2016年1月4日 (月) 掲載

◎16年度もクルーズ船続々入港 延べ29隻寄港予定

 2016年度の函館港に寄港を予定する客船数は、本年度より14隻多い延べ29隻になる見通しだ。過去最多だった14年度の延べ37隻に次ぐ規模。郵船クルーズの「飛鳥II」(5万142トン)が8回、プリンセスクルーズ社(アメリカ)の「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5906トン)が7回寄港する。函館市港湾空港部は乗客、乗員合わせて4万6000人の入り込みを見込んでいる。

 延べ29隻の乗客、乗員数は定員ベースで約5万8000人。このうち、乗客数は約4万人で、市は7割の2万8000人の来訪を見込む。近年、客船の大型化傾向が顕著で、今年は、乗客定員が1000人を超える船は延べ13隻寄港する。

 「飛鳥II」は06年の初就航以来、毎年来港。4~7月は例年なら世界一周へと旅立つが、今季は国内クルーズを展開するため、函館寄港が増加した。今季1隻目(4月14日)と最終の29隻目(10月22日)が同船で、シーズン中には函館寄港通算40回目の節目も迎える。9月8日には函館を出発港に、仙台や常陸那珂、横浜に向かうショートクルーズ商品も販売するなど、今季の函館港の主役になりそうだ。

 初寄港船は2隻。ポナン社(フランス)の「ル・ソレアル」(1万700トン)は5月24日に西埠頭に停泊。昨年5月入港の「ロストラル」(同)の姉妹船となる高級美食船だ。10月18日には、コスタ・クルーズ社(イタリア)のカジュアルクルーズ船「コスタ・アトランティカ」(8万5619トン)が来港。同船は昨年12月に入港中止となっていた。

 5月21日には今年も2隻の共演が実現予定。港町埠頭には、12年以来通算3回目となるロイヤル・カリビアン・インターナショナル社(アメリカ)の「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」(6万9130トン)、西埠頭にはおなじみの国内船で日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす」(2万6594トン)が寄港する。

 「ダイヤモンド・プリンセス」の寄港は3年連続で、6~10月に巨大な船体を楽しめる。プリンセス社の「サン・プリンセス」(7万7441トン)が7月に2年ぶりに来港。このほかにも「フォーレンダム」「シルバー・ディスカバラー」「にっぽん丸」などの予定があり、小型の冒険船からラグジュアリーシップまで、多彩な船が函館港ににぎわいをもたらすシーズンとなる。(今井正一)



◎渡利さん、三橋美智也さんの「上磯小唄」カバー

 函館在住の歌手渡利進さん(73)は、旧上磯町(現北斗市)峩朗(がろう)生まれの伝説的な歌手三橋美智也さん(1930~96年)の曲「上磯小唄」をカバーした自費制作CDを発表した。3月26日の北海道新幹線開業を盛り上げようと企画。渡利さんは「多くの人に広めたい」と話している。

 三橋さんは「古城」「哀愁列車」など多数のミリオンセラーを出し、日本歌謡界の一時代を築いた。「上磯小唄」は1961年に旧上磯町が制作したご当地ソングで、三橋さんに歌を依頼してレコード化された。

 渡利さんはアマチュア時代、全国大衆音楽家協会主催の全国カラオケ大会で30番以内の成績の特別審査員賞を3度受賞。2000年にプロの歌手として活動し、06年に「あゝ函館駅よ」(キングレコード)でメジャーデビューした。

 有志で13年に立ち上げた「みちや会道南支部」(山下勇吉支部長)に入会し、現在は「三橋美智也を歌い継ぐ会函館支部」の部会長を務める。支部が開業に向けた記念事業を進めているのに合わせ、今回曲をカバーすることにした。

 「中学生のころ三橋さんの曲を聴き、歌謡曲に興味を持った。あの高音の歌声にあこがれを抱いた」と懐かしむ渡利さん。今回は函館市内のスタジオでレコーディングし、「自分の歌手人生に足跡を残したいとの思いで歌った」と話す。

