2016年1月21日 (木) 掲載

◎大谷短大学生が函館山観光の不満調査

 函館大谷短大コミュニティ総合学科の2年生グループが、ロープウエーや売店など函館山にある施設の利用実態を調査し、20日、函館山ロープウェイに調査内容を報告した。利用客のアンケート結果を分析し、混雑時や夜景が見られなかった際の対応策などを提起した。

 昨年7月、同短大と同社が締結した連携協定に基づいて、マーケティングを指導する鄭蕣玉(チョンスンオク)講師のゼミ受講生5人が調査。7月24日から同30日まで、ロープウエー利用者1358人にアンケートを行った。このうち、592人が台湾や中国などの外国人観光客だった。

 結果は全体の74%が「満足」「非常に満足」とした一方、26%が「どちらでもない」「不満」などと回答。満足できなかった理由(複数回答)として「(夜景を見る際)搭乗までの待ち時間が長すぎる」「(天気の影響で)景色が見られなかった」「いすが足りない」が上位を占めた。売店やレストランの利用者は33%、10%にとどまり、3割が「満足していない」との回答があった。

 報告会では学生が同社の役員や幹部の前で内容を発表。夜景が見られない時の対応策に代用イベントの企画や、混雑解消策として時間帯で料金設定を変えること、また、防寒対策でコートをレンタルするなど、対応策を提起した。

 同社の桜井健治専務は「貴重な資料として参考にしたい」と述べた。同学科の塩谷未来さんは「1年間取り組んできた成果を出せて良かった」と話し、鄭講師は「なぜ満足しなかったのかを着目して分析した。今後も継続的に調査していきたい」とした。(鈴木 潤)



◎「ガーデンシティ」に本腰、工藤市長

 函館市の工藤寿樹市長は20日の定例会見で、新年度の市政課題について、3月26日の北海道新幹線開業による市の経済再生を掲げ、「交流人口の拡大を前面に出しながら進めていきたい」と意気込みを述べた。まちづくりの視点からも、新年度から15年かけ、西部地区のような観光客に人気のある街並みを全市的に整備する〝ガーデンシティ計画〟を本格的に着手することを強調した。

 新幹線開業による国内外観光客の一層の増加に期待する同市長は、市政2期目の柱である経済再生と人口減少対策を引き続き、重点的に取り組む姿勢をみせた。人口減少対策は本年度、企業立地促進を目的とした補助制度を創出したことを挙げ「若者の雇用拡大のため、企業誘致を本年度以上に取り組んでいきたい」と述べた。

 同計画は同市長が、歩いて楽しい魅力あるまち(ガーデンシティ)づくりを進めるのを目的に、新年度に策定。同市長は優先的に街路整備を実施する地区を決定し、新年度予算に整備事業費を盛り込む見通しを示した。また、着手時期は未定だが、同計画を進める上で函館山の遊歩道、登山道も整備することを明かした。

 夜景だけでなく、市民や観光客が昼間の函館山を散策する自然観光資源として活用するのが狙い。一般市民でも登れる標高(334メートル)で、獣害などの危険性もないことから「イメージとしては、手すりや木製の階段を付けるもので、ピクニックのように楽しめるようにすれば、十分(観光)資源になり得る」と説明した。

 このほか、市熱帯植物園の改修や、市立函館博物館や市北方民族資料館などの機能を集約する「総合ミュージアム」(仮称)の設置を検討する。総合ミュージアムは市政1期目の公約に掲げており、市立小中学校再編による廃校を利用する考えが出されている。集約化により各施設のランニングコスト削減につながる一方、貴重資料の温湿度管理などが必要で「実現可能か調査中」(市教委)とする。(蝦名達也)



