むかが課題となっている。道がニセコバス(ニセコ町)に委託し、試験運行をスタートさせた。

 同社によると、5日は倶知安→函館28人、函館→倶知安23人、6日は倶知安→函館2人、函館→倶知安4人が利用。6日、JR函館駅前から帰りのしりべし号に乗車した倶知安町の会社員松本卓也さん(40)は「新幹線開業後は二次交通手段が必要になる。冬季にトランクを持った外国人観光客が長万部駅で乗り換える姿を見るので、バスの需要はあると思う」と話した。

 しりべし号は午前9時倶知安駅前発と、午後2時半函館駅前発の1日1往復。道の駅「くろまつない」や「ニセコビュープラザ」など5カ所に停車、所要時間は3時間55分。料金は乗車区間によって2400〜3600円(子ども半額)。予約はニセコバス(電話0136・44・2001)へ。(山崎大和)



◎道南 野菜高値傾向 葉物昨年比2〜3割高

 9月に入り、道南の野菜が高値傾向だ。本州の天候不順の影響が主だが、地場産でも急激な気温低下に伴う品薄になっているほか、地元産の出荷時期が終盤を迎えたことなども高値傾向に拍車をかけている。

 中島廉売(函館市中島町)の「天内青果」は「6、7月の天候不順が影響し、トウモロコシや枝豆の実入りが良くない」と指摘。「今年はヒグマの出没が多く、トウモロコシ農家がクマを恐れて収穫を避けていることも割高に拍車をかけている」とみている。

 さらに、夏場の蒸し暑さと多雨で、ホウレンソウやレタス、小松菜などの葉物が傷み、地場産の出回りの少なさもあって昨年比べて2〜3割高いという。

 昭和町のホクレンショップ函館昭和店(浜田将宏店長)では「ジャガイモや玉ネギ、ニンジンなどは安定した価格で推移しているが、本州産のナスやキュウリ、トマトは9月に入り気温が下がったことで品薄になり、割高になっている」と分析する。

 日ごとに寒さが増す中、市民の心と体を温めるのは鍋料理。同店では「白菜やキノコ類などは昨年並みの値段で動き出しているが、葉物は今後の天候次第で高値がつく可能性もある」としている。

 富岡町の主婦(53)は「今は地場産の野菜をメーンに買っているが、来月以降本州産の野菜の高値が家計に響くのではないかと心配」と懸念の声もあり、価格の動向に注目が集まる。(稲船優香、田中陽介)


◎相談件数3年連続減少 子どもなんでも110番 養護は過去最多

 函館市が設置する相談窓口「子どもなんでも相談110番」に寄せられた2014年度の相談件数は、前年度比13件減の395件と、3年連続の減少となった。一方で、虐待としてできないグレーゾーンを含む養護相談は312件で、2007年度の設置以降で最多になったことが分かった。

 養護相談の内容別では、DV(ドメスティック・バイオレンス)や食事を満足に与えないといったネグレクト(育児放棄)と認定しづらい「その他」が、同比61件増の221件で最多。「体にあざが見られる」など、児童虐待が同比44件減の91件となり、養護が全相談件数の8割近くを占めた。

 また、渡島・桧山管内を所管する函館児童相談所に14年度寄せられた児童虐待に関する相談のうち、虐待と認定して処理した事例は267件と、13年度から127件増えている。市子ども未来部は「警察や児童相談所への通報、相談が広く市民に認識されたことにより、当相談窓口への児童虐待相談は減少し、児童虐待以外の養護相談が増加したのでは」とみている。

 このほかの相談では、不登校が前年度比14件減の24件、育児・しつけに関する相談が5件減って14件。相談者は児童虐待、不登校の場合は教育現場や医療機関からが多かった。高校卒業後の進路や親族関係の悩みを聞いてほしいとの相談もあった。

 同窓口は18歳以下の子どもに関する家庭や学校で発生した事例、虐待と思わせる相談に対応。教職員OBが電話を受け取り、ケースに応じて専門機関につなぐ役割を果たす。同部次世代育成課は「一緒に原因を考え、少しでも本人の役に立てるよう機能させたい」としている。

 同窓口の開設時間は平日午前8時45分から午後5時半まで。電話0138・32・3192。(蝦名達也)