2016年1月9日 (土) 掲載

◎観光ボランティア育成セミナー盛況

 函館市主催の観光ボランティア育成セミナー(事業受託者・キャリアバンク)が盛況だ。函館の歴史や知識、まちあるき観光の心構えなどを学ぶ講座で、50人以上が登録。毎回30人を超える参加者の熱気であふれている。北海道新幹線開業で急増が見込まれる観光客を出迎える市民として、おもてなしの気持ちを学んでいる。

 全5回の日程で昨年12月5日に開講し、同19日までに3回を終えた。参加者は既にガイドとして活動している人から大学生まで動機はさまざまで、団体職員の男性(64)は「函館をもっと知りたいと思い参加した。皆さんの知識がすごいので勉強になります」と話した。

 19日には実際に参加者が考案した函館ゆかりの人物を巡るコースで、案内役を交代しながら散策した。世界でも珍しい宗派の異なる教会や寺院を一点で眺めることのできる大三坂、旧金森洋物館裏に残る明治の刻印レンガなど、函館工業高等専門学校の奥平理准教授が随所で歴史を掘り起こす面白さを伝えた。

 新幹線開業後はまちあるき観光の需要増加とガイド不足の懸念が指摘されている。幅広い専門知識を有する人材の育成は簡単ではないが、奥平准教授は「講座を積み重ねて、少しずつ増やしていくしかないが、市民一人一人が観光客とどう接していけるかで、『どうされましたか』の一言が大切になる」と指摘する。

 初回の講師を務めた観光ボランティア団体「一會の会」の佐藤喜久恵会長も「充足、不足しているという考えではなく、ちょっとしたおもてなしの気持ちを持つことで市民全員がガイドになれる」と話す。

 函館には〝市民総ガイド化〟の素地はあり、昨年で10回目となった歴史、風土の知識を問う「はこだて検定」合格者の活用なども有効な手段だ。市観光部観光推進課の横山敬一課長は「観光客からグルメや景色だけではなく『函館は住んでいる人も良かった』と言われるような街にしていきたい」と話している。(今井正一)



◎知内で一番ニラの収穫盛ん

 【知内】ニラの生産量が北海道一を誇る知内町で、「一番ニラ」の収穫が盛んに行われている。ビニールハウスでみずみずしく育ったニラは、生産者が鎌で丁寧に刈り取ってきれいにし、包装して函館など全道各地の市場へ出荷する。

 知内産ニラ「北の華」は、葉の幅が広く肉厚で甘味がある。この味の良さや“顔の見える野菜”と呼ばれる徹底した品質管理で、町特産品として道内外から人気を集めている。昨年は、5年ぶりに販売額が最高額を更新し、初めて11億円を突破した。

 知内町ニラ生産組合(大嶋貢組合長、組合員71戸)では4日に一番ニラの収穫を開始。町上雷の宮下進也さん(40)のハウスでは7日から、生産者10人ほどが出荷作業を行っている。ハウス内の室温を15度に保つ「加温栽培」で、ニラを約50センチまで成長させ、一束一束刈り取っていく。

 3~5月の最盛期には、1日の収穫量がピーク時で700キロまでにも及ぶという。宮下さんは「昨年は天候の影響が少なく、出来の良いニラになった」と話している。(斎藤彩伽)



◎函館音楽協会賞に島さん

 函館音楽協会(宍戸雄一会長、会員137人)は8日、本年度の函館音楽協会賞にソプラノ歌手の島聖子さん(58)、同奨励賞にピアニストの安藤陽子さん(60)、リコーダー奏者の宍戸良子さん(65)、作曲家の山本和生(かずい)さん(38)を選出したと発表した。表彰式は24日午後6時半から、五島軒本店で行われる。

 島さんは音楽活動30周年記念リサイタルオペラファンタジー「夕鶴」「オペラの小部屋」など多くの演奏会を開催したほか、函館市民オペラでは23回中19回出演するなど精力的に活動。全日本合唱コンクール北海道支部大会高等学校部門で2014、15年と2年連続金賞を受賞した函館ラ・サール学園グリークラブの合唱指導に当たり、躍進に貢献した功績が高く評価された。島さんは「うれしさとともに賞に恥じない活動を続けなければという責任を感じる。子どもたちへの指導は活動全般においての活力になっており、今回指導者としての面を評価いただいたことはありがたい」と喜びを表している。

 安藤さんは積極的な演奏活動に加え、深みのある音楽表現と誠実にピアノに向き合う姿勢が評価された。宍戸さんは活発な演奏活動を通して現代の独奏曲に挑戦し、安定した技術と情感豊かな演奏が、山本さんは古典や身近な自然を素材に豊かな色彩感と叙情性にあふれた新作を発表していることなどがそれぞれ認められた。

 函館・近郊に在住する個人や団体を対象に、協会賞は過去の実績やこの1年の郷土の音楽文化向上推進への功績に対して、奨励賞は意欲的で高水準の実績を示した作曲・演奏活動などの実績に対して贈られる。昨年12月19日、宍戸会長をはじめ10人で選考した。

 5月21日に芸術ホールで開かれる「春季定期演奏会」で両賞受賞者による受賞記念演奏が行われる予定。(半澤孝平)


◎鷲ノ木遺跡整備へ新年度に準備委員会設置

 【森】世界遺産への登録を目指す「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)の構成遺跡から、鷲ノ木遺跡が暫定的に除外されたことを受けて町教委は、新年度に「鷲ノ木遺跡整備基本計画準備委員会」を設置する方針だ。町は今後、同委の協議などを踏まえた上で、遺跡の整備基本計画策定に取り組みたい考えだ。

 準備委員会は道内外の縄文遺跡専門家6人が委員となり、文化庁や道教委などからオブザーバーとして数名が参加する予定。同委では整備事業の構想や、整備に伴う各種調査の指導、助言などを協議していくとしている。

 町教委は「鷲ノ木遺跡は国指定の史跡なので、今後もしっかりと整備していく。そうした取り組みが構成遺跡、そして世界遺産登録へつながると考える」としている。(野口賢清)