 CDは1枚1000円で販売。渡利さんは「日本を代表する素晴らしい歌手が上磯で誕生し、なおかつ、たくさんの発表曲の中に上磯を歌った曲があることを発信していきたい」と話している。  問い合わせは渡利さん(☎0138・46・2643)へ。(鈴木 潤)



◎道社会・産業貢献賞に7個人2団体

 【福島、松前】2015年度北海道社会貢献賞および北海道産業貢献賞の受賞者に、福島町の中塚建設(中塚徹朗社長)と元松前町森林組合長の小谷伍郎さん(81)がそれぞれ選ばれた。このほど渡島総合振興局で受賞報告会が開かれ、三戸部正行局長が2者に対して賞状などを贈った。渡島管内ではこのほか、6団体・1個人が受賞した。(斎藤彩伽)

 社会貢献賞「森を守り緑を親しむ功労者」を受賞した中塚建設は、1965年の創業以来、森林保全活動を通じて地域住民らの安心・安全を確保してきた。さらに無人航空機「ドローン」を使い、急斜面の危険個所を確認して関係機関に情報提供し、山地災害の防止に向けて貢献している。中塚社長は「地域住民のおかげで緑化思想の普及啓発などを行うことができた。大変光栄な賞をいただいたので、今後も森林の保全活動を続けていきたい」と話している。

 産業貢献賞「森林づくり功労者」に選ばれた小谷さんは約50年間、所有地(現在7万4000平方メートル)でスギとヒバの人工林の管理と育成に励んだ。特に、松前・福島地区でこれまで育てられなかったヒバの育成方法を初めて独自で発見。いまでは本州と変わらないほど成長していて、地域林業の振興に貢献している。小谷さんは、「妻(キセ子さん)と二人三脚で取り組んできた。当時一緒に苦労してきた元町民の佐々木光弥さんにも感謝している。山が好きという情熱だけで奮闘してきたことが評価されてうれしい」と喜ぶ。

 報告会で三戸部局長は「長年にわたり、林業や緑化活動・森林保全の各分野で尽力し、受賞されたことは大変名誉なこと。今後も地域に根ざした活動について、ますますの活躍を期待します」と称え、受賞者らは精悍(せいかん)な面持ちで賞状を受け取った。

 このほかの渡島管内での受賞者は次の通り(敬称略)。

 【社会貢献賞】▽漁船事故防止功労者=伊藤嘉洋(函館)▽森を守り緑に親しむ功労者=森町林業グループ(森)

 【産業貢献賞】▽水産団体等功労者(優良水産業協同組合等功労者)=下池徹(函館)、港國和(同)、坂本藤吉(森)、小川勝士(八雲)、山中弘春(長万部)


◎「北斗星」茂辺地で保存へ、市民有志が計画

 【北斗】上野―札幌間を往復し昨年8月に役目を終えたJR寝台特急「北斗星」の客車を保存する計画が、北斗市茂辺地地区で進んでいることが分かった。旧茂辺地中学校グラウンドが有力候補地として浮上しており、実現すれば「地域活性化につながる」と歓迎の声が上がっている。

 市内の若手商工業者ら約30人でつくる「『北斗の星に願いを』プロジェクト推進委員会」(澤田導俊代表)が主体となって活動。当初は北海道新幹線の新函館北斗駅前公園での保存を考えたが、市との協議で用地が確保できず断念した。

 協議の結果、茂辺地地区の市有地を使えるめどが立ち、今後、中学校グラウンドも含め具体的な場所の選定に入る。札幌の苗穂工場に運ばれた北斗星の客車は、2両が今春まで残っている見通しで、無償譲渡の内諾をJR北海道から得ている。

 しかし、輸送費や維持管理費に約1000万円掛かるといい、客車保存を実現する上では資金面の問題も大きい。そこで、同団体はプロジェクト資金をインターネットを通じ多数の支援者から集める「クラウドファンディング」の手法を活用、今月中に募集を開始する。

 澤田代表(36)は「もともと北斗星が走っていた沿線に置くので、一番ストーリーがあってマッチする。市場や飲食店として活用したいという地元の意向もあり、住民と協力して実現できれば」と話す。茂辺地町内会の山本昭宣会長は「地域活性化の大きな起爆剤になる」と期待を込める。(山崎大和)