2016年1月16日 (土) 掲載

◎新幹線で乗客救助訓練 大地震で脱線事故想定

 【北斗】3月26日の北海道新幹線開業に向け、JR北海道と南渡島消防事務組合は15日、大地震による脱線事故を想定した初の大規模救助訓練を北斗市千代田の高架橋で実施した。地元消防や警察、医療機関などから約300人が参加し、緊急時における乗客の避難誘導を確認した。

 訓練は、午前10時に新函館北斗駅を発車した新幹線車両(10両編成、乗客119人)が3分後、震度6強の地震発生の影響で脱線し、20人の負傷者が出たとの想定で行われた。

 JRの新幹線運行管理センター(札幌)から通報を受けた救急隊とJR社員が高さ10メートルの高架橋に入り、緊急停止した車両から乗客を降ろし、高架橋に設置している斜路(スロープ)を通って地上に誘導した。負傷者は担架に乗せて搬出し、救急車やドクターヘリに乗せた。スロープから離れた場所での脱線を想定し、はしご車で高架橋から負傷者を降ろす訓練も行われた。

 訓練は約2時間行われ、JR北海道の田畑正信常務取締役は「消防、警察と連携して万全な開業準備を迎え、北海道新幹線を無事に開業させていきたい」と総括。南渡島消防事務組合の藤井仁志消防長は「訓練をするために線路の電気を切る作業に時間がかかった。高架上も雪があり、厳しい中での訓練を実感できたことは有益になった」と講評した。

 JR函館支社は昨年11月、青函トンネル内で列車火災を想定した総合防災訓練を吉岡定点(福島町)で行った。その際、新幹線開業の安全対策強化を図るとともに、昨年4月に発生した特急列車の発煙事故を教訓に、乗客が地上に続く階段を上って避難する訓練を実施している。また、2月には青函トンネル内で新幹線を使用した訓練を計3回検討している。



◎オウギハクジラ 安浦漁港に漂着

 函館市安浦町の安浦漁港東側の海岸に14日、体長4メートル36センチ、重さ約1トンのオウギハクジラが打ち上げられているのを地元の漁業者が発見した。クジラは15日に函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町20)に運ばれ、国立科学博物館(東京)の研究者らによる解剖が行われた。同館の田島木綿子博士は「オウギハクジラが北海道の太平洋側で確認されるのは極めて珍しい。貴重な検体なので各研究機関と連携して調査を進めていきたい」と話している。

 オウギハクジラはオウギハクジラ属に属する小型のクジラで、世界的にも確認例が少なく、生態が不明な部分が多い。北海道では日本海側で漂着の報告があるが、「太平洋側に打ち上げられたのは聞いたことがない」と田島さん。「何らかの理由で津軽海峡を渡ってたどり着いたのでは」と推測する。

 この日の解剖には田島さんを中心に、北大や同大大学院でクジラを研究する学生ら約10人が参加。肉片と骨を切り離したり、内臓を分離して長さや重さを測るなど手早く作業を進めていった。

 田島さんは「クジラは雄で生殖能力はあるが、かなり若いと推測される。内臓に病気の兆候は見られず、致命傷となるような外傷もないので、現時点では死因は特定できない」としながら「かなりやせた状態なので、衰弱死した可能性も考えられる」とする。

 解剖された検体は愛媛大学など国内各地のクジラ類研究機関に送られ、DNA分析や有害物質の汚染状況などについて詳しく調査が行われる。(小川俊之)



◎港まつりパレード ミッキー再び登場

 ミッキーマウスをはじめとする人気のディズニーキャラクターたちが、8月の「開港157周年記念函館港まつり」に登場することが決まった。東京ディズニーシー(千葉県浦安市)の開園15周年を記念した関連イベントで、函館など全国の海や港にゆかりのある15都市で開催。函館でのパレードは2012年以来4年ぶり2回目となり、ミッキーたちとの再会を期待した市民の〝Wish〟(願い)をかなえる夏になりそうだ。

 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが発表した。ディズニーシーの15周年イベント「ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ」は4月15日から来年3月17日まで開催。「地元の子どもたちと一緒にお祭りに参加し、15周年の感謝の気持ちを伝える」関連イベントとしてスペシャルパレードを企画した。15都市のうち、3月27日の沖縄県豊見城市など、9カ所が決定している。

 港まつりでは、8月2日の「ワッショイはこだて」の十字街・松風コースに登場。ミッキーとミニーマウス以外に来函するキャラは未定だが、スペシャルパレード初登場の特別仕様車「ドリームクルーザーIII」、15周年デザインの「ドリームクルーザーII」に乗って行進。コースや時間帯など、詳細は関係者で協議し、今後決定する。

 前回12年8月のパレードは、市制施行90周年を記念して市が招へいし、港まつりは例年にない熱気に包まれた。その後も函館では、ディズニーランドの関連イベントの撮影が行われるなどしている。市観光部は「これまでも函館にいろいろと配慮をいただいているので感謝している。北海道新幹線開業もあり、この夏は大変な盛り上がりになると期待している」とする。函館観光コンベンション協会の渡邉兼一会長は15日に開いた同協会の新年会で「ミッキーと仲間たちのパレードが前回以上のスケールで行われる。今から楽しみにしている」と期待感を示した。

 一方、オリエンタルランド広報部は「函館におじゃまするのは8月ですが、4月に始まる東京ディズニーシーの15周年イベントに、北海道新幹線での来園もお待ちしています」としている。(今井正一)


◎棒二アネックス館改装へ

 棒二森屋(函館市若松町、岩岡正剛店長)は2月から、最大6000万円を投じてアネックス館の改装に着手する。昨年9月の本館地下食品売り場に続く大規模改装で、1階には道南を中心とした人気の洋菓子やコーヒーなどが味わえる「はこだてスイーツ」を新設。地階の土産物売り場はレイアウトを見直し、品ぞろえを大幅に強化する計画で、北海道新幹線開業に合わせて3月26日のリニューアルオープンを目指す。 

 現在婦人服ブランドが入居している1階約250平方メートルを一新。地階の美鈴コーヒーやモロゾフなどを1階に移設、宮前町と函館空港に店舗を構える「トップスポップコーン」が新規出店するほか、道南の人気菓子店の商品を並べ、同店が直営する。50席のイートスペースも用意する予定で、その場でスイーツなどを味わうこともできる。

 デザインは、道南スギや赤レンガをモチーフとし、自然を感じさせるフロアを計画しているという。同店は毎年、函館・近郊の和洋菓子を一堂に集めた「はこだてスイーツフェスタ」を開いており、岩岡店長は「今後は地域の皆さんに魅力の味を日常的に楽しんでもらうとともに、スイーツを函館の新名物として発信したい」と狙いを語る。

 同じ1階フロアには観光パンフレットなどを並べるほか、交通路線図や市内のイベントなどを紹介し、情報発信の強化も手掛ける予定だ。

 一方、地階約600平方メートルはゆったりと買い物が楽しめるようレイアウトを変更し、通路を拡充。土産品は函館ならではの商品にこだわり、品数を大幅に増やす。地階は9月に改装した本館との連絡通路があり、「ハセガワストア」や「寿々半」など地元の人気店が並ぶ本館食品売り場との相乗効果を狙う考えだ。このほか、増加する外国人客向けに免税カウンターも新たに設置する。

 アネックス館の改装工事は1階が2月1日、地階が同15日からの予定。岩岡店長は「キラリス函館と並んで駅前の2大ランドマークとしての役目を果たし、ここでしか手に入らないものを提供していきたい」としている。(山田大輔)