◎グルメサーカスに東北の祭り招く

 函館市は、毎年9月に開催する道南最大の食のイベント「はこだてグルメサーカス」に、東北6県の各地を代表する祭りを招請する方針だ。「青森ねぶた祭」「秋田竿燈まつり」「山形花笠まつり」などが想定される。工藤寿樹市長は20日の定例会見で、「東北6県のさまざまな祭りを集結させ、できればパレードをやりたい」と述べた。

 グルメサーカスは、函館ゆかりの各地域から自慢の味を集めたイベントで、2012年度から開催。青森をはじめ、東北各県からも出店がある。大門グリーンプラザなどを会場に、昨年も2日間で18万人以上を集客した。今年の開催日やパレードの規模、実施場所などは今後、市などでつくる実行委で決定。市は東北各県の関係者に参加を呼び掛ける考えだ。今年はJR各社による青函デスティネーションキャンペーン(7~9月)の期間中の開催で、北海道新幹線で訪れる多くの観光客の集客も期待される。

 一方、新幹線開業当日の3月26日には、航空自衛隊松島基地(宮城県松島市)所属のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」による展示飛行が決定。防衛省の発表では、飛行場所は「函館駅等周辺上空」で、飛行経路や場所、時間帯は今後、決定する。

 ブルーインパルスの展示飛行は、2009年8月の函館港開港150周年イベントのオープニングで予定されたが、本番当日は曇天で中止となった経緯がある。工藤市長は「道や道経連が(実現に)熱心に取り組んでいただいた」と述べ、7年越しの飛行実現に期待感を示した。

 会見ではこのほか、来年2月に函館アリーナを会場としたイベント開催を検討していることを明かし、「アリーナに食や芸能など地元のものを集めたい。市民も(冬で)楽しみがないし、外国人観光客が入る春節時期がいい」と述べた。(今井正一)


◎新幹線利用の旅行商品続々、各社アイデア勝負

 北海道新幹線開業まで2カ月余りとなり、大手旅行会社が続々と新幹線を利用した旅行商品を発売している。新函館北斗―木古内間(35キロ)のみ乗車する短区間型から、新幹線を乗り継いで北海道から鹿児島まで約2000キロ移動する長距離商品などさまざまで、各社は知恵を絞り、開業ブームの需要取り込みを狙っている。

 北海道オプショナルツアーズ(札幌)は、「ちょい乗り鉄旅」を発売。札幌から木古内駅までバスで移動し、同駅から新幹線に乗車して、函館市内で1泊する商品だ。新幹線開業と同時に運行を始める「道南いさりび鉄道」や「はこだてライナー」も行程に組みこんで、「3つの新列車乗車体験」を売りにしている。

 出発日は3月29、31日、4月2、4日の4日間で、料金は大人一人1万9800円。同社によると各日10組程度の申し込みが寄せられているという。

 「北海道から1日で鹿児島へ 新幹線で日本大縦断」と題したユニークな商品を売り出したのは、阪急交通社(大阪)。函館発着のコースは2泊3日で、1日目は新函館北斗駅始発午前6時35分の北海道新幹線に乗り、東海道・山陽、九州の各新幹線を乗り継ぎ、鹿児島に午後6時半ごろ到着する。2日目は鹿児島の名所をめぐり、指宿温泉に宿泊。帰りは空路で戻る。

 価格は12万5000円から。出発は3月下旬~4月上旬で、すでにキャンセル待ちの日もあるなど好評だ。同社は「当初は40組程度の需要を見込んでいたが想像以上。日程を増やして200組の参加者に対応できるようにしている」とうれしい悲鳴を上げる。

 一方、首都圏発では日本旅行(東京)や近畿日本ツーリスト(同)などが、道南と東北を周遊する商品を発売。青森と函館のグルメを楽しむクーポンが付いた「青函遊結(ゆうゆ)SPECIAL]を発売した日本旅行の担当者は「トップシーズンの夏に向けて次々と企画を考えている。今までになかった広域観光の商品など新幹線を利用した新しい旅を提供したい」としている。(山田大輔)