2016年1月28日 (木) 掲載

◎新函館北斗駅前複合施設が着工

 【北斗】地元経済界を中心とした新会社「北斗開発」(北斗、境勝則社長)は27日、3月26日に開業する北海道新幹線の新函館北斗駅前ホテル(仮称)の新築工事地鎮祭を現地で行った。開業から1年後の来年2月に完成、オープンする予定だ。駅に最も近い「第1街区」で、市が誘致に力を入れてきた中核施設の建設がようやく動き出し、式典に臨んだ約50人の顔に安堵(●あんど)の表情が広がった。

 神事では、くわ入れや玉串奉てんがあり、出席者が工事の安全と事業の成功を祈った。式典後、高谷寿峰市長は「駅前の核になる施設で、今後は他の企業の進出も期待できる」と誘致活動に弾みが付くことを期待した。

 境社長は、資本金が3億円に達したことを明らかにし「プロジェクトを応援しようという地元の熱い思いに感謝したい。駅前のランドマークとなる建物で、開業後、集客は一過性ではなく、継続させることが重要」と話した。

 総事業費は約23億円。建物は鉄筋コンクリート造地上6階建て。延べ床面積6271平方メートルで、1階に物販や飲食店が入る。「ABアコモ」(東京)が運営する2階以上は107室(収容人数371人)あるホテルや大浴場、レストランを整備する。部屋は最大4人で使える広めのタイプを用意、外国人客の利用も想定。料金は1部屋8000円程度という。市は施設完成後に1階を「市観光交流センター別館(仮称)」として買い取る。

 同施設をめぐっては、JR北海道が2014年5月、ホテル建設を断念。地元経済界が中心となって建設計画を立て、資金調達を進め、採算面でもめどが立ったとして進出。ホテル誘致は市の長年の懸案だった。(山崎大和)



◎小松左京ライブラリが未来大の松原教授にデータ提供

 SF作家、小松左京さん(1931~2011年)の著作権管理事務所「小松左京ライブラリ」(神戸市)は27日までに、人工知能(AI)を研究する公立はこだて来大学の松原仁教授らのグループに全作品のテキストデータを提供したことを発表した。松原教授らはAIに短編小説を創作させる研究をしており、貴重なデータとして解析を進めている。

 データを提供したのは1年前だったが、左京の没後5年になるのに合わせて発表した。

 提供したテキストデータは「日本沈没」や「首都消失」「果てしなき流れの果に」といった長編に加え、阪神大震災の取材記録「大震災95」、90年に国際花と緑の博覧会の詳細をつづった「巨大プロジェクト動く」など。

 松原教授らのグループは2012年から、「ショートショートの神様」と呼ばれた作家、星新一さん(1926~97年)の作品テキストやプロットを解析し、AIにショートショートを創作させるプロジェクトを行っている。17年に新作を発表する計画で、昨年はコンピュータープログラムで創作した作品を第3回星新一賞に出品した。

 同ライブラリによると、小松さんと星さんは深い親交があり、星さんの遺族を通じて、今回のデータの提供に至ったといい、「人工知能の研究に生かしてもらうため提供した」と説明する。

 同ライブラリを運営する小松さんの遺族は「未完の遺作『虚無回廊』があり、AIが作者の思想、感情を読み解いて完結させてほしい。空想と現実が一体となった世界が実現することを願う」としている。(鈴木 潤)



◎公立高入試出願状況 函館西1.5倍

 道教委は27日、2016年度公立高校入試の当初出願状況(25日現在)を発表した。全日制普通科で最も倍率が高かったのは函館西の1・5倍で、函館中部と市立函館が1・3倍、函館稜北が1・2倍と続いた。全日制職業科は、函館工業・建築と函館商業・流通ビジネスが1・8倍と高倍率。桧山は江差と上ノ国が1・0倍だった。

 募集定員に対する出願者数は、渡島の全日制が2320人に対し2578人で、平均倍率は昨年度と同じ1・1倍。渡島の定時制は160人に対し45人、桧山は320人に対して261人だった。

 道南の全日制は大野農業・農業や函館水産・水産食品など7校11学科が昨年度より倍率を上げた一方、11校12学科で定員より出願者数が少なかった。

 出願変更は28日から2月3日午後4時まで。出願変更後の出願状況は同15日、再出願後の最終状況は同29日に発表される。学力検査は3月3日、合格発表は同16日に行われる。(稲船優香)


◎「巴寮」増築完成祝う 一層の保護活動充実を

 更生保護法人函館創生会(小笠原理事長)の更生保護施設「巴寮」(函館市堀川町13)の増築落成記念式典・祝賀会が27日、市内のマリエール函館で行われた。55人が出席し、一層の更生保護活動の充実を誓った。

 巴寮は、刑期を終えて出所後に身の寄せどころのない人のために、住まいや職業相談など社会復帰を支援する施設として長年、地域の更生保護活動を支えている。

 増築工事は昨年8月に始まり、同12月28日に竣工し、2月に入居開始予定。費用は約5000万円で、更生保護事業振興財団や日本更生保護協会、立川更生保護財団から多額の補助金を受けた。定員は5人増の20人となり、新たに相談室や学習室を設け、既存の集会室を今後も地域に開放するなどし、住民との交流も育む。式典冒頭で「式典に合わせて近所の住民が寮生に食べてもらいたいと赤飯を届けてくれた」と紹介され、大きな拍手が起きた。

 小笠原理事長は、1907(明治40)年に同法人が創立されたことに触れ「先人が築いてきた礎の上に、その苦労と遺志を受け継いで運営している。関係機関の多大な協力にも感謝し、今後は増築した施設を活用して不幸にして罪を犯した人たちの中から一人でも多くの人の更生支援に向けて職員一同まい進したい」とあいさつした。

 式典では、民間協力者らに感謝状を手渡したほか、小笠原理事長の関係機関への浄財に対する法務大臣感謝状の贈呈も行われた。(田中陽介)