2016年1月14日 (木) 掲載

◎「みそぎの郷きこない」オープン

 【木古内】道の駅「みそぎの郷きこない」(本町338、浅利文博センター長)が13日、オープンした。木古内で初となる道の駅に町内外から大勢の客が訪れ、道南地域の特産品や料理を買い求めていた。

 みそぎの郷きこないは、北海道新幹線開業に伴う木古内駅前整備計画のメーン施設で、2012年度から設置準備を本格的に着手。昨年8月に建物が完成し、11月に道内で116番目の登録を受けた。

 町の伝統神事「寒中みそぎ祭り」をコンセプトとし、道南スギで温かみある開放的な空間が特徴。道南西部9町で広域観光の拠点施設を担い、各町の特産品を土産コーナーに設置するほか、各地域の幅広い観光知識を3年間で蓄えたコンシェルジュが常駐し、案内と情報発信を行う。

 また、二次交通としても自由な周遊探訪を楽しめるように、施設内にはレンタカーカウンターやバス待合所、約300台分の無料駐車場を整備した。さらに、世界的なイタリア料理人の奥田政行さんが監修する併設のレストラン「どうなんde’s Ocuda Spirits」では、道南食材の素材を生かした料理を提供する。

 オープニングセレモニーで大森伊佐緒木古内町長ら関係者5人がテープカットし、営業開始。大森町長は「新幹線時代に向け、地域の人や来町者に喜んでもらい、道南全体の活性化と発展を図るため、しっかりと役割を果たしていく」と話した。

 来場者は、野菜や海産物などの特産品や新幹線関連グッズなど500点以上の商品を手に品定めを楽しんだ。このほか、姉妹都市の山形県鶴岡市にある加茂水族館からミズクラゲの出張展示も行った。北斗市の宮崎さおりさん(42)と優花さん(8)親子は「木のいい香りに包まれ、きれいで素敵な雰囲気。クラゲもかわいい」と笑顔。木古内町の60代夫婦は「素晴らしい。地元でなかなか手に入らない特産品を買えるので通いたい」と喜んだ。

 レストランでは、奥田シェフや飯田晃久料理長らが腕を振るって調理。はこだて和牛などを焼いて食べた木古内町の水口厚子さん(65)は「料理に地元食材が使われていて、どれもおいしかった」と話していた。(斎藤彩伽)



◎木古内「寒中みそぎ祭り」開幕

 【木古内】今年で186回目を数える町の伝統神事「寒中みそぎ祭り」が13日、佐女川神社(野村広章宮司)で開幕し、地域の繁栄や豊漁豊作を祈願する行修者4人が水ごりで心身を清めた。最終日の15日まで昼夜を問わず、水ごりの鍛錬を行う。

 今回の行修者は、別当の公務員高橋駿さん(24)、稲荷の会社員目時基史さん(24)、山の神の高校生新井田真一君(17)、弁財天の高校生加藤之康君(17)の4人。

 この日は午後6時から、同神社で参籠(さんろう)報告祭が執り行われた。野村宮司が祝詞を読み上げ、行修者が鍛錬に入ることを神に報告。関係者が玉ぐしを捧げるなどし、祭りの成功を祈った。

 報告祭後、社殿から下帯姿の行修者が石段を下りて水ごりを開始。氷点下4度の中、冷水を気合いを込めて掛け合う勇敢な立ち振る舞いに、見守っていた約50人が「頑張れ」とエールを送り拍手していた。(斎藤彩伽)



◎イキ!ネット解散 再生10年当初の目的達成

 函館市公民館(青柳町、遠山孝一館長)を生かしたまちづくりを推進してきた市民団体「函館市公民館活性化ネットワーク」(イキ!ネット、松石隆代表)が13日、設立当初の目的を達成したとして解散した。運営資金の残金で譜面台などを市教委に寄贈し、10年間の活動にピリオドを打った。

 イキ!ネットは、老朽化していた同館を市民の生涯学習、文化交流の拠点として再生しようと、2006年に発足。07年からは「公民館マチネ」と銘打ったコンサートを定期的に開催した。25回で230人が出演し、観客約4000人を動員。来場者にアンケートを実施し、公民館のあり方をまとめるなど、活動は改修の契機となった。

 同館は昨年4月、改修工事を経て昭和初期のレトロな雰囲気そのままに生まれ変わった。遠山館長は「使用料の安さも相まって、発表会はもちろん、練習に使う市民が多い。改修前より稼働率はアップしている」とする。

 改修完了と利用実績の伸びを受け、イキ!ネットは解散を決断。譜面台やピアノいすなど、計24万円相当を寄贈した。市教委の山本真也教育長は「素晴らしい公民館の存在を伝え続けてくれてありがたい。大切に使わせていただく」と述べた。

 松石代表は「改修という形で活動が実を結んだ。声を届けてくれた市民に感謝したい。函館の雰囲気に合う室内楽の一層の振興につながれば」と話した。(稲船優香)


◎函館視覚障害者図書館、情報提供支援講習会開催へ

 NPO法人函館視覚障害者図書館(大浅昭夫理事長)は新年度、自力で読み書きや周囲の情報を収集することが困難な視覚障害者、高齢者の支援を目的とした専門ボランティアを育成する「情報提供支援講習会」を開催する。函館市の市民協働モデル事業の一環で、独居高齢者の増加や情報化社会に対応する取り組みとして期待される。

 市の同事業は、NPO法人やボランティア団体を対象に、新たな発想や専門性を生かした公益的な活動を補助。きめ細かな市民サービス提供の拡大を目的とする。

 同館は1967年に設立。2009年に法人化し、昨年5月から認定NPOとして活動している。主なサービスは、点字・音声図書の貸し出しや作成、対面朗読のほか、11年から代読・代筆サービスを開始。代読・代筆サービスの利用者は11年度233人、12年度271人、13年度257人、14年度281人(いずれも延べ人数)と好評だ。最近ではマイナンバー制度に関し、個人番号カードの申請のために利用する人も増えてきた。

 新年度開催する講習会では、視覚障害者の通帳や申請書など、個人情報保護法に関わる代読・代筆の技能、日常生活や災害時などに周囲の状況を的確に伝えられる力を養う。森田館長によると、11年の東日本大震災発生後、避難所では周りで何が起こっているのか理解できず、体調不良などを引き起こしてしまった視覚障害者がいたという。森田館長は「視覚障害は誰でもなり得るものであると同時に、人には情報を得る権利がある。健常者同士の助け合いと同じように、視覚障害者への情報提供支援も充実させなければならない」と説明する。

 東京都などでは、銀行員が視覚障害者の通帳の取り扱い方を学び窓口対応するなど、情報提供支援は全国的に広がりつつある一方、函館市では進んでいない。新年度の講習会は半年間にわたって計6回開催し、障害者の外出を支援する移動介護従事者(ガイドヘルパー)や情報提供支援に関心のある人など広く対象とする予定。

 森田館長は「専門ボランティアの充実によって、視力がなくても安心して暮らせるまちづくりを目指したい」と話している。(蝦名達也)