2016年1月8日 (金) 掲載

◎食の観光新拠点 誕生祝う かき小屋知内番屋オープンセレモニー

 【知内】知内町は7日、町特産品のカキをふんだんに味わえる施設「かき小屋知内番屋」(重内10、木村和義店長)の10日営業開始に先立ち、同施設でオープニングセレモニーを行った。周辺自治体や旅行会社などの関係者40人が出席し、新たな食の観光スポットの誕生を祝った。

 同番屋は、地域の活性化や北海道新幹線利用客などへのアピールにつなげようと、通年を通して知内産カキを提供する。民間の遊休施設を町が借り上げ、昨年改修した木造平屋347・80平方メートル。町の第三セクター「スリーエス」(社長・網野真副町長)が運営する。総事業費は約3500万円で、2014年度の地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)の一部を充当した。

 施設にはコンロが付いた道南スギ製の4人掛けテーブルが10台あり、津軽海峡の荒波で育てた知内産カキを自ら焼いて食べられる。いろり型の8人掛けテーブルも2台あり、予約すると知内産アユやイワナ、ウグイを串焼きで楽しめる。メニューには蒸しガキ、焼きホタテ・ツブ、カキ・ホタテフライ定食、カキご飯などが並ぶ。

 セレモニーで大野幸孝町長は「小谷石の矢越山荘、16年度事業として計画している湯ノ里の北海道新幹線展望塔、そしてかき小屋を連携させることによって、さらなる知内町の地域経済の発展につなげたい。より多くの皆さまに足を運んでもらえるよう努力を続けていく」とあいさつ。出席者6人による鏡開きと祝杯の後、提供料理を試食する祝宴が行われ、参加者は「カキもホタテも全部おいしい」と堪能していた。

 また、午後5時からは町内の関係者らにも試食会が開かれた。

 営業は午前11時~午後4時(1~3月、定休日は月曜)。4月以降は夜間営業も予定している。(斎藤彩伽)



◎道南各地で「どんど焼き」、無病息災祈る

 古いお札や正月のしめ飾りなどを焼き、無病息災を祈る「どんど焼き」が7日、道南の寺社で行われた。函館市谷地頭町の函館八幡宮(中村憲由樹宮司代務者)では、訪れた人たちは勢い良く燃える炎に手を合わせ、今年1年の無病息災などを祈った。

 全国的にどんど焼きは小正月の1月15日に開かれるが、道南では「松の内」の最終日となる7日に開かれる。同八幡宮では、灰が飛び散らないように設けた「忌床(いみどこ)」に、初詣やこの日に訪れた参拝客が持ち寄ったお守り、正月の松飾りなどが山積みにされた。神職が祝詞をあげ、氏子代表が玉串をささげた後、点火された。

 竹製の熊手がパンと大きな音を立てる中、煙を頭に浴びようとする参拝客も見られた。市内大手町の主婦石井一美さん(66)は「家族の健康と、孫の大学受験合格を祈りました」と話した。



◎大川団地に交流空間を、コレクティブハウスの整備研究

 函館市は3月で閉校となる大川中学校(大川町12)の跡地に建設を予定する市営住宅「大川団地」(仮称)に関し、共用の居間や台所などを持つスペースを備える「コレクティブハウス」として整備できるかどうか研究を始める。住民同士の交流や高齢者の生活支援などに有効で、市の新たな公営住宅整備の可能性を広げる一手になりそうだ。

 コレクティブハウスは集合住宅の形態の一つ。一戸ずつの通常の住居に加え、住民同士が顔を合わせて懇談や食事、イベントなどが行える共用スペースを備える。国内では1995年の阪神・淡路大震災の被災地の兵庫県神戸市で「支え合い」の居住環境整備を目的に初めて採用。道内は釧路管内の釧路町が導入している。

 住民同士のコミュニティー形成によって、若い子育て世代が育児について相談に乗ってもらったり、高齢者世帯の見守り活動としての機能などが期待される。市都市建設部によると、福祉の視点からサービス付き高齢者住宅の併設や共用スペースを子育てサロンの開催に開放するなど、さまざまな手法で活用できるという。

 同団地は市公営住宅等長寿命化計画(2013~22年度)で、松川(3棟72戸)と田家B団地(10棟、58戸)を統合、一部用途廃止が決まっている中道2丁目(34棟、142戸)と港3丁目改良団地(5棟48戸)からの住み替え市民を受け入れるため、大川中跡地を活用して整備。19年度から22年度までの4年間で毎年1棟48戸、計4棟192戸を整備する計画で、17年度に基本設計を行う。

 市は今後、全国自治体の事例を参考にしながら導入の可否を判断する。同部は「建て替えに伴う検討を進める上で、コレクティブハウスの導入が大川地区に、どのように有効的に作用するか研究したい」(住宅課)としている。(蝦名達也)


◎近江さん「函館郷土秘話」出版

 北海道史研究協議会渡島地区幹事で函館市白鳥町在往の郷土史家近江幸雄さん(79)はこのほど、道南のさまざまな歴史をまとめた「函館郷土秘話」を三和印刷(函館)から自費出版した。箱館戦争や社会・政治的な事柄のほか、スポーツ、文化に至るまで、さまざまな内容で知られざる話題を案内している。

 近江さんは2006年に歴史図書専門の新人物往来社(現中経出版)が出版した「北海道の不思議事典」(好川之範さんら編集)で、道南の話題を三十数編執筆した際、ほかにも道南の謎や不思議を解き明かしたいと考え、本紙に07年5月から13年6月まで「道南不思議夜話」として約140編を寄稿・連載した。今回はその中から110編を厳選した。

 函館にまつわる有名な人物として「高田屋嘉兵衛と女性たち」「新島襄、密航いつ決めた?」「ガルトネルが残したもの」などがあり、箱館戦争では「榎本武揚に恋人は居たか」「西郷は箱館で戦ったか」など裏舞台に迫っている。

 スポーツでは47年の国体で優勝した函館市中学校(現市立函館高)ラグビー部や、野球の函館太洋(オーシャン)倶楽部に触れ、文化では昭和20~40年に市内で多くあった古書店や函館を舞台にした演劇も載せており、函館をさまざまな角度で振り返ることができる。近江さんは「あらゆるジャンルを選んだ。気軽に楽しんでもらえれば」と話している。

 A5判、225ページ。1部2000円。市内の浪月堂書店(駒場町7)、文教堂書店函館テーオー店(梁川町10)で取り扱い中。(山崎純一)