2016年2月21日 (日) 掲載

◎大沼の「エプイ」、8月開業へ改装に着手

 【七飯】大沼鶴雅オーベルジュ「エプイ」改装工事の安全祈願祭が20日、同施設で行われた。8月10日のオープンに向けいよいよ工事が始まり、北海道新幹線の開業後、ランドスケープ(庭園造景)に力を入れた新たな宿泊施設へと生まれ変わる。

 同施設は旧名「クロフォード・イン大沼」で知られ、昨年4月にJR北海道が売却の意向を示した後、釧路市に本社を置く鶴雅グループ(大西雅之社長)が、鶴雅観光開発を通じて取得した。同グループとしては道内で12番目、道南では初の拠点となる。

 部屋数は旧施設と同じ30部屋で、このうち1階部分18室に露天風呂を備え、さらに5室にスパリビングを設ける。このほか公衆露天風呂や貸し切り風呂2つ、ホールにはバーを置く計画。同社はラウンジもしくはバーの名称を「クロフォード」とすることで、旧名を残したいとする意向を示している。

 同社が目玉としているランドスケープは、札幌市の高野ランドスケーププランニングが手掛け、自生樹木や草花を生かすことで季節感を演出する造園空間となる。また、現在駐車場となっている場所にレストラン棟を設け、本館と渡り廊下で行き来できるようにする計画だ。総事業費は約8億円になる見込み。

 安全祈願祭には鶴雅観光開発の山浦祥治取締役会長や中宮安一町長、工事関係者ら約30人が出席。鍬入れや玉ぐしをささげ、工事が無事に完了することを願った。(野口賢清)



いか踊り作曲 高橋徹さん死去

 函館市民に広く知られている「函館いか踊り」の作曲者で、埼玉県越谷市在住の音楽プロデューサー、高橋徹(あきら)さんが15日午前7時43分、大腸がんのため同県内の病院で死去した。62歳。通夜、告別式は20日までに終了した。

 高橋さんは1953年12月、東京都出身。1980(昭和55)年、旅先で訪れた函館でいか踊りの発案者の一人、吉川平八郎さん(68)らと知り合い、依頼を受けたことをきっかけにいか踊りの作曲を手掛けた。86年には自ら歌を吹き込んでレコード化、さらにはCD化され、函館市民に踊りを浸透させた。

 毎年8月の「函館港まつり」では、メーン行事「ワッショイはこだて」のいか踊り自由参加に毎年欠かさず参加し、盛り上げ役の〝アキラさん〟として多くの市民に親しまれた。

 高橋さんの突然の死に、函館いか踊り実行委の関係者らは大きな悲しみに包まれた。二人三脚でいか踊りを広めた前委員長の平八郎さんは、取材に対し「アキラがいなければ、いか踊りはこれほど大きくならなかった。思い出は一言では言えない。ありがとうという思い」と涙ながらに語り、盟友をしのんだ。

 今年1月には東京ドームで開かれた「ふるさと祭り東京」の会場でいか踊りを披露するなど、元気な姿を見せていた。吉川久康委員長(44)は週明けに対応を協議するとし「こんなに急に亡くなるとは思っていなかった」と、沈痛の面持ちで話した。(千葉卓陽)



◎除雪費2億円追加補正、函館市

 函館市の除雪費が2年ぶりに払底する見通しとなった。市は本年度の一般会計予算案に、道路橋梁維持費として2億円を追加計上。本庁管内は当初予算額と合わせて5億7000万円となる。さらに予算不足となることも予測され、市は予備費を充てることなどを検討している。

 本庁管内の除雪費は積雪が少なかった昨年度の決算額は2億5133万円で、当初予算の3億7000万円を下回ったが、13年度は5億8000万円、11、12年度は8億円を超え、補正予算や予備費を充てるなどして対応。天候次第で必要経費が異なり、年変動が大きい。

 本年度の除雪費は1月中旬には6割以上が執行される見通しとなり、2億円の補正予算を決定。市財務部は「過去の事例を勘案して幅を持たせた額」としているが、3月以降にまとまった降雪があったり、市民開放している雪捨て場の整備にも一定の経費が必要になる。

 今後、さらに予算が不足した場合は土木部内での予算のやりくりや予備費を充てることを検討。同部管理課は「今後も必要な除雪作業を進めていくが、路上駐車をやめるなど、改めて円滑な作業に理解と協力をお願いしたい」としている。(今井正一)


◎松前藩勘定奉行の石塚官蔵子孫 27日に講演会

 松前藩勘定奉行の石塚官蔵の5代目子孫で、横浜市在住の石塚光司さん(64)による歴史講演会が27日午後1時半から、元町公園内の函館市写真歴史館で開かれる。幕末期の函館で撮影された写真を基に、石塚さんが独自の視点で当時の歴史をひも解く。

 市民団体「はこだて検定合格者の会」と同館が主催。石塚さんはこれまで函館歴史文化観光検定(はこだて検定)の上級に6回合格し、はこだて観光大使を務めている。

 当日は、ペリー艦隊来航時に撮影された銀板写真「石塚官蔵と従者」がテーマ。同写真は所有する石塚さんが1995年に市立函館博物館に寄託した。函館市写真歴史館では写真の複製や撮影時に官蔵が着用していた裃(かみしも)などを紹介しているが、閉館となる3月末以降の展示方法は未定となっている。

 同会の中尾仁彦さんは「写真史上最も貴重な資料を通して、函館の歴史の一端を知ってもらうと共に、はこだて検定受験への動機づけにつながれば」としている。

 参加無料。定員は先着順で30人。問い合わせは中尾さん(☎0138・55・9809)へ。(山田大輔)