2016年2月13日 (土) 掲載

◎ドクターヘリ運航1年、課題改善 より円滑に

 救急医療体制を支える「道南ドクターヘリ」が昨年2月に就航し、16日で1年を迎える。1月末までの出動件数は258件。1日当たり0・74件と想定の1日1件以上には届いていないが、安全運航を続けている。ヘリの認知度向上と合わせ、消防、受け入れ医療機関との連携が深まり、2年目は要請、出動件数の増加が見込まれる。今後は実績を重ねながら、より円滑な運航に向けた体制づくりが求められる。

 1月末までの要請件数は315件で、実際に出動したのが258件。要請のあった地域で最も多かったのは北斗市で47件。市立函館病院救命救急センターの武山佳洋センター長は「搬送時間の短縮だけでなく、医師と看護師が早急に患者に接触するという本来の目的が達成された」と説明。続いて松前町が41件、森町37件、江差町と函館市がともに27件あり、当初懸念されたヘリ要請への「遠慮」が解消されてきた。

 出動の内訳は救急現場への出動が128件と最多で、うち数件は医師による気管挿管を実施。のどにチューブを挿入し、気道を確保する処置で、心肺停止状態でない患者の場合、医師しか行えないため「ヘリでなければ救えなかった命」(武山センター長)と話す。

 救急患者を受け入れる二次輪番病院では、基地病院の市立函館に続いて、函館脳神経外科病院と新都市病院が合わせて48件と、全体の2割を占めた。大半が函館の病院でしか受け入れられない脳卒中のため搬送。だが積雪の影響で、救急車と落ち合う着陸地点「ランデブーポイント」が、これらの病院の近くに確保できないという冬場の大きな課題と直面している。

 公園広場や学校のグラウンドなど、道南圏のランデブーポイントは昨年末時点で294カ所。このうち常時除雪・圧雪体制が整っているのは40カ所ほどで、函館市内では函館空港、陸上自衛隊函館駐屯地、川汲霊園駐車場、民間企業のカネサン岡田土建敷地内の4カ所にとどまる。

 夏場は市内ランデブーポイントから二次輪番病院まで平均17~18分かかるというが、冬はランデブーポイントの選択肢が狭まるのに加え、雪道の影響で救急車による搬送も余計に時間がかかってしまう。札幌圏などに比べヘリポートを設ける病院が少ないというハンディキャップを抱える中、道南ドクターヘリ事務局は「引き続き市に、冬場のランデブーポイントの確保を掛け合っていきたい」とし、行政や市民のドクヘリへの理解を深めていく考え。

 本年度予定されている事後検証部会では、昨・本年度の事案について医療機関や消防、行政らで協議。要請から出動までの時間短縮や治療処置などについて分析し、救急医療体制の一層の充実を図る。運航を受託する鹿児島国際航空の同ヘリ操縦士、杉山高照機長は「この1年で地域性を把握でき、今後は対処法を事前に充実させた、先行性の増した運航を目指したい」と語る。

 初めての本格的な冬季運航を経験し、さまざまな実績データが生まれた。武山センター長は「1年目の課題改善と救急の質の向上を図り、多くの命を救いたい」と意気込む。(蝦名達也)



山海と駿馬で「爽やかさ」 函館競馬場開設120年記念ロゴマーク発表

 JRA函館競馬場(下平洋一場長、駒場町12)の開設120周年を記念したロゴマークが12日、発表された。公立はこだて未来大のシステム情報科学部木村健一教授とその研究室に在籍する6人の学生が発案、同場と共同制作した。下平場長は「このロゴマークを契機に、さらなる歴史を刻めるように頑張りたい」と期待を込めた。

 節目の年を祝おうと、地域に親しまれるロゴマークの制作を地元の同大へ昨春に依頼し、同11月から研究生6人が、約3カ月をかけて完成させた。メンバーは研究と連動させて施設内を丹念に観察し、約300作品を提案。同場のプロジェクトチームと選考した5作品から下平場長が1点選んだ。

