2016年3月17日 (木) 掲載

◎いさ鉄制服 地域一体

 北海道新幹線が開業する26日からJR江差線(五稜郭―木古内間37・8キロ)の経営を引き継ぐ第三セクター「道南いさりび鉄道」(函館、小上一郎社長)は16日、乗務員の制服デザインを発表した。津軽海峡をイメージした濃紺を基調としており、襟元にライトブルー、右袖に沿線3市町名をあしらったロゴ入りエンブレムを配し、英語表記入り燻(いぶし)金ボタンを採用。開業日から運転士18人を含む30人が着用する。

 エンブレムを右袖に付けたのは、運転席が進行方向に向かって左側にあるため、利用者から右袖が見えるように工夫した。

 制帽も同じ濃紺とし、エンブレムは北海道水田発祥の地である北斗市にちなみ、稲がモチーフ。稲の実りを沿線の発展に見立て、会社の英語名の頭文字と一緒に図案化した。

 名札には青を使い、英字でも名字を入れた。制作は同社のロゴマークと同じ函館デザイン協議会に依頼した。夏季用や女性用も今後準備する。

 また、七重浜―木古内の11駅にオレンジを採用した駅名標デザインも公表。ナンバリングを施し、木古内(sh01)―七重浜(同11)とする。北斗市からの要望に応え、清川口駅を「北斗市役所・かなで~る前」、渡島当別駅を「トラピスト修道院入口」と副駅名を採用することも正式に発表した。

 北斗市総合文化センターで記者会見した小上社長は「気持ちは既に開業。地元に密着した運営を目指す」と決意を込め、高谷寿峰市長は「地域のことも考えたデザインで、高く評価したい。利用者に親しまれるようPRに力を入れたい」と話した。(山崎大和)



◎15の春 笑顔咲く

 道内公立高校2016年度入試の合格発表が16日、一斉に行われた。努力を実らせた受験生は、笑顔で家族や仲間と喜びを分かち合った。

 函館中部高校(千原治校長)は正面玄関前に掲示板を運び込み、全日制240人、定時制17人の合格を発表。集まった受験生は歓声を上げ、スマートフォンで写真を撮ったり、家族に連絡したりしていた。

 五稜中学校の新町美咲さん(15)は「勉強が大変だった分、ほっとして力が抜けた。卒業する時に、心から笑って、心から泣けるような3年間を過ごしたい」と笑顔。赤川中学校の佐藤優凪(まな)さん(同)は「発表までずっとどきどきしていた。合格は本当にうれしい。テニス部に入って頑張りたい」と声を弾ませた。

 道南では渡島管内が全日制2006人と定時制36人、桧山管内は251人の計2293人(本紙調べ)が喜びの春を迎えた。合格者が募集人員に満たない場合、各校は18日に2次募集の人数を発表する。(稲船優香)



◎経済界、空ビルと協議進める 空港民営化で工藤市長

 民活空港運営法に基づき、国や道で函館空港を含めた国管理空港の民営化に向けた検討が進められていることを受け、函館市をはじめとする地元空港関係者が動向を注視している。工藤寿樹市長は16日、「国や道において、今後、空港民営化に向けた取り組みが進められると考えている。地元経済界、函館空港ビルデングとの協議を進め、道とも協議して検討を深めたい」と述べた。

 同日の市議会第1回定例会個人質問で、井田範行氏(市民クラブ)への答弁。

 民活空港運営法は滑走路や空港ビルなどの運営を一体的に民営化するための法律。道内には函館を含む4つの国管理空港(新千歳、稚内、釧路)と、市管理空港(旭川、帯広)など13空港がある。

 高橋はるみ知事はこれまでの道議会で、「(民営化は)空港の機能強化や道内航空ネットワークの充実などの面で大きく貢献する可能性がある」などと答弁。高橋知事と会談した菅義偉官房長官は16日、「国管理4空港を一体的に民営化したい。全面的に協力してほしいと知事に要請した」と述べ、道との協議を加速させる考えを示した。

 函館では、国や道のこれまでの動きを踏まえ、市と函館商工会議所、函館空港ビルデングの3者間の事務レベルで協議、情報収集を進めている。工藤市長はこの日の議会で「道に対して必要な情報収集、開示を求め、地域の要望や考え方を伝えていく」と述べた。

 国土交通省が1日に発表した2014年度の国管理空港別収支の試算結果によると、丘珠を含む道内5空港で、営業損益が黒字となったのは新千歳のみ。函館は11億7700万円の赤字で、道内で赤字額が最も大きい。ただ、民営化を検討するにあたり、1年間の実質的な利益水準を示し、経営状態を適切に把握するための指標となる「EBITDA」を用いた場合、函館の赤字額は4000万円で、新千歳以外の道内空港よりも赤字額は少ない。

 政府の意向を踏まえると道内空港民営化の議論、検討が一気に進むとみられ、道は本年度内に民営化の論点や課題を示す。函館では、これまで市や経済界、空ビルなどが一体となって活性化に向けた取り組みを進めてきており、地域の特性を生かした運営が民営化後も維持できるかといった点や、一括民営化(バンドリング)の枠組みなどさまざまな選択肢や可能性について、函館でも議論が進むとみられる。(今井正一)


◎素人そば打ち名人、松本さん全国大会へ

 長万部町で12日に開かれた全日本素人そば打ち名人大会(福井そばルネッサンス推進実行委主催)の道予選(道南大会)で、「手打ちそばぐる~ぷ函館白花」(齊藤誠会長)の事務局長を務める松本文男さん(50)が、11月20日に福井市で開かれる本大会に出場を決めた。道南からの出場は初めてで、2度目の挑戦を実らせた松本さんは「全力で挑みたい」と一層の精進を誓っている。

 予選大会には23人が出場。選手は40分の制限時間でそばを打ち、「水回し」「切り」など4工程の技術に加え、服装や衛生面なども審査された。松本さんは「大きなミスもなく普段通りの力を出せた。自分の名前が呼ばれ、本当にうれしかった」と振り返った。

 初挑戦だった昨年の大会では「力の差を感じた」と悔しい思いをしたが、ここから奮起した。これまで築いたそば打ちのスタイルを一から見直し、課題を洗い出した。特に重視したのがそば打ちの姿勢で、「打っている姿からおいしさが伝わるような打ち方」を模索した。

 本大会まで8カ月余り。そばを作る制限時間が30分と、予選と比べ10分短縮され「いかに無駄を省くか、さらに突き詰めていく」と早くも気持ちを引き締める松本さん。一方で「この8カ月でどこまで成長できるのかも楽しみ」と意欲を膨らませている。(鈴木 潤)