2016年3月2日 (水) 掲載

◎一番列車の運転士と車掌が意気込み

 JR北海道は1日、26日に開業する北海道新幹線の車両の検査や修繕を担う函館新幹線総合車両所(七飯町飯田町、井原禎之所長)を報道陣に公開した。新函館北斗発の一番列車に乗務する運転士の澤川一之さん(36)と車掌の里見拓真さん(33)が取材に応じ、開業に合わせて投入される北海道新幹線H5系車両の前で意気込みを語った。

 2人が乗務するのは26日午前6時35分新函館北斗発「はやぶさ10号」。北海道で初めて新幹線が営業運行する歴史的な列車だ。澤川さんは「前日から並んで切符を購入されるお客さまを報道で見て、さらに緊張感が高まった」とした上で「今までの訓練通りに平常心を保ち、定時運転と安全運行に努めたい」と力を込めた。

 函館出身の里見さんは「入社試験の『10年後の私』という作文で『新幹線の一番列車の車掌になる』と書いた夢が今かなおうとしている」と感慨深げに語った。当日のアナウンスについては「車掌全員で今考えている。北海道らしいおもてなしをしたい」と笑顔を見せた。

 函館新幹線運輸所の伊藤章伸所長(45)は一番列車を担当する乗務員に2人を選んだ理由として「全員が開業に向けて一生懸命に取り組んでいるので非常に悩んだが、2人は長い期間準備作業に当たっており、職場の中でも中心となって活躍しているため」と説明した。

 公開された同車両所は約36万平方メートルの用地に建設を進めており、新幹線車両の日常的な検査から大規模な修繕まで対応できる北海道唯一の施設。現在は10両編成のH5系車両4本を収容している。(金子真人)



道南各高で卒業式 思い出の学びやに別れ

 渡島・桧山管内の公立高校と函館市内の一部私立高校で1日、卒業式が行われた。卒業生は晴れやかな表情で卒業証書を受け取り、思い出の詰まった学びやに別れを告げた。

 市立函館高校(西田正史校長)は9回目の卒業証書授与式を迎え、311人(男子133人、女子178人)がそれぞれの新たな一歩を踏み出した。

 スーツや和服に身を包んだ生徒たちは、西田校長から一人一人「おめでとう」と声を掛けられ、笑顔で卒業証書を受け取った。式辞で同校長は「皆さんの卒業を祝うかのように北海道新幹線が開通する。函館にさまざまな人々が訪れ、海外とも交流が盛んになると思う」とし、その上で「市函での3年間は地域の個性を尊重した学びだった。気高き魂を胸に、それぞれの人生を築いてください」とエールを送った。

 前生徒会長の湯澤京加さんは「3年間で『仲間』という、かけがえのないものを手に入れた。卒業生という誇りを持って、精いっぱい頑張っていきます」と別れの言葉を述べた。最後はブラスバンドの演奏に乗って校歌を歌い上げ、学校への感謝の気持ちを伝えた。 (千葉卓陽)

 遺愛女子高校(福島基輝校長)では、普通科と英語科合わせて209人が学生生活の思い出を胸に、新たな道へと旅立った。

 同校内の遺愛アリーナで行われた第68回卒業礼拝式(卒業証書授与式)では、教職員や保護者、在校生らが見守る中、福島校長から一人一人に卒業証書が渡された。

 福島校長は式辞で「皆さんが積極的に学校行事などに取り組む姿は、後輩へのいい刺激になった。卒業後もすべてのことに感謝する気持ちを忘れることなく、人生の目的を見いだすことに力を注いでほしい」と話した。

 答辞では卒業生を代表し妹尾莉沙さんが登壇。「遺愛で学んだことすべてが私たちを成長させてくれた。迷った時や疑問が生じた時は、先生たちが心の支えになってくれた。今は寂しい気持ちでいっぱいだけれど、ここでの経験を生かして社会に貢献できる人間になりたい」と決意を語った。(小川俊之)



◎函館競輪の累積赤字 17年度に解消へ

 函館市競輪運営協議会(今井敏博会長)が1日、函館競輪場(金堀町)で開かれた。本年度の自転車競争(競輪)事業特別会計で約2億7000万円の単年度黒字となることと、累積赤字額が2017年度をめどに解消できる見通しとなったことが示された。三上武一競輪事業部長は「3年連続で単年度黒字となる見込み。17年度には累積赤字を解消し、(本来の事業目的である)市の財政への貢献ができるようになる」と述べた。

 本年度は「サマーナイトフェスティバル」(GII)など、計55日間開催し、約198億円を売り上げた。開会中の定例市議会に提出した本年度の補正予算案では、歳入、歳出それぞれ6億9518万円を減額し、総額を198億607万円とした。歳出の予備費2億6880万円が本年度決算での黒字分となる見通し。累積赤字額は前年度末の約5億2100万円から、本年度末で約2億5200万円まで圧縮される。

 また、16年度からは包括委託事業者の日本トーターが2億円の収入保証制度を導入し、17年3月末には累積赤字額は5200万円にまで減少する見込み。02、03年度の競輪場改築に伴う起債の償還も17年度で大半が終わることから、競輪会計の健全化にめどがついた形となった。

 一方、新年度の函館競輪は本年度より6日間少ない49日間の開催で、上期は4月16日~10月1日の計43日間。函館記念(GIII)は7月23~26日の4日間、上期に女子選手による「ガールズ競輪」を6日間組んだ。記念競輪で55億円、普通競輪で95億円の計150億円の売り上げを見込む。4月からは試行として他場開催のナイター競輪も取り扱う。新年度予算案はGII開催がないことなどから、前年度当初比で約55億円の減額で、歳入、歳出総額を150億8774万円としている。(今井正一)


◎函館消費者大 法律講座を拡充

 賢い消費者になるための知識習得と自立を目指す函館消費者大学(佐藤秀臣学長)は新年度、生徒から要望の多かった法律に関する講座を拡充する。身近な民法と契約をテーマとした新講座を設けるほか、社会情勢を見据えた内容に改正。ノウハウを学んだ卒業生の地域活用などを視野に、事業展開する考えだ。

 同大は函館消費者協会が消費者教育推進事業の一環として、2012年4月に開校。民間団体単独での4年制の消費者大学設立は、国内初の取り組みで、継続的に学ぶ場の提供に努めている。

 各学年とも毎年5~10月にかけ、10の講座を受講。新年度は2、3、4学年で賃貸借やクレーム処理の事例を踏まえ、契約に関する基礎知識を教える講座を新設する。同大事務局で市消費生活センターの小貫恭也所長は「近年センターへの相談で契約トラブルは多く、被害に遭わないためにも民法について知識を醸成する必要がある」と説明する。

 また、栄養補助食品の見分け方など食品関係の講座を拡充。いずれも弁護士や司法書士、社会保険労務士、大学教授など多彩な専門家が講義する。

 大学事業は消費者トラブルの未然防止に加え、知識を生かし、地域の担い手として他の市民のトラブル解決につなげる狙いもある。小貫所長は「1人暮らしの高齢者など潜在的に被害に遭う人がいると考えられ、見守り活動やセンターへの橋渡し役をできるような人材を育成したい」とし、卒業後も活動できる体制の構築を検討する。

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 31日まで新年度の入学者を募集中。応募資格は4年間継続して受講できる市内在住の18歳以上で定員60人。資料代、保険料として年間2500円必要。市役所や市内公共施設で申込書を配布しており、問い合わせは同大事務局(☎0138・26・2880)へ。(蝦名達也)