2015年9月8日 (火) 掲載

◎駅間地区商業施設の改装活発

 JR函館駅や周辺の商業施設では、改装の動きが活発化している。北海道キヨスク(札幌)は1日から、同駅構内の商業ゾーンのリニューアルに着手。棒二森屋(若松町)は、地下の食品売り場を一新する。半年後に迫った北海道新幹線開業を商機とし、市民や観光客の集客を図る狙いだ。

 北海道キヨスクは、同駅の商業エリア約925平方メートルを全面改装。1階に地元の特産品などを販売する専門店街を新たに設置するほか、土産品売り場を拡張する。

 専門店街には6、7店が入居する計画で、このうち、洋菓子店「ペイストリースナッフルス」は実演販売を行い、同駅限定商品などを紹介。老舗パン店「キングベーク」は、実演コーナーを併設したチョコレート専門店を出店する。

 2階には、地元の人気飲食店などが出店。ラーメン店「函館麺厨房あじさい」や創作料理「和ダイニング井井」は、同駅オリジナルメニューを提供する計画だ。このほか、タリーズコーヒージャパン(東京)が、五稜郭病院店に続く市内2店目の店舗をオープンする。

 商業ゾーンは、大手コンビニ「セブンイレブン」が11月、1階に開店するのを皮切りに、順次部分営業を開始。グランドオープンは来年3月を予定している。同社は「希少価値の高い地元産品を新たに発見する楽しみをお客様に提供したい」としている。

 棒二森屋は2日から、約7800万円をかけて地下の食品売り場の大規模改装を進めている。函館市内の料亭やコンビニなど4事業者が新たに出店し、総菜・弁当の売り場を拡充。量り売りの導入や幅広い価格帯の商品を取り扱い、観光客や単身世帯などの多様なニーズに対応する。25日のグランドオープンに先駆け、9日に直営の一般食品コーナーの営業を始める。

 新規出店は、コンビニチェーンのハセガワストア(中道2)、料亭の寿々半(本町)、カフェのマルセン(大手町)、明治屋産業(福岡県)が全国展開する精肉店の壱丁田。それぞれ開店の準備が整い次第、25日までに順次オープンする。

 また、函館近郊の新鮮な野菜や果物などを販売する「マルシェ・ナチュール」や、東京の高級スーパー「成城石井」とタイアップし、ワインやオリーブオイルなどのこだわりの商品が並ぶコーナーも新設する。

 このほか、本館地下でハムやソーセージを販売している函館カール・レイモン(元町)がアネックス館地下1階に移転(9日予定)。売り場面積を拡大し、ホットドックの提供を始めるほか、6席程度のイートインスペースを設ける。

 岩岡正剛店長は「新幹線開業における交流人口の増加や地域の高齢化進展など、これから起こり得る変化に対応するために生まれ変わる必要がある」としている。(山田大輔、金子真人)



◎水産・海洋都市推進機構〝浜回り〟コーディネーターに中尾さん着任

 函館国際水産・海洋都市推進機構(石尾清広代表理事)のコーディネーターに中尾博己さん(63)=函館在住=が7日、着任した。漁業のさまざまな課題に対応するため、現場と研究者との間をつなぐ〝通訳〟の役割を担う。水産業のプロとして豊富な知識と経験を持つ中尾さんは「浜の応援団に徹したい」と張り切っている。

 中尾さんは1951年、山口県宇部市出身。北大水産学部を卒業後、77年に道職員となり、函館水試水産業専門技術員、渡島西部地区水産技術普及指導所長、渡島中部地区水産技術普及指導所長など「水産畑」一筋に歩んできた。前職は常呂漁協(北見市)で新しい資源としてナマコの種苗生産・放流技術定着化を先導。現場に精通したコーディネーターの採用計画を新聞記事で知り、「ナマコの技術が安定してきたので、自分に課せられた課題に一区切り付いた」と判断、応募に踏み切った。

 道南勤務の経験から、業界に幅広い人脈を持つのが強み。「普及指導員時代と同じで、浜の課題を発掘し、解決に向けた道筋を示すことが大切。うまく現場と研究者の橋渡しができれば」と意気込む。函館を中心に現場を駆け巡る日々が始まる。

