2016年2月27日 (土) 掲載

◎一番列車 夢かなう

 3月26日に開業する北海道新幹線の開業日の指定席特急券が26日午前10時、全国のみどりの窓口などで一斉に発売された。記念すべき切符を手に入れようと、JR函館駅をはじめ道南の駅窓口には徹夜組も含め、多くの人が発売開始を前に並んだ。最も人気の高い一番列車は、新函館北斗発の上り(はやぶさ10号)が約25秒、東京発の下り(はやぶさ1号)が約30秒で完売した。

 函館駅の前には「プラチナチケット」を求める人が24日早朝から並び始め、販売開始の20分前には整理券による事前申込を済ませた約20人が窓口の前に列を作った。午前10時の時報に合わせて係員が発券システムの端末を操作。目当ての切符を入手した人は声を上げて喜んだ。26日午前4時から並び、新函館北斗発の一番列車の立ち席特急券を手に入れた八雲町の会社員白井博記さん(45)は「整理券が7番で、無理かと思っていたのでうれしい。青函トンネルの乗り心地が楽しみ」と笑顔を見せた。

 函館市のパート従業員水野直子さん(44)は「H5系に乗りたい」という次男の陽介君(10)の希望を叶えようと、午前7時に桔梗駅に駆け付け、新函館北斗午後0時44分発のはやぶさ22号のチケットを入手。「息子と新青森まで楽しんできます」と話した。

 七飯駅に並んだ北斗市の会社員村本大輔さん(46)は、新函館北斗駅発の一番列車は取れなかったものの、午前9時31分発のはやぶさ12号を確保。「青函トンネルが開通した1988年に一番列車に乗った。約30年後、ついに新幹線が開通することは感慨深い」と思いをはせた。

 約10人が並んだ木古内駅で、上りの指定席切符を購入した松前町の介護職堀靖子さん(52)は「買えないと思って来たので驚いた。これで東京に就職が決まった息子の引越しの手伝い行ける」と喜んだ。

 開業日の運行は、臨時列車を含めて上下計32本。10両編成の731席で、最上級車両のグランクラス18席、グリーン車55席、普通席658席。



長~い太巻き作って開業祝福

 【北斗】北海道新幹線開業まで1カ月となった26日、北斗谷川小学校(高橋徹校長)の全校児童139人が、開業を祝ってロング太巻き作りに挑戦した。前回2012年9月の記録45・6メートルを上回る50・75メートルに成功、4年前にかなわなかった50メートル超えを果たし、校内は歓喜に包まれた。

 同校は授業の一環で13年前からロング太巻き作りに取り組んでおり、今回も総合的な学習の時間と生活科の授業を活用して行った。

 市内の和食店「味処(あじどころ)せき乃」の関野則夫店主(67)が講師となり、JA新はこだて(畠山良一組合長)が地元産米「ふっくりんこ」35キロを提供。子どもたちは横一列に並び、のり同士をご飯でくっつけた後、ご飯の上に具材のかんぴょう、シイタケ、カニカマ、卵、キュウリ、紅しょうがを並べていった。準備が整うと、みんなで呼吸を合わせて一斉にまきすを巻いて完成。

 児童会長の友安美羽さん(12)=6年=が、H5系車両をデザインしたクッキーの空き箱を太巻きの先頭に挿入。友安さんは「とても長く、きれいにできて良かった」と笑顔を見せた。太巻きは給食に出され、全員で堪能した。(山崎大和)



◎新駅前、レンタカー会社開店準備着々

 【北斗】北海道新幹線開業まで1カ月を切り、新函館北斗駅前に進出するレンタカー会社7社が着々と開店準備を進めている。開業日の3月26日には既に10件以上の予約がある店舗もあり、各社はオープン記念の割引キャンペーンを設定するなど差別化を図って需要の取り込みを狙う。

 トヨタレンタリース函館(杉並町)は新店舗を同21日にオープン。同26日は本州方面の旅行客を中心に10件の申し込みがあるといい、三国大志課長代理は「1泊の利用が中心で最長は5泊。帰りは函館空港や千歳で乗り捨てるなどさまざまで、動向を注視したい」と話す。

 タイムズモビリティネットワークス(広島)は、開店する同24日からオープンキャンペーンを展開。日帰り料金を最大半額近くまで値下げするほか、次回利用時に使用できる割引券を配付する。同社は1月に木古内駅にも進出しており、道南で攻勢を強めている。

 「バジェット・レンタカー」を展開するイデックスオート・ジャパン(福岡)は、同24日に開所式を行う。三浦博敏函館エリアマネージャーは「開業日は10数件の予約が入った。切符が発売になり、今後申し込みが増えることを期待したい」とし、期間限定の割引料金設定も視野に入れる。

 このほか、日産レンタカーと駅レンタカーは同18日、ニッポンレンタカーとオリックスレンタカーは同24日から営業を始める予定。新函館北斗駅周辺にガソリンスタンドがないことから、多くの営業所は店舗の敷地内に給油タンクを設置する予定だ。(山田大輔)


◎「新たなステージへ」 市議会開会、工藤市長が執行方針

 函館市議会の第1回定例会が26日に開会し、会期を3月18日までの22日間と決めた。工藤寿樹市長は2016年度の市政執行方針で「北海道新幹線の開業はゴールではなく新たなスタート。新たなステージを迎える飛躍の年と位置付け、活気とにぎわいにあふれたまちづくりに全力で取り組む」と述べ、新時代のかじ取り役としての決意を新たにした。

 市政の目指す姿は引き続き、「活気に満ちたまち、歩いて楽しいまち、訪れたくなる美しいまち、住む人にやさしいまち」とし、▽交流人口の拡大▽若者の雇用創出▽少子化対策▽高齢者の安全・安心-の4テーマを掲げた。

 主要施策のうち、経済施策では「新幹線開業で函館が全国で最も注目されるまちになる」とし、新幹線開業記念の各イベント、プロモーション活動で国内外への発信を強化。交流人口の拡大、農漁業の振興、国内外への物産の販路拡大、交通拠点としての優位性を生かした企業誘致などを進めるとした。

 少子高齢化の影響による深刻な人口減少にかかわり「街の活力を維持していくため、人口減少を少しでも緩やかなものにしなくてはならない」と述べた。教育環境の充実、子育て世代への支援、若者の就労支援など、総合的な少子化対策の推進を掲げた。大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟については「これからも不退転の覚悟で取り組む」と力を込めた。

 観光面では入り込み客数550万人の早期達成を打ち出し、「ガーデンシティ構想」の策定、歴史的町並みの継承など、まちの魅力をさらに高める取り組みを進める考えを示した。新時代に向けて「恵まれた資源や素材の良さだけに頼る時代は終わった。15年、20年後を見据え、この街が持つ魅力をさらに磨き上げ、新たな魅力を加えながら街を進化させたい」と述べた。

 続いて、山本真也教育長が教育行政執行方針を示し▽豊かな人生を支援する生涯学習の充実▽子どもの「生きる力」を育(はぐく)む学校教育の推進の2点を重点目標に掲げた。山本教育長は「さらなる街の魅力を想像できる人材の育成を目指し、市民と連携、協働する教育行政の積極的推進に努める」と述べた。

 この日は、新年度の各会計予算案など議案74件を提出。3月2日から各会派による代表質問を行う。(今井正一)