2016年2月9日 (火) 掲載

◎調理製菓専門学校 校舎増築

 学校法人野又学園(函館、野又淳司理事長)は、函館短大付設調理製菓専門学校(柏木町、同校長)の校舎増築工事を進めている。施設の拡張により、料理講習会や食育講座、レシピ開発を通じた地域への貢献活動を充実させるほか、調理師学校では珍しい外国人受講生も受け入れて道産食材の良さを知ってもらう考えだ。3月上旬に完成、新年度に使用を始める。

 現校舎が1979年に建築されて以降、同校の大規模な増築は初めて。既存校舎の老朽化に加え「地域から食に関する幅広い学びの依頼を受けるので、それに応えていきたい」(野又校長)とし、昨年10月に現校舎隣に着工した。

 新校舎は鉄骨造2階建て延べ690平方メートル。既存校舎と1階の渡り廊下でつなげ、1階に第2調理実習室、食文化演習室、2階に第2製菓実習室、普通教室を整備する。食文化演習室は和の内装を施し、ゆったりと試食ができる場所として活用する。人を呼んで、料理を提供する実践形式の授業を増やせるメリットもあるという。

 世界的な日本食ブームの中、北海道で料理を勉強したい外国人に対し、短期間の講習を受けてもらう場を提供する。官民レベルで函館と交流があるシンガポールを中心に、ASEAN(東南アジア諸国連合)から最初は5人程度を受け入れ、徐々に人数を増やすことも検討。2週間~2カ月ほどの期間で、食文化演習室を使い日本文化を体験してもらうことも想定している。

 また、通常の学生に関しても製菓衛生師科の定員(現行60人)を増やす方向だ。野又校長は「北海道の食は世界に目を向けることが重要。調理の世界を志す学生をもっと増やしたい」と意気込んでいる。(山崎大和)



函水高が道南初の特別賞 SYDボランティア奨励賞

 【北斗】函館水産高校(三ツ石茂之校長)が、社会教育団体「修養団」(東京)が主催する「第10回SYDボランティア奨励賞」の特別賞を受賞した。生徒による函館ゆかりの新島襄が米国へ脱国する日の夜を再現する寸劇や、大沼流入河川水のCOD(化学的酸素要求量)調査、佐賀からもらい受けたヒマワリの種を育てる東日本大震災を忘れない「ひまわりプロジェクト」の活動が高く評価された。道南では初の受賞で、生徒たちの喜びもひとしおだ。

 SYDボランティア奨励賞は、修養団の創立100周年を記念して創設、10回目の今回は全国から75件の応募があった。その中から文部科学大臣賞1点、理事長特別賞1点、優秀賞3点、函水高を含む特別賞5点が選ばれた。

 生徒のボランティア活動はもともと、道教委の研究指定活動として始まったが、2年または3年間で予算措置がなくなり、終了せざるを得なくなるケースが多い。しかし、我妻雅夫教諭(62)の熱意で生徒に声を掛け、有志活動「北のくにづくり」の名称で地域とのつながりを大切にし、継続してきたプロジェクトが実を結んだ。

 寸劇は2007年から毎年7月に行っており、進取の気性に富んだ新島を生徒や卒業生が熱演し好評だ。水質調査は08年から、ひまわりプロジェクトは14年から取り組んでいる。どれも部活ではなく予算も付かない中、手弁当で自分たちでつくり続けてきた。

 6日に東京であった贈呈式に出席した3年の石亀伶君(17)は「長年、先輩たちがつないでくれた活動を後輩たちに引き継いでいきたい。今回の受賞で函水高の知名度も上がったと思う」と笑顔。北のくにづくりメンバーで1年の佐藤未玖さん(16)と土屋七海さん(同)は「人の役に立ちたいという思いが強い。新1年生を誘って、もっといろんなテーマでボランティアに挑戦したい」と意気込む。

 我妻教諭は「今回のように全国規模の大会に参加することで、子どもたちの成長につながる。活動の輪を他の高校生にも広げたい」と話している。(山崎大和)



◎ガソリン一転値上がり

 函館市内の多くのガソリンスタンド(GS)で8日、レギュラーガソリンの価格が1リットル当たり6~9円値上がりした。セルフ式の現金価格は105円前後となり、関係者は「石油の元売り価格上昇を背景に、今後は値上げが続く可能性がある」とみている。

 函館市がまとめた1月のレギュラーガソリン1リットルの平均価格は118・4円。過去3年の最高値169円(2014年8月)から約50円下落し、1月下旬には7年ぶりに100円を割り込むGSが出た。

 一転して価格が上昇した要因について、函館地方石油業協同組合の伊藤清隆事務局長は「先週、石油大手元売り各社がガソリン卸価格を5円程度引き上げたことが大きい」と指摘。「卸価格は上昇を続けており、採算面で厳しくなった小売業者による価格転嫁が進むのでは」と値上げ基調に転じる可能性を示唆する。

 全国のレギュラーガソリン価格の調査を行う石油情報センター(東京)は「一部産油国が協調減産に踏み切るのではという情報が飛び交い、原油価格は乱高下している状態。先行きの不透明感が強まっている」としている。

 この日、市内のGSで給油していた会社員の久米恭平さん(31)は「原油価格は下落していると思っていたので、値上げには正直驚いた。また値段が下がることを期待したい」と話していた。(山田大輔)


◎無料歯周病検診の利用低調 定期検査へのきっかけづくりに

 40、50歳の働き世代を対象とした、函館市の無料歯周病検診の利用が伸び悩んでいる。昨年12月末現在で受診した人数は69人で、年度内見込みの900人には届かなそうだ。期限まで2カ月を切ったが、市は定期的に検診を受けるきっかけづくりとして多くの利用を呼び掛けている。

 歯周病の重症化が表れやすい40、50歳の予防意識醸成を目的に昨年10月に開始。希望者に市内69の歯科医院で検診を受けられる無料受診券を配布し、歯茎の健康状態や虫歯、歯石の有無などを調べる。市が平日の午前から夕方に実施している成人歯科検診(40歳以上対象)に加え、土曜日や平日の夜間でも受診できる機会が増えた。

 8日現在の受診券申し込み人数は62人で、市は昨年11月初め、今年1~3月に41、51歳の誕生日を迎える約1700人に受診券を送付。その結果69人の受診につながったが、受診券が手元にありながら利用していない市民が多いのが現状だ。

 市健康増進課によると、検診を受けた69人のうち、75・4%に当たる52人が「要精密検査」と診断された。歯周病は痛みを感じないまま症状が悪化するといわれ「早期に異常を見つけ、良い状態を維持することが重要。自分の歯磨きだけでは汚れを完璧に落とすのは難しいので、ぜひこの機会に利用してほしい」(同課)としている。

 実施期間は3月31日までだが、期間中に41、51歳になる人は誕生日の前日までに受診する。問い合わせ、申し込みは同課(☎0138・32・1545)へ。(蝦名達也)