2016年2月29日 (月) 掲載

◎五稜郭、3月中に石垣修復完了

 特別史跡・五稜郭跡で崩落した石垣の修復復旧工事作業が、3月中に終了する見通しとなった。25日、有識者でつくる「特別史跡五稜郭跡保存整備委員会」(近藤公夫座長)の委員による現場指導が行われ、工事の進捗状況などを確認。市教委は新年度以降、郭内一の橋広場向かいの石垣と南部の排水溝の修復に乗り出す考えを示した。

 工事中の石垣は郭内南東部に位置する。崩れた石の積み直しは1月下旬から始まり、常水位より下半分の修復が完了。根石(最下部に積む石)がほとんど移動していなかったことから、上部を積みながらバランスを調整した。石垣の傾斜について、市教委文化財課は「(石垣の裏側に)土のうをあまり使うことなく、本来と同じ形に修復できている」とした。

 積み直した後は堤防工事などに使われる「じゃかご」を堀の底に設置し、石垣を補強する。石垣上部の土工芝張りを含め、予定通り3月中に工事が完了する見通しだ。

 排水溝は、南東部の崩落前から修復を予定していた箇所で、すでに発掘調査済み。新年度に一の橋広場向かいの石垣の基本設計と両箇所の実施設計を行い、2017年度以降の工事着手を目指している。

 このほか、郭内に植えてあるアカマツの剪定(せんてい)作業を拡充し、3年ほどかけて計86本を手入れする。強風などによって大ぶりな枝が落下する危険性もあり、北海道新幹線開業によって増加が見込まれる観光客の安全面の確保につなげたい考えだ。(蝦名達也)



大妻高演劇部、5日に自主公演

 函館大妻高校演劇部は3月5日、第5回自主公演「THE三本勝負」を函館市芸術ホールリハーサル室(五稜郭町37)で行う。初の試みとして、1・2年生、3年生、OGの3作品を上演。狩野李胡部長(17)=2年=は「演じる側もお客さんも楽しめる公演にしたい」と意気込んでいる。

 昨年7月、同部OGを中心に「劇団aFter」が発足。精力的に活動していることから、節目に合わせて3本立てでの上演を決めた。全てオリジナル脚本で臨む。

 1・2年生7人が演じる「約束」は、狩野部長が脚本を執筆。オオカミや赤ずきん、白雪姫など童話のキャラクターが登場する恋模様と、それを取り巻く人たちを描く。3年生の作品は山本マリンさん(18)がストーリーを手掛けた「はるまち」。卒業式後の演劇部部室を舞台に、3人が未来への期待と不安で葛藤する等身大の高校生の姿を見せる。

 一方、OGは「満月の夜に」を上演。就職を機に地元を離れることになった幼なじみとの掛け合いを2人が演じる。「『恋愛のような友情』に注目してほしい」と白川華さん(22)。第1回公演時の部長でもあり、「公演を受け継いでくれた後輩たちと一緒に舞台に立つことができてうれしい」と話す。

 1作品20分ほど。入場料300円(未就学児無料)。開演は①午後3時②同5時半―の2回。問い合わせは顧問の森教諭(☎0138・52・1890)へ。(稲船優香)



◎発行額以上の消費誘発 函館市プレミアム付商品券など利用状況

 函館市は、昨年発行したプレミアム付商品券と子育てサポート商品券の利用状況をまとめた。額面総額12億円分を発行したプレミアム券は11億9717万円が利用され、アンケートから推計した最終消費額は14億6508万円で、市は発行額以上の消費が誘発されたと分析している。

 国の交付金を活用した経済対策事業。プレミアム券は1000円券12枚1組を1万円で販売し、総額12億円分(10万組)が即日完売した。子育て券は中学生以下の児童約2万8000人に1人当たり1万円分を配布。2種で約14億8000万円分を発行した。昨年7~10月に市内約1700の店舗などで利用できた。

 市のまとめでは、プレミアム券は11億9717万円、子育て券は2億7824万円分の計14億7541万円分の利用があり、換金率は99・8%だった。業種別(9分類)では、「スーパーマーケット」が5億4717万円(構成比37・1%)が最多。「百貨店等」が2億2114万円(15%)、「家具・家電量販店・ホームセンター」が2億1504万円(14・6%)と続いた。

 「衣料品店・時計宝飾店・書籍文具店」の分類を券種別にみると、プレミアム券の構成比は3・9%だったのに対し、子育て券は11・5%と割合が高く、事業目的に合致した利用があったことがうかがえる。

 また、プレミアム券利用者323件に実施したアンケートでは、総額3239万円のうち、1970万円が普段の買い物分、1268万円分が商品券が動機となった購入分で、さらに商品券と合わせて使用した現金は724万円だった。この結果から、消費喚起効果の最終消費額は14億6508万円、日常の消費以外に生み出した消費額は7億3677万円と推計した。

 取扱店からは、商店街店舗から「スーパーや量販店に流れると思ったが予想以上に利用があった」「現金代わりに利用されており、売り上げ増につながったとは言えない」などの意見があった。市経済部商業振興課は「新規の消費誘発があり、商品券発行の目的である消費喚起を一定程度図ることができた」としている。(今井正一)


◎グリーン車サービス全廃 車内販売列車は拡大

 JR北海道は3月26日のダイヤ改正と同時に、函館―札幌間の特急「スーパー北斗」「北斗」で行っている車内サービスを見直す。ドリンク提供などグリーン車で行っていた各種サービスを廃止する一方、車内販売の実施列車を拡大。夕張メロンのゼリーなど、北海道らしさを感じさせる新商品の取り扱いを始める。

 グリーン車のサービスは現在、同区間の特急18本中14本で実施。飲料やおしぼり、毛布の提供など全サービスが取り止めとなる。同社は「厳しい収支状況を踏まえ、安全対策に経営資源を集中させるための止むを得ない措置。ご理解いただきたい」とする。

 一方、ダイヤ改正でスーパー北斗・北斗が3往復6本増便されるのに伴い、車内販売を行う列車を現行の14本から20本に増やし、メニューを強化する。

 新たに加わる商品は4種類。「函館カール・レイモン」の人気商品「一口サラミ」(30グラム入り350円、以下全て税込み)や新幹線車両「H5系」をあしらった容器にグルメを詰めた「北海道新幹線弁当」(1300円)が登場。夕張メロンを使ったゼリーは「一口ゼリー」(15個入り、540円)とサイズの大きい「エスト」(2個入り、650円)の2種を用意する。

 このほか、名物弁当の「かなやのかにめし」は8月下旬までの期間限定で、H5系をデザインした掛け紙に変更して売り出す。同社は「道外から新幹線で訪れるお客様に、地元の食の魅力をPRしたい」としている。(山田大輔)