2016年2月6日 (土) 掲載

◎「ながまれ号」ゆったり旅提供

 北海道新幹線と同時に3月26日開業する第三セクター「道南いさりび鉄道」(函館、小上一郎社長)は5日、新たに導入する観光列車「ながまれ号」の車両デザインを発表した。車体のベース色にブルートレインを連想させる濃紺を採用、シルバーで函館山のシルエットを配し、内装に道南スギを使うなど〝地産地消〟的考えを取り込んだ。年12回運行し、日本旅行(東京)が商品として3月中旬に売り出す。

 JR北海道から譲り受けるディーゼル車「キハ40形」9両のうち2両を改造し、観光にも利用できる車両を整備する。道が3500万円を補助し改造工事に着手、開業日の出発式で車両として使う。通常は一般列車として運行する。

 「ながまれ」とは、道南の方言「ゆっくりして」「のんびりして」の意味。デザインは高田傑建築都市研究室(函館)を主宰する高田傑さん(42)を中心に考案。日没後の函館山のシルエットに津軽海峡のきらめく漁火、道南のまちの明かり、空にスターダストをまとい「のんびりとした旅へ案内したい」(同社)。

 月2回、5月下旬から10月まで運行予定。函館を夕方に出発、木古内で1時間程度下車し、函館に午後8時ごろ到着する。車窓から津軽海峡の漁火が楽しめるほか、函館の夜景鑑賞に出掛けられるよう配慮した。料金は未定。

 日本旅行は鉄道をテーマにした商品に実績があり、今回は「道南いさりび食堂ながまれ号」(仮称)と名付け、地元食材を使った弁当の提供を検討している。

 同日、渡島総合振興局であった道南地域(五稜郭・木古内間)第三セクター鉄道開業準備協議会の席上、小上社長がデザインを公表。「見事に出来上がった車両を最大限に活用していくのが会社の使命」と強調した。大森伊佐緒木古内町長は「北海道らしさが出て、いいと思う。一つの旅の方法として提案したい」と話していた。(山崎大和)



青函4市、氷像前でPR

 【札幌】函館、青森、弘前、八戸の青函4市でつくる青函圏観光都市会議は、5日に開幕したさっぽろ雪まつり大通2丁目会場で、北海道新幹線開業後の4月8日にスタートする「青函圏周遊博」のプロモーションを行った。

 工藤寿樹函館市長、鹿内博青森市長、葛西憲之弘前市長、小林眞八戸市長がイベントステージに勢ぞろい。新幹線H5系車両と特別史跡・五稜郭跡、金森赤レンガ倉庫、ねぶた祭り、弘前城、えんぶりなど4市の観光資源をモチーフにした氷像の点灯式を行った後、各市長がそれぞれの街の魅力をPRした。

 工藤市長は「開業までちょうどきょうで50日。東北や北関東にもたくさん観光名所があるので、ぜひ函館から新幹線に乗りついで行ってほしい。五稜郭のサクラを見た後、もう1~2泊して東北のサクラを楽しんで。青函圏は魅力満載で皆さんを待っています」と、大勢の観客に呼び掛けた。

 ステージでは各市のPR大使が4市にまつわるクイズ大会を展開。函館からはミスはこだての岩館りなさんとイカール星人がイカに関する問題を出すなどして会場を盛り上げた。(鳥越裕子)



◎マンション完売目前 駅前と本町の2棟

 函館市の駅前・大門地区と本町地区で建設が進む複合ビル併設の分譲マンションの販売が最終盤を迎えている。ともに予定戸数の約9割が成約済みとなり、販売を手掛ける2社は3~4月ごろの完売を目指している。来年3月の入居開始を予定し、中心市街地への定住者増加が期待される。

 JR函館駅前の再開発ビル「キラリス函館」の5~16階がフージャースコーポレーションのマンション「函館MARKS THE TOWER(マークス・ザ・タワー)」となる。2014年8月に松風町にマンションギャラリーを開設した。全84戸中81戸が販売分で、同社は「おかげさまで9割方成約した。新幹線開業前には完売したい」とする。

 購入者の2割は首都圏在住者で「地縁のある人や函館に魅力を感じている人に購入していただいた」とする。交通結節点の利便性に加えて、ベイエリアや元町地区、函館山といった〝函館らしさ〟に近いことも人気を集めたという。

 一方、旧グルメシティ五稜郭店跡では、ビルの5階から市内最高層の19階が大和ハウス工業が手掛ける「プレミストタワー函館五稜郭」。昨年5月に五稜郭町32にモデルルームを開設。全73戸中、残る販売数は6戸となり、同社は「いたって順調で想定通りのペース」とする。

 駅前と同様2割程度が道外在住者の購入で移住検討者もいるという。「丸井今井函館店や病院が近いといった生活利便性の高さもあるが、四季を感じることができる五稜郭公園や、芸術ホール、中央図書館といった施設の近さにも関心があった」とする。

 両ビル内にそれぞれ公共施設を整備する市経済部中心市街地再生担当は「完成後に実際に多くの人が居住し、部屋に明かりがともることで建物そのものが両地区の象徴になってほしい」としている。(今井正一)


◎野外劇 夜公演復活 今夏は10回

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(中村由紀夫理事長)は5日、函館市内で通常総会を開き、今夏は7月9日~8月7日の土、日曜日に10回公演することを決めた。五稜郭タワーアトリウムと五稜郭公園一の橋広場を活用し、一部公演は夜間に開く。

 土曜に夜公演(有料)を復活させ、広場にメーンとなる舞台を設置することなどを盛り込んだ。日曜は昼間に行い、昨年同様に投げ銭形式ダイジェスト版の無料公演とする。

 同会事務局は「夜公演は広場付近を昨年より広く取り、従来の野外劇をほうふつとさせるものにする」と意気込んだ。今年はまた、公演以外にも5月以降に写真展やワークショップを開催し、存在感を高めていくとしている。

 野外劇は1988年から五稜郭公園東南側の堀で、地形を生かしたステージを展開してきたが、2014年3月に石垣が崩落した影響で、規模を縮小しての実施を余儀なくされている。

 中村理事長は「旧舞台への復帰を目指し、野外劇の灯を絶やさない決意で今年も進めていく。野外劇が観光資源の一つとして寄与できればと思う」と話している。(半澤孝平)