2016年3月10日 (木) 掲載

◎開業3駅、26日に式典 新動脈の誕生祝う

 JR北海道は9日、北海道新幹線開業日の26日に新函館北斗、木古内、奥津軽いまべつの3駅で開業式典や出発式を行うと発表した。当日はテープカットやくす玉割りなどを行い、長年の悲願だった新たな動脈の誕生を盛大に祝う。

 新函館北斗駅では午前5時45分から2階改札内コンコースで、同社の島田修社長らが出席して式典を実施。続けて11番ホームで出発式を行い、鳴海正駅長の出発合図で上り東京行きの一番列車となる同6時35分発の「はやぶさ10号」を送り出す。

 木古内駅は同6時5分開始で、同6時48分発の同列車を見送るほか、奥津軽いまべつ駅では新函館北斗行きの初便となる「はやて91号」(同6時48分発)の出発に合わせ、同6時からセレモニーを行う。

 また、函館駅では同11時から、同日開業する第三セクター・道南いさりび鉄道や新函館北斗―函館間を結ぶアクセス列車「はこだてライナー」の出発式を開催。同11時53分発のはこだてライナーと、観光列車「ながまれ号」で運行する正午発のいさりび鉄道上磯行きを見送る。

 同日は、函館駅前特設会場で「つながるニッポン祭り」、新函館北斗駅前を会場とした「北斗おもてなし祭」など、開業記念イベントが近郊で多数予定されている。(山田大輔)



◎26日から通勤・通学定期発売

 JR北海道は26日から、北海道新幹線の通勤・通学用定期券を発売する。新函館北斗発の通勤用1カ月の料金は、木古内までが6万1830円、新青森までが15万9610円となる。

 定期券は通勤用の「FREX(フレックス)」、通学用の「FREXパル」の2種類で、有効期間はそれぞれ1カ月と3カ月。通学用は通勤用と比べて2~3割安く、1カ月の料金は新函館北斗―木古内間は4万9760円、新函館北斗―新青森間が11万6160円。

 定期券で座席の予約はできないが、普通車指定席に空席があれば座れる。満席の場合は立席となり、グリーン車や最上級車両「グランクラス」は利用できない。

 奥津軽いまべつ駅のある青森県今別町新幹線対策室によると、新幹線で青森市内の高校に通う生徒らの需要を見込んでいるという。同対策室は「現在は高校の始業時間に間に合う列車がないことから、青森市内で下宿生活をする高校生が多いが、開業後は新幹線通学者が増える」といい、町が費用の3分の1を助成する方針だ。

 JR北海道は「定期券発売により、多くの方々に新幹線をご利用いただきたい」としている。(山田大輔)



◎青函連絡船の航跡 次代に

 青函連絡船の元船長で、函館市柏木町の山田友二さん(91)と七飯町緑町の北畠大陸さん(76)は、自ら撮影、編集した連絡船の軌跡を伝えるDVD「海峡が見た夢」を市内の中学校に寄贈する。映像には市青函連絡船記念館摩周丸の賛歌「心の宝物」「Dreaming~私の摩周丸」を挿入しており、2人は「孫の世代に北海道と本州を結ぶ大動脈として活躍した連絡船を伝えたい」と話している。

 DVDは昨年、同記念館を運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会が摩周丸の就航50周年記念事業として企画し、ビデオ撮影を趣味とする2人に撮影を依頼。さらに札幌の学生(当時)が制作した同曲を聞いてもらったところ「言葉にできない感動があった。摩周丸や連絡船を知ってもらうのに最適の曲」(北畠さん)と制作意欲が高まり、シナリオを考えた。

 撮影は3~5月に行い、同記念館で公開中の施設や展示されているパネルを2人が収録。修学旅行で訪れていた旭川神居中学校の生徒もエキストラ参加した。同曲のイメージに合う夕日や、函館山から見る函館港なども取り入れて北畠さんが編集。2曲分の約10分にまとめ、摩周丸が就航した6月30日にお披露目した。

 その後、北畠さんが連絡船勤務時代の先輩にあたる高木宏二さんにDVDを見せたところ「市内の中学校に寄付しては」と助言をもらい、送付することを決めた。北畠さんは「昨年プレゼントした旭川の中学生も喜んでいた。函館の子どもたちも見てくれれば」、山田さんは「北海道新幹線開業を前に、海の新幹線として活躍した摩周丸のことを少しでも伝えられれば」と話した。

 問い合わせは同記念館(☎0138・27・2500)へ。(山崎純一)


◎(震災5年 被災地忘れず)大槌の児童を支援 10日から絵画展

 はこだてギャラリー(函館市時任町22、落合良治社長)は10日から、東日本大震災で被害を受けた岩手県大槌町の安渡(あんど)小学校の子どもたちを支援する「第8回チャリティー絵画展」(函館新聞社後援)をテーオーデパート(梁川町10)で開く。15日まで。入場無料。

 会場には、函館ゆかりの油彩画家である田辺三重松(1897―1971年)や橋本三郎(1913―89年)などの絵画や、青森県出身の版画家棟方志功の作品など約100点のほか、有田焼などの陶器約100点を含む計約200点の美術品が並んでいる。

 メディアなどを通じて現地の惨状を知った落合さんは「子どもたちに心温まる贈り物を届けたい」と、5年前から3月と9月にチャリティー展を企画してきた。益金の一部は、現地からの要望で国語辞典やドッジボールなどの遊具に換わり、落合さん自身が同小へ出向いて寄贈している。昨年は約30万円相当の書籍や遊具を届けたという。

 落合さんは「地域社会に暮らす一員として貢献を続けたい。今後も子どもたちの役に立てたら」と話し、多くの来場を呼び掛けている。午前10時~午後6時(最終日は同3時)。(半澤孝平)