2016年1月27日 (水) 掲載

◎東北企業の7割「事業拡大」検討、道経済連合会が新幹線開業控え調査

 北海道経済連合会は26日、東北の企業など約200社を対象に行った東北・北海道間のビジネス交流についてのアンケート結果をまとめた。3月の北海道新幹線開業を好機と捉え、7割以上の企業が事業拡大を検討している一方、ビジネスパートナーの確保などを問題点として挙げる企業も多く、両地域の経済交流に向けた課題が浮き彫りになった。

 アンケートは昨年12月10日に北海道・東北両経済連合会が仙台市で行った「北海道新幹線開業シンポジウム」で実施。参加者の55%にあたる110社から回答を得た。

 新幹線開業後の北海道への事業展開は、43%の企業が「取り組みを強化する」とし、ビジネス拡大を検討している企業の割合は「条件が合えば」などを合わせると約7割に上った。新幹線開業で新函館北斗―仙台間が最短2時間半で結ばれることから「ビジネスマッチングが拡大する」「営業・販売活動がしやすくなる」といった要因が挙げられている。

 一方で、ビジネス交流を行う際の課題を複数回答で尋ねた項目では、51社が「距離が離れていることによる時間・コストなどの負担」と回答。「信頼できるパートナーの確保」が28社、「想定される市場規模の小ささ」が14社で続いた。

 仙台商工会議所総務課は「ビジネスマッチングの機会は増えているが、北に目を向ける企業はまだ少ない」と分析。仙台経済同友会は「具体的なメリットが見えてこないと事業拡大の計画が進まないのでは」とする。

 北海道経済連合会は「東北の企業の考え方を示すことが狙い。今回の結果が北海道と東北のビジネス交流促進のヒントになれば」としている。(山田大輔)



◎大沼で氷の切り出し開始

 【七飯】2月6、7日に開催する「第50回大沼函館雪と氷の祭典」(実行委主催)で使用する氷の切り出し作業が26日、大沼国定公園の東大島付近の湖面で始まった。今月中にジャンボ滑り台などに使用する約2400枚を切り出す。

 今冬は気温が高く推移し、さらに18日ごろの大雪の影響で氷の透明度は良くないものの、厚さは約40センチとなった。

 作業開始は昨年より2日早く、実行委スタッフ約15人が行った。湖面に積もっていた雪を払い、そりのブレードで目印となる60センチ四方の溝を付け、電動のこぎりで氷を切り出した。1枚の重さは約80キロ。専用の氷ばさみで引き上げ、重機で会場に運搬した。氷は主に長さ20メートルの滑り台に敷き詰められる。

 担当する松井元さん(68)は「シャーベット状ではあるが、イベントで楽しんでもらえるように準備をしたい」と話した。(山崎純一)



◎市電を広告ジャック、らっくる号に新幹線ポスター

 開業までいよいよ残り2カ月-。JR北海道函館支社は、北海道新幹線H5系車両のカラーリングで走行する函館市電の超低床電車「らっくる号」(9602号車)に新幹線ポスターの掲示を始めた。人気ロックバンドGLAYとタイアップしたポスターなどで車内を埋め尽くし、着々と近づく開業を盛り上げている。

 広告はB3判で、「3・26」とH5系が描かれたデザインと、GLAYバージョンの2種類。座席上部の額面広告や通路の中づり広告などとして25枚を掲示した。市企業局交通部によると同一企業による〝広告ジャック〟は市電では珍しいという。  JRは、北海道新幹線イメージソング「Supernova Express 2016」を歌うGLAYとの相互PRを進め、今後、函館駅舎のガラス面での広告展開などを予定している。JR北海道広報は「新幹線のダイヤも決定し、より一層気運を盛り上げてほしい」としている。

 同車両への掲載期間は、2月5日までと3月1日から同18日までを予定。また、函館バスが運行するH5系カラーの路線バス2台では3月25日まで同一の広告を掲示している。(今井正一)


◎北鳳丸実習を継続 函水高 安全対策に万全

 函館水産高校(三ツ石茂之校長)は、道の実習船「北鳳(ほくほう)丸」(664トン)での長期乗船実習を今年も行う。昨年の実習で、乗船していた男子生徒1人がハワイ沖で行方不明になったが「教育課程上、必要な実習」(道教委)として継続を決めた。29日に函館港を出港する。

 乗船するのは、海洋技術科海技コース22人、機関工学科機関コース16人の2年生38人と教員4人。中部太平洋で、まぐろはえ縄漁をはじめ、生物資源調査、海洋観測、船舶運航の実技、国際理解教育の研修などもプログラムに組み込まれている。3月12日に函館港へ帰港予定。

 事故は昨年2月、ハワイ沖を航行中の同船で、男子生徒が深夜に船内からデッキに出て、海に転落したとみられる。行方が分からなくなり、米沿岸警備隊が捜索したほか、日本から各地の水産高校の実習船も駆け付け、周辺を捜索したが男子生徒は見つかっていない。

 問題を受け、道教委は実習船の安全対策を強化。所有する北鳳丸と若竹丸(666トン)の甲板につながるドア4カ所に、開くと自動的に音が鳴る警報器と、甲板部を照らす投光器を設置した。乗組員や指導教官の安全管理マニュアルも作り、これらの内容を乗組員らに徹底するための研修も開いた。道教委は「航海そのものが危険ではないので、昨年同様に実習を行う」と説明する。新たな安全対策を講じた両船での実習で問題は起きていない。

 三ツ石校長は、保護者への説明会でも実習の実施に異論はなく「実習は、高校の学習指導要領に沿った取り組み。安全対策には万全を期し、乗船の意思や目的を持った生徒の学習を支援していく」としている。(山崎大和、稲船優香)