2016年2月20日 (土) 掲載

◎函バス3・26ダイヤ改正 「新幹線」乗り継ぎ考慮

 函館バス(函館市高盛町、森健二社長)は3月26日付でダイヤ改正を実施する。同日開業の北海道新幹線新函館北斗駅(以下、新駅)への乗り入れやはこだてライナー、道南いさりび鉄道との接続を考慮した経路、ダイヤの見直しが中心。函館駅から湯の川温泉街に直行する均一料金バス「湯の川温泉ライナー」など、市内路線でも観光客需要を見込んだ系統を新設する。

 19日に市企業局庁舎で開いた第5回函館市生活交通協議会(奥平理会長)で、同社がバス路線再編案を示した。

 函館と旧大野地区(北斗市)や七飯町内を結ぶ路線はそれぞれ一部で系統廃止や路線集約があるが、新駅や函館総合車両基地を経由するよう路線を見直した。鹿部町の路線では、3月開設の道の駅「しかべ間歇泉公園」を経由。函館と八雲町やせたな町を結ぶ「快速瀬棚号」も新駅を経由する。

 新幹線とのアクセスを考慮したダイヤの一例では、「函館江差線」(函館―江差間1日5往復)は、これまで、江差ターミナルの出発時間は午前8時5分が最も早かったが、改正で同5時50分発を設定。新駅には同7時19分に到着し、「はやぶさ12号」(同7時34分発)に乗車できる。その後、市立函館病院に同7時51分に到着し、早い時間帯からの受診が可能となる。一方、江差に向かう下り線は、新幹線で新駅到着後に5本中4本が乗り継ぎ可能な時刻に出発する。

 また、函館市の昭和ターミナルと新駅を約50分で結ぶ新設の「美原ライナー」は亀田支所や渡島総合振興局、桔梗などを経由。土日祝日のみ1日4往復の運行だが、午後9時台発着の新幹線との接続を確保した。

 「湯の川温泉ライナー」も新設路線で、函館駅と湯の川温泉の主要ホテル前などを結ぶ直行便。大人300円の均一料金で、新駅からのアクセス列車「はこだてライナー」と連動する。午前運行の3本が温泉街発で、駅前発は夕方に3本設定し、当面、土日祝日のみの運行とする。同社は美原ライナーも含め「利用状況をみて平日の運行も検討する」としている。

 このほか、いさりび鉄道のダイヤに合わせて、五稜郭駅前から市立函館高校などの通学利便の高い学生向けの時刻を設定するとともに、一部で生活路線を廃止する。同社は「収支が厳しい路線もあるが、生活路線に新幹線客を取り込むことで市民生活の足を守ることにつなげたい」とした。(今井正一)



〝アートな新幹線〟見て 3月23日から「トレインナーレ」

 函館ゆかりの表現者12人による「はこだて十人十色トレインナーレ」が、3月23日から4月10日まで市内2カ所で開かれる。「新幹線をアートする」と題し、北海道新幹線開業までに撮影してきた映像作品やH5系のカラーをモチーフとした絵画、立体作品、エッセー、詩などを集め展示する。各個人がそれぞれの思いを込めた芸術・文化作品で開業を盛り上げようと、出品者が準備を進めている。

 タイトルは「3年ごとに開く美術展」という意味のイタリア語「トリエンナーレ」と電車の「トレイン」にかけ、十人十色に「住人と色」の思いを込めた。

 横浜在住の写真家ではこだて観光大使の紀あささんは「大きなお祭りではないが、旅人と住人のどちらも集まる場所に展示することで新幹線を身近に感じてもらえる空間になれば」と期待を込める。

 市地域交流まちづくりセンター(末広町4)では、紀さんと高岡純司さん(函館)、田村昌弘さん(同)が写真、池井希代美さん(同)が動画で、それぞれ開業まで追った新幹線の様子を見せる。午前9時~午後9時。3月30日休館。

 船舶居酒屋杉の子(松風町8)では石川潤さん(七飯)と加藤晶子さん(函館)が油彩画を、ハンドメード作家和泉志野さん(同)が新幹線のある箱庭を製作する。写真家大野希さん(同)は西部地区の景色の中に3色を探す写真を、陶芸家堂前邦子さん(同)は3色をモチーフに作陶、作家の藤島斉さん(同)は新幹線にまつわる花のエピソードを紹介する。羊毛フェルト作家玉山知子さん(七飯)は天井から吊るすフェルト作品を制作。このほかに短詩も並ぶ。日、月曜の午前11時~午後2時と、火~土曜の午後6時半~同11時。

 入場無料。各会場では期間中、新幹線をイメージしたドリンクなど特別メニューを提供(有料)、ワークショップなどの取り組みを予定している。問い合わせは事務局の紀さん(☎080・3318・5466)。(半澤孝平)



◎パークホテル新棟建設

 全国で16の宿泊施設を運営するホテルテトラ(函館市梁川町、三浦孝司社長)は、函館パークホテル(新川町)の客室を増設する。来月の北海道新幹線開業による宿泊需要の増加を見据え、同社所有の隣接地に別棟を新設、客室数を現在のほぼ倍となる70室に増やす。一方、同社はこのほど買収した東京都のホテルの大規模改装を進めており、ホテル再生事業を加速させている。

 函館パークホテルの新たな宿泊棟は、木造2階建て延べ床面積約500平方メートル。ツインの客室30室を新設する予定で、三浦社長は「米国風の室内にしたい」とする。約9000万円を投じて8日から工事を進めており、4月下旬の完成を目指す。

 一方で、同社は1月下旬に東京都北区のビジネスホテル「サンライズ・イン赤羽」(116室)を買収。買収額は非公表だが、現在約7億円をかけて全面改装を行っており、「ホテルテトラ赤羽」と名称を変更後、高級カプセルホテルとして3月中旬にオープンする予定だ。


◎ホテル恵風経営継続へ 灯台資料館は1年以上の休館

 函館市は市椴法華地区のホテル恵風と市灯台資料館(ピカリン館)を運営する第三セクター、市椴法華振興公社が本年度末で解散する問題で、19日までに新たな指定管理者候補を株式会社「椴法華振興開発」(大津廣社長)に決定した。ホテルは引き続き経営を続ける一方で、同資料館は新年度から最低でも1年間休館する見通しだ。

 候補の選定は、同社がホテルの運営引き継ぎを目的に、地元建設業者ら有志で設立し、大津社長が同公社の社長を務めた経歴があることなどから特例措置を適用。委託期間は4月から2019年3月末までの3年間で、従来通り管理者による完全利用料金制を採用する。

 同ホテルは利益の大きな宿泊客の減少が著しく、11年度から4年連続で赤字を計上。同公社の経営は厳しさを増していたことから、昨年10月、本年度末での指定管理取り消しが決まった。

 市椴法華支所によると、同社はホテルの運営を最優先事項としていることから、現段階では同資料館を管理する意向を示していないという。休館は1年以上を想定し、期間は未定。(蝦名達也)