 同場は全国にある10施設の中で最も古く、海の見える競馬場として市民に親しまれていることから、「爽やかさ」がテーマ。曲線で描かれた海と、函館山から吹き抜ける風の中をさっそうと走る駿馬が配置された作品に仕上げた。山海は3月に開業する北海道新幹線「H5系」の色合いであるブルーとグリーンで表現した。

 制作の中心を担った同研究室の村上友利亜さん(3年)は発表会で、このプロジェクトをきっかけとして初めて同場を訪れた際に感じたリゾート地のような“爽やかさ”を柱に考えたと説明。その上で、「細線で描くことが未来感を想像させる。今後の競馬場の発展を願うとともに、北海道新幹線開業の年に新ロゴマークで盛り上げられれば」と意気込んだ。

 今後は施設内にロゴマークを使った装飾を施すほか、記念のオリジナルグッズやパンフレットにも使用し、6月18日から7月24日までの函館開催でもロゴを入れた投票券を限定で発売する。



◎函館駅前花壇造成の委託先決まる

 函館市は12日、JR函館駅前広場(若松町)の花壇造成を担う「函館駅前花いっぱい業務」のプロポーザル審査で、最適提案者に桔梗造園(石川町、山本久明社長)とNPO法人「スプリングボードユニティ21」(折谷久美子理事長)を選定したと発表した。デザインの詳細を協議した後に正式契約。春の大型連休に間に合うよう、造成が進められる。

 2016年度で4年目の事業。今回から契約期間を3年間に設定し、造成着手時期を早めた。プロポーザルには2者の応募があり、市や有識者らによる審査で決定。同社は12年度から3年間、駅前花壇の委託事業者として造成に従事。同NPO法人は市民ボランティアとともに函館新道沿いなどでの植栽を展開するなど、市民参画型の活動に定評がある。

 提案のテーマは「市民と造る華やかな花壇」。暖色系の明るい色彩や北海道らしさを意識して、春から秋にかけて絶え間なくボリュームを持った草花で飾る。デザインは毎年変わるほか、ベンチの設置や多言語での花名表記、ガーデニングの普及啓発事業、夜間にはライトアップも行う計画だ。4月下旬には花が楽しめるよう造成が進められ、途中、夏花への植え替え、来年以降はデザインを変更する。

 同社取締役でデザインを担当した山本かおるさんは「華やかな花壇を市民と一緒に造っていきたい。アジアの観光客も多く訪れる場所なので、より明るい色合いを意識したい」と話す。折谷理事長は「(手入れの作業中には)函館を訪れた人たちの観光案内もしていきたい。市民や観光客に喜ばれる花壇を造っていきたい」と話した。(今井正一)


◎ジュニア英語スピーチ全国大会で石戸君2連覇

 7日に東京で開かれた第38回全国ジュニア英語スピーチ・コンテスト(日本LL教育センター主催)の決勝大会・中学生の部で、道教育大附属函館中2年の石戸凛太郎君(14)が最優秀賞に輝き、昨年に続いて2連覇を果たした。石戸君は「目標としていた2連覇が達成できてうれしい」と喜んでいる。

 同コンテストは、子どもの英語教育を研究する同センターのプログラムで学ぶ子どもたちの学習成果の発表の場として1978年から続いている。決勝の中学生の部には、全国各地の大会を勝ち抜いた13人が出場し、4分以内で自作の英作文を発表した。

 石戸君は「オープニング・ザ・ブック」と題した作文で、他者を本にたとえ「表紙(うわさや第一印象)だけで判断してはいけない。本を開いて見るように人と接したい」などと呼び掛けた。ステージでは、緊張しなかったと言い、スピーチに合わせて表情を変えたという。石戸君が通う函館市本町の大文堂外語スクール(渡邊晃代表)の渡邊真保マネージング・ディレクターは「石戸君の活躍は後進の励みになる」と祝福する。

 祖母の誕生日プレゼントに優勝を約束していたという石戸君は「約束が実現できて良かった」とほっとした表情で話していた。(半澤孝平)