2016年1月22日 (金) 掲載

◎青春の味 心も温まる 厚沢部の前井食堂、お年寄りにラーメン振る舞う

 【厚沢部】青春の味をもう一度―。町内の人気店「前井食堂」(本町45)が「前井さんのラーメンが食べたい」という町内のお年寄りの思いに応えて老人施設で“屋台”を開き、心を込めた一杯を無料で振る舞った。懐かしの味に入所者は感激し、同店は「昔の常連さんに食べてもらいたかった。皆さんの支えでお店があり、感謝の気持ちも伝えたい」としている。

 同店は1897(明治30)年創業の老舗。日本海のニシン漁が盛んだったころ、江差などから馬車で峠を越えて函館側に向かう途中に店を構え、峠を越える長旅に挑む先人の活力になった。5代目店主の前井敏弘さん(52)は地域とのつながりを大事に厨房に立っており、現在でも多くの住民に愛される存在だ。

 前井店主は昨年11月、町内の介護付き有料老人ホーム「ゆいま~る厚沢部」の関係者から「ここのラーメンを懐かしむ利用者がたくさんいる」という話を聞き、「店の休日に出向いて食べてもらいたい」と約束した。12月6日に前井店主と妻のみきさん(52)、前井店主の母親美恵子さん(73)がゆいま~るを訪れ、自家製の麺とスープ、店舗の丼ぶりを持ち込み、約20食分を振る舞った。

 「出前ではなくて、店と同じ雰囲気で」(前井店主)とトレードマークの前掛けとタオルを頭に巻いた姿にもこだわった。入所者の健康を気遣って薄めの味付けにし、スープを飲み干すお年寄りの姿を笑顔で見守った。町広報誌では「感激のあまり、涙を流しながら食べる人も」と紹介された。

 同施設は「前井食堂の好意がありがたく、温かな時間を過ごすことができた」と感謝。前井店主は「入所者の中には幼少時から食堂に通ってくれた人もいる。こんなに喜んでもらえて、こちらこそうれしい」と話している。(田中陽介)



◎観光タクシー「満足」9割 試験運行利用者調査

 道は、3月26日に開業する北海道新幹線新函館北斗駅からの二次交通対策で試験運行した、環駒ケ岳エリアでの観光タクシー(昨年9~11月)の利用者アンケートをまとめた。プラン全般で90%に近い非常に高い満足度となり、特に乗務員の対応や観光案内で高い評価を受けていることが分かった。一方で、観光スポットの少なさや所要時間の扱い、昼食場所が少ないという課題も浮かび上がった。

 試験運行は9月5日~11月29日に実施。料金1台1万円プラン(所要時間6時間半)は、函館市街発の「縄文の歴史探訪としかべ間歇泉(かんけつせん)のたび」など、全4コースを設定した。利用実績は95台で、260人がアンケートに答えた。

 プラン全般の満足度を聞いたところ「とても満足」「やや満足」と答えた人が合わせて88・3%に達した。「やや不満」が2・0%、「非常に不満」と答えた人はいなかった。

 項目別では、乗務員の対応は「とても満足」が89・5%、乗務員の観光案内も「とても満足」が81・2%と高い傾向にある。自由回答では「乗務員が親切丁寧で、臨機応変に対応してくれた」との声が上がっており、渡島総合振興局は「函館はさすが全国的な観光地だけあって、乗務員の質が素晴らしい」(新幹線推進室)。

 一方、観光箇所を「とても満足」と答えた人は47・4%にとどまり、函館に比べて地方のポイントの少なさが顕在化した。所要時間は短い、長い両方があり「とても満足」は53・6%と伸び悩んだ。昼食は「とても満足」が52・7%。地方は食べる場所が限られており、選択肢が少ないことが課題に挙げられる。

 タクシープランの改善点として「立ち寄り箇所」(45・1%)、「PRチラシの説明」(16・3%)、「所要時間」(15・3%)の割合が高くなっている。

 運行の事業化にあたって同室は「魅力あるコースを設定すれば、高価であっても利用してもらえるのではないか。高齢者層がターゲットになる」としている。(山崎大和)



◎フルマラソン、3月14日受け付け開始

 北海道新幹線開業記念として6月26日に開催する「2016函館マラソン」(実行委など主催)の大会詳細が21日、発表された。函館初となるフルマラソンと従前のハーフマラソンを同時開催し、計8000人が出場。3月14日から参加申し込みを受け付けることが明らかになった。

 同日開催の同実行委(桜庭辰弥委員長)総会で、事務局の市教委が報告した。

 フルは昨年6月のハーフ大会で使用したコースを共用しながら、新たに金森赤レンガ倉庫群など西部地区の街並みや函館空港方面を走るコースが加わる。実行委の下に競技運営や医療救護などの各専門部会を置いて体制強化したほか、函館商工会議所などでつくる協賛会を設け、スポンサー確保を進めてきた。桜庭委員長は「(新幹線の)足音がすぐ耳元まで来たと感じるとともに、さまざまな苦労がある中で今日に至った」とあいさつし「多くの協力の下、一級品の大会にしたい」と決意を述べた。

 同大会には運営関係者として、道南陸協などの競技役員500人、警備員やボランティア1000人、医療、給水に携わる1000人の計2500人を配置。ランナーの安全対策では他自治体のフル大会の事例を参考に、新たにコース上に救護所を8カ所設置、千代台公園陸上競技場内や市青年センターも対象とし、計10カ所設ける。

 会合では、大会規模拡大に伴い医療救護などの経費増が見込まれ、収支予算案は昨年度比1億1390万円増の1億6437万円とした。

 新幹線開業による注目度を生かし、東京駅以北の新幹線が停車する主要駅にPRポスターを1~2週間ほど貼り出す予定。また、大会当日に同公園内多目的広場に20張りほどテントを設置し、おもてなしイベントを開催。道南産の物産販売やその場でグルメを楽しめるスペースを設ける考えが示され、了承された。

 同大会は市民生活や出場選手の利便性を考慮し、昨年ハーフ大会から1時間遅れの午前9時に号砲。参加料はフル9000円、ハーフ5000円で、ともに定員4000人。参加資格はフルをおおむね5時間以内、ハーフを2時間50分以内に走れる18歳以上の男女で、フルはインターネットでのみエントリーできる。申し込み期間は4月15日までの1カ月間で、定員になり次第締め切る。詳細は22日以降、大会ホームページ(http://hakodate―marathon.jp/)に掲載する。(蝦名達也)