 浜の将来を担う人材育成も重要なテーマだ。「魅力ある漁業の確立を目指して後継者対策にも力を入れたい」と話す。

 同機構は、漁業者のニーズがなかなか吸い上げられていない現状を改善するため、常勤職員として〝浜回り〟コーディネーター1人を採用、課題解決に向けた態勢を強化する狙い。函館市の委託事業で、本年度の補正予算に270万円を盛り込んだ。9月〜来年3月分の人件費に充て、その後も3年程度は継続雇用を見込んでいる。(山崎大和)



◎市議会 昨年度の生活保護費 7年ぶりに前年度下回る

 函館市の2014年度の生活保護費(扶助費)決算額は、前年度比約6300万円減の215億9864万円となった。前年度を下回るのは7年ぶり。不正受給決定額も同約1900万円減の6124万円で、市の就労支援、不正受給対策の効果が表れた。

 7日の市議会予算決算特別委員会民生分科会(池亀睦子委員長)で、金澤浩幸氏(市政クラブ)、松宮健治氏(公明党)の質問に市保健福祉部が答えた。

 受給者数(通年平均)は03年度に1万人を数えてから右肩上がりに増え続け、昨年3月に過去最高の1万3068人を記録。市は不正受給対策として、昨年4月に市民からの情報を一元的に受け付ける適正化ホットラインを開設。また、従来からの就労支援プログラムなどの支援の取り組み方を見直した結果、今年6月の受給者数は1万2662人と、ピーク時から406人減少した。

 14年度に同ホットラインに寄せられた情報151件のうち、不正または不適正と判明したのが31件。このうち生活保護の廃止に至ったのは16件で、内訳は車の使用10件、届け出と異なる場所の居住4件、就労収入の未申告1件などだった。

 人口1000人当たりの生活保護受給者を示す保護率も、ピーク時には47・7だったが、現在は47前後で推移している。同部生活支援第1課は「最低賃金の引き上げや有効求人倍率の上昇など、社会経済情勢が上向いてきていることを背景に、就労支援や不正受給に対する取り組みの成果が表れてきている」とした。(蝦名達也)


◎昨年度も故障相次ぐ 稼働可能わずか5カ月/恵山地区の風力発電

 函館市は7日の市議会予算決算特別委員会経済建設分科会で、恵山地区で行っている風力発電に関し、昨年度も風車の故障が相次ぎ、稼働可能時間が2基合計でわずか5カ月だったことを明らかにした。

 昨年度の風力発電事業特別会計は428万円の黒字を計上したが、売電収入は770万円にとどまり、一般会計からの繰入金2050万円などを充てることで、かろうじて損失を補っているのが現状だ。

 市経済部工業振興課は、2基ある風車のうち山側の1号機に関し、羽根の角度を調整する機能が故障したり、羽根3枚のうち1枚の根元部分に大きな亀裂が見つかったりするなど運転停止が続き、海外からの部品調達に長期間を要したことなどから、昨年度の稼働可能時間が約1カ月だったと報告。2号機も基幹部品の不良などで、稼働可能時間が約4カ月だったと説明。2基とも現在、稼働を停止している。

 「故障がなければどの程度の売電収入を得られるのか」とただした浜野幸子氏(市政クラブ)に対し、同課の干場俊雄課長は約2400~2600万円とした一方、定期点検や電気主任技師の人件費などで年間約1200万円のコストがかかる上、部品交換や緊急修繕料なども必要と説明。「売電収入の減少と修繕料増加という二重のダメージを受け、メリットを出せていない」と述べた。

 風車は旧恵山町の第三セクターが国の外郭団体「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の補助金3億6000万円を活用して総事業費9億円で建設。2002年から運用している。合併に伴い04年12月から市が引き継ぎ、18年まで補助金返還義務を負うが、年間1000万円以上の修繕料を支払った年が計4年間あるなど、故障が頻発している。

 同課長は今後について「今の時点で廃止した場合でも補助金返還義務が生じる上、廃止後の扱いをどうするかなどを考慮する必要がある。収益性の観点も含め、さまざまな角度から検討を進めている」と述べた。(千葉卓陽)