2016年2月28日 (日) 掲載

◎メッセージカードでH5系描く

 北海道新幹線開業に向け、函館や東北地方の魅力を発信するイベント「くるぞ!夢の新幹線!!」(函館法人会青年部会主催)が27日、五稜郭タワーアトリウムで開かれた。函館の見どころ紹介や新幹線への思いをつづった、市内48小学校の6年生1967人からのメッセージカードをつなぎ合わせ、巨大ボードを作成し、機運を高めた。

 高さ1・8メートル、幅3・7メートルのボード作成には千代田小の6年生12人が参加。カードには「函館に来てくれてありがとう」「函館山の景色はさいこうだよ」「おいしい海鮮物をたくさん食べてください」などといった観光客向けのメッセージが記されている。つなぎ合わせると、新幹線車両のH5系が浮かび上がるデザイン。同小の福島翔君(12)は「自分のカードがどこにあるか分からないくらい迫力がある。ぜひ新幹線に乗ってみたい」と話していた。

 会場では青森、岩手、宮城3県の名産物を販売したほか、開業までの歴史をたどるビデオや同青年部会のメンバーが、3県に出向き撮影したPR動画などを放映。「仙台すずめ踊り」のステージ披露や「わんこそば大会」も行われ、来場者は新幹線で移動時間が短縮される東北地方の魅力を体感した。

 ボードは3月15日までアトリウムに展示し、16日以降JR函館駅構内でお披露目する予定。(蝦名達也)



祝開業 催し続々…木古内・福島

 【木古内・福島】北海道新幹線と道南いさりび鉄道の開業に伴い、木古内と福島の両町内では、開業日(3月26日)周辺に機運を高めるイベントを展開する。 (斎藤彩伽)

 ■江差線跡でトロッコ走行、19日から

 ○…木古内町では3月19~27日午前10時から、2014年5月に廃止されたJR江差線木古内―江差間の一部の線路を使ってトロッコを走らせる「木古内鶴岡せんろフェスタ」(同実行委主催)が開かれる。午後4時まで(受付終了は各日同3時半まで)。

 函館市や上川管内美深町など道内各地でトロッコを運行する鉄道愛好家が集う団体が企画。フェスでは、トロッコを足こぎするコースとエンジン搭載のトロッコを運行させるコースの2種類を用意する。鶴岡公園を出発し、境内にレールがある禅燈寺を通過して北鶴岡に向かう「足こぎトロッコ」(約500メートル区間)か、同公園から廃止された踏切を仮設線路でつなぎ旧JR江差線新幹線高架付近を目指す「エンジントロッコ」(約1・1キロメートル区間)。

 トロッコは各地から持ってきたものと、北海道夢れいる倶楽部(函館)が製作中のものを使う。乗車券が500円(小学生以下は半額)、エンジントロッコに乗車する場合の急行券が200円(同150円)。北海道夢れいる倶楽部は「日本の鉄道の進歩を、新幹線やいさりび鉄道、廃線を通じて感じ取ってもらえればうれしい。ぜひトロッコ走行を楽しんで」と呼び掛けている。

 ■福島と外ケ浜 開業日にのろし

 ○…福島町では開業当日、青森県外ケ浜町三厩地区と同町が、新幹線の北海道―青森間の発着を知らせようと、「のろし」を上げて交信を図る。あおもり松前街道推進協議会と町のろし上げ実行委が協力して行う。

 イベントは藩政時代に松前藩主が津軽海峡を渡る際に、青森県側と道南の白神岬や松前城でのろしを上げ、渡海の成功などの連絡を取り合ったという歴史にちなむ。さらに、同区間で1998年にフェリーが運行を再開するときに同様の記念イベントを開いており、今回は18年ぶり。

