2016年1月12日 (火) 掲載

◎大人への決意新た、函館市成人祭に1488人

 成人の日の11日、第68回函館市成人祭(市、市教委、実行委主催)が函館アリーナで盛大に開かれた。アリーナ初開催となったこの日は、色鮮やかな振袖やスーツなどで着飾った新成人1488人が出席。久々に再会した仲間との時間を楽しみながら、大人になったことへの自覚と責任感を胸に刻んだ。

 市の本年度の新成人は1995年4月2日から96年4月1日までに生まれた人で、該当者は昨年より138人減の2144人(男性1050人、女性1094人)、出席率は69・4%だった。

 式典で工藤寿樹市長は、若者が函館で人生を送れるようまちづくりに努めることを強調した上で「今年は北海道新幹線が開業し、活気あふれる1年になる。開業後のイベントにぜひ参加して楽しんでもらいたい」と呼び掛けた。今後の活躍を期待し「焦らないで勇気を持って立ち向かってほしい」とエールを送った。

 新成人を代表し、吉原健斗さんと岩川姫子さん(ともに20歳)が「若いエネルギーと自覚を持って国際社会の一員として信頼される社会人になり、豊かな社会を築くよう努めます。愛する郷土である函館市の発展に努めることを誓います」と誓いのことばを述べた。

 その後、市内外で活躍するトラベリング・バンド「ひのき屋」が門出を祝って演奏したほか、祝賀行事が行われた。大抽選会で1等の旅行券5万円分を手に入れた、市内リサイクル店勤務の松代清志郎さん(20)は「まさか当たるとは思っていなくてとてもうれしい。これから行き先を考えて有意義に使いたい」と声を弾ませた。(蝦名達也)



◎思い出深い誕生日 中国出身の技能実習生・柏さんに同僚の中野さんが着物プレゼント

 祝賀行事のアトラクション「ハタチの主張」に登場した柏苗苗(ハク・ビョウビョウ)さん(20)は、中国・湖北省出身で技能実習生として昨年9月から湯川のホテルで働いている。偶然にもこの日が柏さんの誕生日。職場の同僚から贈られた晴れ着に身を包み、流ちょうな日本語で将来の夢をスピーチした。

 ステージでは、日本語との出会いが自分を変えるきっかけになったことや、今後も日本語以外の外国語を学び、その国で生活したいという目標を語った。柏さんは「これからきっといろいろなことがあるけれど、大丈夫。じゃないと人生は楽しくならないでしょう」と同じ年齢の若者たちに呼び掛けた。

 柏さんが袖を通した色鮮やかなだいだい色の着物は、同僚の中野由美子さん(59)がプレゼントした。中野さんは「柏さんは好奇心のかたまりで、繊細で優しくて一生懸命。だからこそ(記念になることを)やってあげたいという気持ちになる。縁あって函館に来たのだから、よい思い出にしてもらえれば」とほほ笑む。

 柏さんの函館滞在は9月までの予定。中国の成人年齢は18歳だが、成人式に当たる行事はないといい、函館で迎えた20歳の誕生日は忘れられない記念日になった。柏さんは「中野さんは温かい人。函館に来るとき正直つらい気持ちもあったけれど、いろいろなことをしてくれてうれしい。幸せです」と中野さんを抱き寄せ、涙ぐんだ。(今井正一)



◎一味違った練習に挑戦 高田・田島選手がサッカー教室

 【北斗】北斗市出身でサッカーのセントルイスFC(アメリカ)に所属する高田健太郎選手と来季から同国のマイアミユナイテッドFCでプレーする田島翔選手の2人が講師を務める「アメリカサッカー教室」(HK FOOTBALL PRO主催)が10日、市総合体育館で開かれた。市内外の約80人が参加し、現役プロ選手と交流を図りながら練習に励んだ。

 「HK FOOTBALL PRO」は道内のサッカー選手の育成、普及をはじめ、将来海外のサッカーに挑戦する選手を教室などを通してサポートしようと両選手が立ち上げ、この日は古里の北斗市で初めての開催。

 午前と午後の2部構成で小学生1~3年生と4~6年生を対象に開かれた。

 教室ではドリブル練習で体を動かし、続いて頭や胸など体のあらゆる部分を使ったトラップ練習を実施。「ヘッド」「チェスト」などと高田選手の英語の指示に子どもたちはうまく対応し、一味違ったメニューに挑戦した。

 最後は個人スキルの上達に加え、集中力、コミュニケーション力の向上を狙いに、一対一やミニゲームを開催し子どもたちは練習の成果を発揮した。

 高田選手は道教大函館を卒業後の2006年にJ2のザスパ草津に入団し、09年からアメリカでプレーし続ける。子どもたちに向けては「コツコツと努力することが上達の秘訣(ひけつ)。どんな練習でも考えながら、取り組んでほしい」と話した。

 また昨年10月に十勝フェアスカイFCを退団し、4月から自身初の北米大陸チームに挑戦する田島選手は「子どもたちと楽しみながら練習できた。この経験を励みにして新チームでも活躍したい」と語った。

 西部FCの今井優太君(青柳小5年)は「楽しかった。もっとうまくなれるように頑張る」と笑顔を浮かべた。(毛利祐一朗)


◎函館市、次期水産振興計画期間5年に短縮

 函館市は、来年度に最終年度を迎える市水産振興計画の次期計画について、計画期間を現行の10年間から5年間に短縮する考えを示した。海水温の上昇に伴う漁業環境の変化をはじめ、従事者の高齢化、後継者対策など社会情勢を含めた変化に迅速に対応するため。各種対策をはじめ、市国際水産・海洋総合研究センターなど研究機関との連携などを盛り込み、10月をめどに計画を策定する。

 昨年12月下旬に市水産物地方卸売市場で開かれた市水産振興連絡協議会で市農林水産部が示した。協議会は委員改選後、初の会議で、会長に北大大学院水産科学研究院の木村暢夫教授を再任した。

 2004年12月の市町村合併で、函館は全国有数の水産都市となり、現計画は06年度に07~16年度を計画期間として策定。漁業経営体数や漁業生産量、生産額の目標値を定め、計画の106事業のうち、昨年度までに計95の事業を展開した(一部実施を含む)。ただ、近年は養殖コンブの芽落ちや脱落、イカの不漁、ブリなど暖流系魚種の回遊など、近海の自然環境は急激に変化するなど、新たな課題も浮上してる。

 市は次期計画で取り組むべき課題を▽漁業者の減少・後継者不足▽高齢化・労働力不足▽漁獲量・生産量の低下▽需要、価格の低下▽環境の変化に伴う新たな課題の発生-の5点に集約。各種施策を新計画に盛り込む考えだ。

 会議では、市内各漁協組合長からは、高齢化と後継者不足への懸念が続出。労働力に見合うだけの安定した収入や若年世代への支援の充実などの課題が挙がった。木村教授は、海洋環境の変化について「資源の問題では私たちも予測ができない変化がこの何年かで起きている。確実に温暖化が進行している」と問題を提起した。(今井正一)