2016年3月15日 (火) 掲載

◎大農高×農楽蔵 コラボワイン完成

 26日の北海道新幹線開業を記念し、大野農業高校(丸山博正校長)の生徒が育てたブドウを100%使ったスパークリングワイン「ONORA(おおのら)」が完成した。函館市元町のワイナリー「農楽蔵(のらくら)」が製造。ラベルは生徒自ら考案したデザインを採用しており、同校は「まちの活性化につながれば」と開業を心待ちにしている。

 農楽蔵は、北斗市追分に住む佐々木賢さん(37)と佳津子さん(40)夫妻がオーナー。2012年から同じ北斗にある同校のブドウを使ったワインを製造している。

 同校は敷地内に3ヘクタールの果樹園を有し、一角で「ナイアガラ」などブドウ4品種を栽培。向野地区は盆地で、昼夜の寒暖差が大きいためブドウ栽培に適しているという。

 今回のワインは14年に収穫した「ナイアガラ」を使い、1年間熟成させたもので、微発泡でやや甘さがあり、香りが強い。アルコール分は11度。

 ラベルデザインを考えたのは2年の相馬有那さん(17)。北斗市に見立てたかごにブドウやワイン、市の夏の花マリーゴールドを入れ、新幹線の形をしたキュートなリボンを巻いた。

 14日は1、2年生12人が農楽蔵を訪れ、ラベルを貼る作業に励んだ。相馬さんは「デザインが採用されてうれしい。新幹線が来ることでまちが活性化し、効果が長続きするといいですね」と笑顔。2年の月岡正心君(17)も「新幹線で北斗を訪れる多くの人に飲んでほしい」と話していた。

 750ミリリットル入り2200円(税別)。26日から新函館北斗駅の「ほっとマルシェおがーる」で190本限定販売するほか、同日、市総合文化センターで開かれる市主催の記念式典で乾杯に使われる。(山崎大和)



◎4月22日「バル街」74店出店

 函館市西部地区をスペインの飲食文化「バル」に見立て、参加店の用意したピンチョス(つまみ)と酒をはしごしながら楽しむイベント「第25回函館西部地区バル街」が、4月22日午後2時から同地区で開かれる。実行委(深谷宏治代表)主催で、15日から前売り(5枚つづり、3500円)券を販売する。北海道新幹線開業後の最初のバル街となり、実行委は「これまで続いた青函圏の交流・連携の新たな時代の始まりとなるイベントにしたい」としている。

 地元西部地区をはじめ青森市や弘前市、江差町などから74店が出店。うち新規参加店は6店で、今まで出店がなかった谷地頭町からすし店「江戸松」と「カフェクラシック」が参加。道南・青森県の女性でつくるまちおこしグループ「津軽海峡マグロ女子会」からは五所川原市の「でる・そーれ」も初めて出店する。

 今回初めて金森ホールを会場に使用し、「津軽海峡圏交流ライブ」と題したイベントを開催。函館、弘前を代表するビッグバンドや青森のご当地アイドルなどが出演するほか、同ホールには青森県内のシェフグループや木古内町の道の駅・みそぎの郷きこないにオープンしたレストラン「どうなんデス」など5店が店を構える。

 恒例のアクロス十字街での振る舞いサービスには今回初めて、北斗市内で栽培した復刻米「マツマエ」を弘前市の六花酒造で醸造した特別純米酒「ガスバリ」もお目見えする。

 実行委の加納諄治事務局長は「開業を契機に函館の外からもたくさんの人が来て、西部地区の発する魅力を楽しんでほしい」と話した。

 前売り券は市内プレイガイドやバル街参加店などで販売。インターネットによる購入予約は22日から。当日券4000円。問い合わせはレストランバスク☎0138・56・1570。公式ホームページはhttp://www.bar―gai.com/(鈴木 潤)



◎全街路灯 LED化へ

 函館市内の各町会で、消費電力の少ない発光ダイオード(LED)を使った街路灯への切り替えが進んでいる。今後、新年度の設置予定数と同じ程度で実績が推移した場合、早くて5年後に全てがLED化する見通しとなった。市が設置費用を補助しており、環境への配慮と電気料金の負担軽減効果に大きな期待が懸かる。

 函市が電気料金の8割を補助する街路灯は約2万3000基。町会が管理する街路灯のLED化を促進しようと、市は2012年度から設置補助率を5%引き上げて85%、1基当たりの補助限度額を9000円増額の3万4000円としている。

 函市市民・男女共同参画課によると、LEDは小電力で、寿命は蛍光灯や水銀灯の5~7倍に当たる10年間。電気料金も既存電灯の半分ほどで、1基当たりの年額が約2600円。新年度設置予定数の2649基で、年額727万円の縮減効果があるという。

 函切り替えの推移は、補助率を引き上げる前年の11年度が34基だったのに対し、12年度486基、13年度1383基、14年度2176基、本年度3207基と年々増加。新年度予算案には関係経費9279万円を計上している。

 函12年度以降の申請急増から、14日現在では約150町会・団体の約7300基が切り替えられている。新年度末で全体の4割に当たる約1万基を数え、新年度ベースで推移した場合、5~6年後に全てがLED化する計算となる。

 函ただ、補助があるとはいえ設置費は高額のため、数年かけて計画的に導入したり、現在使用する電灯が切れてから切り替えを検討したりする町会もあるという。同課は「長期的にみると電気料金の節減効果は十分期待できる。明るさを身近に感じることができ、二酸化炭素の排出量削減と合わせて地域の防犯に役立ててほしい」としている。(蝦名達也)


◎連絡船の絵本復刊

 北海道新幹線の開業を前に、福音館書店(東京)が絵本「青函連絡船ものがたり」を23年ぶりに復刊した。廃止直前の連絡船の姿や函館のまちを、旅情あふれる文章と絵で伝えている。復刊のきっかけとなった函館の読み聞かせグループは「児童書と思わず、連絡船に関わった全ての人に読んでほしい」とPRする。

 青函連絡船ものがたりは、連絡船が廃止される2カ月前の1988年1月、月刊誌「たくさんのふしぎ」として刊行。92年には同誌の中から選んだ傑作集に収められた。翌年に重版されたものの、その後は品切れになっていた。

 絵本は連絡船に乗る人たちや船内部の様子、構造や歩みなどを詳しく紹介。洞爺丸事故が契機となり、青函トンネルの計画が進んだことにも触れ、青函を結ぶ交通の変遷が読み取れる。文章は鉄道紀行作家の故宮脇俊三さんが、絵は鉄道イラストレーターの故黒岩保美さんが手掛けた。

 復刊のきっかけは、函館の読み聞かせグループ「函館絵本の会 銀のふね」。昨年7月、福音館書店販売部の中村健太朗さんが函館を訪れた際、メンバーから「いい絵本なのに、今は手に入らない」と訴えられた。改めて本を読んだ中村さんは「絵が緻密な分、当時の思い出を引き出す力がある。開業前の今だからこそ、復刊する意味がある」と決断。4000部の限定復刊を実現させた。

 同グループは「連絡船に乗るのは、たいていが人生の岐路。だからみんな何かしらの物語がある。本を機に、連絡船を知らない子どもたちとの会話が弾めばうれしい」と呼び掛ける。

 B5変形判40ページ。1300円(税別)。函館市内の書店で取り扱う。石川町の函館蔦屋書店1階暖炉スペースでは、4月8日まで本を紹介するパネル展を実施している。(稲船優香)