 福島町では古文書に基づいて復元された高さ3・5メートルののろし台で実施。木材をくみ上げてたき木などを燃やし、煙を発生させる。

 時間は、道南側が午後0時57分、新函館北斗発のはやぶさ22号が木古内駅を出発するころで、青森側は同列車が奥津軽いまべつ駅に到着するとき。実行委は「北海道新幹線で再び結ばれる両地域の親交の証しを、皆さんにも見てほしい。成功させます」と意気込んでいる。



◎北桧山中森さん、ピアノコンで銀賞

 せたな町の北桧山中学校2年生、森千尋さん(13)が、13日に東京都の杉並公会堂で開かれた「第7回全日本ジュニア・ピアノコンクール」(日本ピアノ研究会主催)のA課程で、2位に当たる銀賞を受賞した。道内勢で唯一の同過程入賞で、森さんは「いつも本番は緊張してしまうが、今回は曲に乗りながら楽しく弾くことができた。上位入賞できてとてもうれしい」と笑みが弾けた。

 4歳でピアノに興味を持ち始めた森さんは、小学4年生の時から函館市のピアニスト、伊藤亜希子さんの元に毎週通い、指導を受けている。中学校進学と合わせ、吹奏楽部にも入部し、バスクラリネットを担当。伊藤さんは「のみ込みが早く、すぐに間違いを修正できる。部活動と合わせ、これまでの努力の積み重ねが実を結んだ」とたたえる。

 コンクールは2年連続出場で、今回はカバレフスキーのソナタ第3番第1楽章を演奏。伊藤さんが「難しい曲」と評する作品だが、「奏でる曲が好きで自分に合いそうだと思った」(森さん)ことから、決定。部活動や他の発表会に向けた練習をこなしながら、約2カ月半この曲に打ち込んだ。自分が受賞したことにとても驚いたというが、練習の成果を存分に発揮し、堂々たる演奏を披露。母親の奈津美さんは「しつこく練習を続け、本当に成長したなと実感した」と思いやる。

 現在美術系の高校進学を目指しており、年内でピアノ活動をひと区切りにする予定。「他の人の演奏にとらわれず、自分らしく弾けばいいんだ!」と清々しく語る森さんは、今回の経験を糧に新たな一歩を踏み出す。(蝦名達也)


◎大粒で多収のイチゴ新品種、道総研開発

 道総研花・野菜技術センター(滝川市)は、春どり栽培向け多収性イチゴの新品種「空知35号」を開発した。消費者に好まれる大果で、農家には商品にならない小果の収穫作業が省けるメリットがある。北斗市で栽培される春どりイチゴの大半を占める「けんたろう」に置き換わる品種として期待が大きい。

 けんたろうは品質の良さから市場評価が高い一方、収量性が不十分であることや、収穫期後半の小玉化を指摘する声がある。

 空知35号は、大粒で甘みが強い「あまおう」を母に、けんたろうを父として2009年に交配。その後選抜、育成を進めてきた。

 試験では、けんたろうに比べ1粒の重さが1・3倍あるほか、規格内収量が10アール当たり2・2トンと18%増。けんたろうでは3割にとどまっていた単価が良いLサイズ以上が6割を占める。規格内果数はけんたろうと同程度だが、総収穫果数では3割減る。つまり規格外品の収穫が少なくて済むため、作業の省力化につながる。

 食味はけんたろうと同等で、日持ちはやや良いことも分かった。けんたろうと同等以上の耐病性を持ち、果形はけんたろうの円すいに対し、短円すい。

 2016年度に苗の増殖を始め、2~3年後に一般栽培が始まる予定。普及見込みは、全道の春どり作付面積の半分に当たる18ヘクタール。北斗の春どりは4ヘクタール(13年)で、道内でもトップクラスだ。

 道南農試(北斗)の高濱雅幹研究主任は「消費者は大きなイチゴを好む傾向にある。農家の高齢化が進んでおり、腰をかがめて行う収穫作業を楽にすることが求められていた。北斗でもけんたろうに置き換わって普及すれば」と話している。(山崎大和)