2016年2月11日 (木) 掲載

◎一般会計4年ぶり減 函館市新年度予算案

 函館市は10日、2016年度予算案を発表した。市長選後の政策予算を反映させた本年度6月補正額と比較し、一般会計で3%減の1362億7000万円とした。人口減少に伴う地方交付税の大幅減を見込んだが、函館アリーナ建設工事などの大型事業が終了したため、4年ぶりの減額編成。財源調整のために基金繰り入れを行わない収支均衡予算を3年連続で実現するとともに、北海道新幹線の開業対策費や教育施策の拡充などを盛り込んだ。26日開会予定の第1回定例市議会に提案する。

 特別会計は同8・1%減の875億3300万円、企業会計は同1・6%減の457億7800万円、全会計総額が同4・5%減の2695億8100万円となった。

 一般会計の歳入では、市税収入が同0・5%増の315億4700万円と2年ぶりに増額。固定資産税は「ホテルやスーパーマーケットなどの家屋の新増設が大きく影響した」(市財務部)ことから同1億3000万円増、個人市民税も課税人員の増加などに伴い、同8500万円増えた。一方、普通交付税は本年度の国勢調査で「1万人超の人口減が見込まれる」(同部)ため、同6・2%減の317億8800万円、臨時財政対策債を含めた交付税全体では同4・4%減の382億3300万円とした。

 財源不足を補う財政調整基金や減債基金の取り崩しは行わず、減債基金には新たに約5億円を積み立て、両基金の残高は当初予算編成時点で51億7300万円を見込む。

 市債は通常債が同29・9%減の63億1500万円で、このうち合併特例債は10億1600万円。全会計の市債残高は2423億4400万円と、75億円減少した。

 歳出では、人件費は職員数や退職者数の減少に伴い同3・4%減の177億6000万円。扶助費は、生活保護費が約6億円減の約213億円となったが、保育所の運営委託料などが増加した影響で、同0・9%増の413億5200万円となった。事業費は函館アリーナや函館フットボールパークの整備、小中学校の耐震改修事業が終了したことで、同16・7%減の126億8200万円となった。

 主な事業は道新幹線関連として、開業記念イベントの開催事業費や初めてフルマラソンを実施する函館マラソン大会開催負担金など、計1億2903万円を計上。開業関連経費は本年度補正予算で8900万円を計上する見通しで、総額2億1803万円の規模となる。また、観光客が歩いて楽しいと思えるまち「ガーデンシティー」の整備に向け、中臨港通の歩道や末広地区緑地の環境整備経費を付けた。

 教育関連では、中学校での免許外教科担任を解消するため非常勤講師を配置したり、専門的な技術指導ができる地域支援者を部活動の指導者として活用したりし、子どもの学力向上や教員の負担軽減を図る。

 少子化対策では10月供用開始予定のはこだてみらい館、はこだてキッズプラザの管理運営費を計上したほか、小学校の余裕教室を改修し学童保育施設を2カ所整備。福祉コミュニティエリア内の道路整備を進め、高齢者支援を充実する。

 このほか、交通事業で市電・バスのICカードシステム整備費や北埠頭(ふとう)地区などの整備に伴う国直轄港湾整備事業費負担金、市立3病院の医業費などを各会計に盛り込んだ。

 工藤寿樹市長は「経済再生を念頭に、新幹線開業を含め交流人口の拡大を図りたい」と述べた。(蝦名達也)



函大生が若者向けバス路線考案

 函館大の2年生グループが商学実習の授業で、若者をターゲットにした路線バスの新ルートを考案し、10日、同大で函館バスの社員にプレゼンテーションした。アンケート結果を基に、若者が集うスポット付近に停留場を設定。学生の視点で利便性やビジネス展開の可能性を探った。

 田中浩司教授が指導する実習の中で行われ、照井和樹さんと川道誠也さん、本市拓斗さんの3人が昨年4月から取り組みを進めてきた。

 考案したルートは「アミューズメントバス(アミュバス)」と名付け、市内に点在する娯楽施設や大型店、飲食店を乗り継ぎすることなく巡回する。湯倉神社(湯川町)を発着に道道函館上磯線(産業道路)を走り、函館蔦屋書店(石川町)を通過。ボウリング場や大型スーパーなどが点在する西桔梗、北斗市七重浜を経由後、北大水産学部やJR五稜郭駅、函館競馬場などを通って終点に向かう。22カ所に停留場を設け、1周当たりの所要時間は65分と想定した。

 学生はプレゼンで、函館バスの社員3人にアンケート結果やルートの概要を説明した。社員は「遊興費に使う額はどれくらいか」「居住地別ではどうか」などと質問。提案に対しては「運行上難しくはない」としながらも、他の系統との兼ね合いや運行時間帯でさらに詰めていく必要があるとした。

 アンケートは中高生、大学生ら12~22歳の280人に実施。日頃遊びや外食に行く時の交通手段として函館バスの利用が42%と最多。アミュバスのようなルートがあった場合に、7割が「利用したい」と回答した。学生3人は「社員から直接話を聞けて良かった。課題を改善し、さらに良い提案をしたい」と意欲を示した。(鈴木 潤)



◎6月、アリーナで食の商談会

 3月26日の北海道新幹線開業を契機に、道南産品の販路拡大を目指す「函館・みなみ北海道特産食品展示商談会」(実行委主催)が6月29日、函館アリーナで開かれることが決まった。水産加工品をメーンに、農畜産品や菓子など道南の食を一堂に集め、全国各地のバイヤーにPRする。

 新幹線開業効果を生かした道南産品の販路開拓を目的に、道南の農水団体や銀行、自治体など10団体で実行委を組織。100社程度の出展を予定しており、全国の百貨店、卸売り、外食などのバイヤー1500人の来場を見込んでいる。総事業費1500万円で、道の「地域づくり総合交付金」を活用する予定。今月下旬までに出展者の募集を開始する。

 10日、函館市国際水産・海洋総合研究センターで第1回実行委員会が開かれ、委員長に函館特産食品工業協同組合理事長の古伏脇隆二氏(54)を選出したほか、事業計画やスケジュールなどを確認した。

 古伏脇委員長は「北海道新幹線の開業は道南を全国にアピールできるまたとないチャンス。大きな企業から個人事業主までが参加できる展示商談会を実施し、地域の振興につなげていきたい」と力を込めた。(金子真人)


◎チェックリスト作成へ 新幹線停電でJR北が再発防止策

 9日未明、青函トンネル内で避難訓練中に発生した北海道新幹線H5系車両(10両編成)の停電トラブルについて、JR北海道は10日、新幹線運行管理センター(札幌)の担当者が車両に電気を送るために必要な変電所の切り替え操作を行わなかったことが原因と説明し、再発防止に向けてマニュアルの見直しやチェックリストを設ける考えを示した。

 停電は午前2時50分ごろ、竜飛定点(青森県外ヶ浜町)付近で発生。青森方向から来た救援列車が引き返すため、下り線を通常とは逆方向に動き出した直後で、非常灯以外の照明が消えて緊急停車し、現場で約20分間立ち往生した。

 同社によると、列車を逆方向に進行させる際には4カ所ある変電所の切り替えを手動で行う必要があるが、今回は操作が行われず2つの変電所から同時に電気が送られたため、異常を感知して停電が発生したという。(金子真人)