2016年3月16日 (水) 掲載

◎JR函館駅商業ゾーン新装開店

 26日の北海道新幹線開業を見据え、北海道キヨスク(札幌)が改装工事を進めていたJR函館駅の商業ゾーンが15日、新装オープンした。売り場には道南の特産品や駅限定商品などがずらりと並び、早速、土産品を買い求める旅行客らで混雑した。

 地元の人気ショップを集めた1階専門店ゾーンには、老舗パン店「キングベーク」が運営する「キングスイーツ」など7店が出店。同駅限定でゴーフレットの実演販売を始めた洋菓子店「ペイストリースナッフルス」の渡辺宗起取締役は「平日の売れ行きとしては上々。新幹線開業でさらに需要は高まると思うので期待したい」と話す。

 駅弁販売の「函館みかど」は、北海道新幹線車両「H5系」をあしらった容器にグルメを詰めた「北斗七星」などを販売。26日には開業記念弁当の第3弾として、道産食材をふんだんに盛り込んだ「鮑雲丹(●あわびうに)めし」を売り出す予定だ。このほか、2階にはラーメン店「函館麺厨房(●ちゅうぼう)あじさい」など飲食店3店と書店が並ぶ。

 この日、秋田から夫と旅行で訪れていた神野京子さん(64)は「買いたいものがたくさんあって、目移りしそうです」と笑顔で話していた。(山田大輔)



◎開業日前後のホテル 軒並み満室

 函館市内、近郊の主要ホテルは、26日の北海道新幹線開業日前後の宿泊予約が殺到し、満室に近い状態となっている。ホテル関係者は喜びの声を上げる一方、「開業効果を一過性のものとしないため、今後は需要をさらに喚起する取り組みが必要だ」としている。

 市内豊川町のラビスタ函館ベイ(339室)では開業日が発表された昨年9月から予約が相次ぎ、26~31日はほぼ満室となっている。4月の客室稼働率も前年と比べ30ポイントほど高い。企画営業の小川賢治マネジャーは「ゴールデンウイークを控えた4月は例年稼働が落ちるが、今年は好調を維持している。新幹線開業の効果は大きい」と話す。

 湯川1の花びしホテル(131室)の西村有人専務も「25、26日は満室。オフシーズンの3月が予約でいっぱいになるのは近年ではないこと」と驚く。

 函館国際ホテル(大手町、305室)は開業日の前後を含む25~27日が満室。関東からの観光客を中心に、報道やセレモニーに出席する政財界の関係者など、仕事で利用する道内の客も多いという。しかし現時点の4月以降の稼働率は微増にとどまっている。佐藤則幸総務部長は「このチャンスを最大限に生かすためには、函館の観光をさらに盛り上げていく必要がある」と力を込める。

 七飯町西大沼温泉の函館大沼プリンスホテル(292室)も開業日前後はほぼ満室。営業担当の神英明さんは「ゴールデンウイークも予約の動きが例年より早い」と新幹線効果を実感しながらも、2030年度に予定されている札幌延伸を控えて危機感を募らせる。「15年間はあっという間。それまでに各地域が連携して、多くの人に降りてもらえるよう、道南観光の魅力を高めていかなければならない」と気を引き締める。(金子真人、山田大輔)



◎思い出胸に一歩、中学校で卒業式

 道南の多くの中学校で15日、卒業式が開かれ、3年間の思い出と希望を胸に巣立った。函館市内では28校で約1900人が学びやに別れを告げた。

 函館桔梗中学校(中村吉秀校長、生徒491人)では、153人が出席。証書を手渡した中村校長は、作家柳田邦男の言葉を紹介し、「豊かな人生の物語をつくるために、日々の喜びを受け止めてエネルギーとし、失敗を次の成功のために活用してほしい。持っている可能性を伸ばしてたくさん輝いて」とはなむけの言葉を贈った。

 卒業生代表の菊池竜平君は「行事も学校生活も、どの瞬間を切り取ってもいい思い出」と1年間を振り返り、「これから思い通りにいかないこともあると思うが、どんな時も前を向き、人生を切り開いていく」と力強く誓った。

 全校生徒で「旅立ちの日に」、卒業生は「友~旅立ちの時~」を合唱。感極まった生徒たちは、拍手と吹奏楽部の演奏に見送られて退場した。

 この日は渡島管内48校、桧山管内全13校で行われた。(稲船優香)


◎水銀体温計など730点回収、函館市

 函館市が2月に実施した水銀体温計などの回収事業で、対象製品730点が集まった。水銀の換算量は約6キロ分と、昨年同様の回収事業を実施した旭川市の回収量を上回った。市環境推進課は「回収店舗数や人口規模が大きい旭川以上の結果となり、今後の適正処理を検討する上で良い結果となった」とする。

 回収は環境省のモデル事業の一環で、全国15都市で同時に実施。市では水銀を使った体温計、血圧計、温度計を対象とし、29日間行った。回収場所は市内107の薬局と椴法華支所の計108カ所だった。

 このうち93カ所への持ち寄りがあり、体温計618本、血圧計109台、温度計3本が集まった。

 2013年に水銀被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」が採決されたことを受け実施。同課によると、昨年2月の1カ月間、全国に先駆けて取り組んだ旭川市は回収店舗184カ所で、体温計435本、血圧計94台などから、5・2キロ分の水銀が集まったという。

 市は現在、国の指針に基づき水銀体温計などは燃やせないごみとして収集、埋め立て処理している。今回回収したものは水銀リサイクル処理業者に搬送し、再利用など適正処理される。

 水銀への意識が高まる中、他自治体などでは独自に拠点回収などを行う事例もある。同課は「今回の結果を踏まえ、国の方針を見極めながら効率的な回収方法などについて検討する必要がある」としている。(蝦名達也)