2016年1月30日 (土) 掲載

◎江差・函館信金が合併 道内12位の規模に

 江差信用金庫(江差町本町、藤谷直久理事長)と函館信用金庫(函館市大手町、上條博英理事長)は29日、2017年1月をめどに対等合併することで基本合意したと発表した。スケールメリットと効率性を高め、強固な経営基盤を構築するのが狙い。両信金の預金量は15年3月末現在で計2663億3400万円で、合併後は北海道の23信金中12位の規模となる。

 存続信金は江差信金とし、本店は同信金の現本店に置く。合併後の名称は準備委員会で協議して決める方針で、理事長に藤谷氏、副理事長に上條氏が就任。両信金の職員計約300人は継続雇用する。

 財務の健全性を示す自己資本比率(15年3月末現在)は、江差信金が22・45%、函館信金10・24%で、合併後は16・95%になる見通し。両信金の既存店舗数は計21店。店舗の再編などは、合併を正式に決定する今年6月の通常総代会までに決める。

 この日、函館国際ホテルで記者会見した藤谷理事長は、回復が進まない地域経済の状況に触れ「金融機関を取り巻く環境は厳しく、資産の健全性と収益力の向上が今まで以上に求められるようになった。経営体質の強化により、人材を有効活用して多様化する顧客のニーズに応えたい」と述べた。

 両信金の合併を受け、北海道信用金庫協会の杉山信治会長は「合併作業が円滑に進み、地域経済の活性化につながることを期待したい」、道財務局の齋藤修局長は「新たな信用金庫として、地域経済の再生や中小企業金融の円滑化などへの一層の貢献を期待する」とそれぞれコメントした。

 両信金はともに1924(大正13)年設立。江差信金は15年3月期決算で純利益は前期比2%減の4億円となったものの、自己資本比率は過去最高を記録。函館信金の純利益は同12・5倍の6億200万円で、過去5年で最高となっていた。(山田大輔)

 「解説」問われるサービス向上

 札幌・北海・小樽の3信金の合併が昨年11月に発表されてから2カ月。3月の北海道新幹線開業を前に、信金再編の波が道南にも押し寄せた。江差・函館両信金を合わせた預金量は道内の23信金中12位と中規模にとどまるが、道央圏の信金との合併へのステップという見方もある。新幹線時代を迎え、新たに生まれる信用金庫の舵取りが注目される。

 両信金はともに函館・北斗の両市を主な基盤とし、営業区域が重複していたことから、合併に向けた協議は5年ほど前から行われていた。函館信金は2009年3月期の決算で4期連続の赤字となり、自己資本比率は国内基準の4%をわずかに上回る5・67%まで下落。10年に信金中央金庫から28億円の支援を受けたが、人口減少や地方経済の低迷による需要減少で厳しい状態が続いていた。

 信用金庫をめぐる環境は厳しく、関係者は「低金利を打ち出す大手地方銀行と争えず、固定客の流出もあるようだ」と話す。財務省は全国の金融機関に対して先を見据えた経営モデル作りを促しており、こうした姿勢も再編につながったとみられる。

 今後の動きについて関係者は「独自路線を歩む渡島信金との合併の可能性は低い」とした上で「道央に新たに誕生するメガ信金と手を組む準備ができたという捉え方もある」と、さらなる再編の動きを示唆する。

 両信金の合併による経営基盤の強化で、今後は地域への円滑な資金供給や多様な金融サービス提供など、顧客の利便性向上にどれだけつながるかが問われている。(山田大輔)



函館の風景 トランプに

 土産品製造販売のムロタ(函館市宝来町、室田浩三社長)は3月26日の北海道新幹線開業に向け、函館・近郊の風景や観光名所の写真をプリントした「函館夜景トランプ」を売り出した。室田社長(60)は「観光客だけでなく、地元の方にも楽しんでもらいたい」と期待している。

 写真は室田社長の友人で、函館在住のアマチュア写真家坂本政博さん(58)が撮りためていた約2000枚の中から選んだという。ジョーカー2枚を含む全54枚の裏面は函館山山頂から撮影した夜明けの景色を、数字や記号が記されている表の面は全て異なる風景写真を使っている。

 「ハート」のカード13枚は函館夜景で統一。それぞれ撮影した季節や時間、アングルが異なり「トランプを使った人が何度も函館山に来たくなるよう工夫した」(室田社長)。そのほかのカードは、五稜郭公園、金森赤レンガ倉庫群、トラピスト修道院など道南の観光名所を採用している。

 880円(税込み)。函館山展望台、金森洋物館、五稜郭タワーなどで販売している。問い合わせは同社(☎0138・23・6833)へ。(金子真人)



◎文化財 みんなで守ろう

 「文化財防火デー」の26日から、函館市内37カ所の施設で消防訓練などが行われ、貴重な建造物への防火意識を高めた。

 函館市教委と市消防本部は29日、約62万点の展示物や収蔵資料を持つ市立函館博物館(青柳町17、斉藤総一館長)で消防訓練を実施。同館2階会議室から出火したとの想定で、職員が手分けして消防への通報や来館者誘導などを行い、初動対応を確認した。その後は現場に到着した消防隊が放水を実施した。

 函館市北消防署の黒島良樹署長は「文化財は日頃からみんなで守っていくことが大切。迅速な通報と情報連絡を」と呼び掛けた。

 防火デーは、1949年1月26日に奈良県の法隆寺金堂(国宝)が炎上し、壁画が焼損したのを教訓に国が55年に制定した。市では毎年防火デーに合わせて、博物館や重要文化財に指定されている建造物などで訓練を実施している。(半澤孝平)


◎井上康生監督が指導 11月にALSOK柔道教室

 シドニー五輪男子柔道の金メダリストで、柔道男子日本代表の井上康生監督らが参加する「ALSOK柔道教室」が、11月20日に函館アリーナで開かれることが決まった。今夏のブラジル・リオデジャネイロ五輪への出場が期待される有力選手が所属する実業団の強豪・ALSOK柔道部の選手も参加予定。地域の子どもたちにとって、世界の頂点を極めた井上監督らの技に直接触れる貴重な機会となりそうだ。

 同アリーナは昨年8月に全国中学校柔道大会の会場となり、国際大会規格の畳をはじめ、施設、設備が柔道関係者の高い評価を受けた。函館柔道連盟の室田晴康会長によると、全柔連元副会長で函館出身の佐藤宣践さん(東海大学名誉教授、現・桐蔭横浜大学副学長)も「素晴らしい会場」と古里に誕生した新施設を喜んだという。

 柔道教室開催は、函館市教委や室田会長らが各種大会をはじめ大学や実業団の合宿誘致を進める中で、佐藤さんの後押しもあって決定した。ALSOK柔道部は井上監督の現役時代の所属チームで、現在はロンドン五輪銀メダリストの中矢力選手、女子では田知本愛選手らリオ出場も期待される有力選手が在籍。11月の教室に五輪出場選手が参加する可能性もあるという。

 室田会長は「非常に楽しみ。今年は五輪イヤーで、メダリストが来てくれればと期待している。地域の柔道の活性化にもつながり、子どもたちがオリンピックに憧れを抱くことにつながってほしい」と話す。

 実施内容の詳細は今後決定するが、小学校5、6年生と中学生300人程度を対象とする予定。市教委生涯学習部の對馬公彦次長は「超一流選手らの技に触れることのできる、またとない機会。市民の皆さんも楽しみにしてもらえれば」としている。(今井正一)