2016年3月22日 (火) 掲載

◎白鳥 最後の雄姿

 26日の北海道新幹線開業に伴い引退する特急「スーパー白鳥」「白鳥」(函館―新青森)が21日、ラストランを迎えた。JR函館駅では最後の雄姿を目に焼き付けようと鉄道ファンらが大勢詰め掛けたほか、木古内駅では見送りイベントが開かれた。青函トンネルを通る在来線旅客列車はこの日で運転を終了。25日まで架線電圧の切り替え作業などを行い、開業に向けて新幹線の最終訓練が実施される。

 函館駅発上り最終列車の「スーパー白鳥98号」は定刻の午後7時32分、約200人に見送られて6番ホームを後にした。出発を告げる汽笛が鳴ると「ありがとう」「さようなら」などと声が飛び交った。両親と見送りに来た北斗浜分小4年の松原一生君(10)は「3歳の時から旅行で家族と何度も乗った。今までありがとうと言いたい」と話していた。

 スーパー白鳥、白鳥は2002年の東北新幹線八戸開業に合わせ、函館―八戸間を結ぶ特急として登場。10年の新青森延伸と同時に運行区間が短縮された。定期便として、函館―新青森間を合計で1日10往復運行。白鳥に使用されていた車両「485系」は、旧国鉄時代の1968年に運転を開始したもので、ファンから人気を集めていた。

 JR北海道は22日未明から、架線電圧を在来線用の2万ボルトから新幹線用の2万5000ボルトに引き上げるなど、開業前の最終準備作業に取りかかる。完了後、4日間で新幹線を新函館北斗―新青森間で21往復運行し、問題がないかどうか確認する予定だ。同社は「期間中はフェリーなど他の交通機関を利用してほしい」と呼び掛けている。(山田大輔)



◎人工知能の小説 一次審査通過

 【東京】公立はこだて未来大学の松原仁教授らでつくる、人工知能(AI)による小説創作プロジェクトチームが、文学コンテスト「第3回日経星新一賞」に作品を応募し、21日、東京都内で成果報告会を開いた。結果は今月上旬に発表され、同チームが応募した4作品のうち、一部は一次審査を通過した。松原教授は「入選を目指し、次回以降も作品を出し続けていきたい」と話している。

 同チームは2012年から「ショートショート(原稿用紙20枚に満たない作品)の神様」と呼ばれた作家、故星新一さん(1926~97年)の作品テキストやプロットを解析し、AIにショートショートを創作させる研究を続けている。

 昨年9月、同コンテストに「私の仕事は」「コンピュータが小説を書く日」などショートショート4作品を初めて出品した。AIが創作した事実を明かすことなくペンネームで応募し、どの作品もコンピューターやロボットが擬人化して登場している。

 作品の完成まで、星さんが書いた約1000の作品をコンピューターで分析し、さらに使われている単語の種類や文章の長さ、言い回しなどの特徴をコンピューターに学習させた。さらにそれぞれの作品の構造も調べ、それらを組み合わせるなどしながら新たな物語を生み出してきた。

 報告会では松原教授らプロジェクトに携わった研究者が、応募作品の解説やその生成の仕組み、今後のAIによる創作の可能性、展望について報告した。

 結果について松原教授は「今回は文章が成立し、作品として読めることを至上命題としていたので、どの作品もそれなりに書けていたのでは。一次審査を通過した作品もあり、成果があった」と評価。今後に向け「星さんらしい落ちの付け方やキャラクターの魅力をどう表現するかなど、感性の部分をどう築いていくかがこれからの課題」と話している。(鈴木 潤)



◎悲惨な記憶語り継ぐ 函館大火82年

 死者2166人を出す未曽有の大惨事となった函館大火から、21日で82年を迎えた。同日午前、市内大森町の函館大火慰霊堂で殉難者83回忌慰霊法要(函館市仏教会主催)が執り行われた。遺族や消防関係者ら計64人が参列。犠牲者の冥福を祈り、惨事を後世に伝えるとともに防火の心構えを改めた。

 法要では、市仏教会(百目木隆一会長)の僧侶が読経する中、参列者が焼香。祭壇に向かって目を閉じて手を合わせた。

 当時、大森町の自宅が全焼し、親戚3人が犠牲になった野島邦夫さん(89)は「毎年法要に来ている。あの日は湯の川まで逃げて助かったが、川の両岸にたくさんの遺体があったのを覚えている」。曾祖父が犠牲になった市内の船越志美さん(82)は「両親の遺志を継いで法要に必ず来ている。自分が元気なうちは毎年ここに来たい」。京都出身で函館念法寺副住職の山本浩介さん(35)は一般参列し「犠牲者に思いを寄せて、復興に尽力された先人らへの感謝の気持ちも忘れずにいたい」と話していた。(田中陽介)

 函館大火 1934(昭和9)年3月21日午後6時53分、住吉町から出火。瞬間最大風速30メートル以上の猛烈な風で火は広がり、当時市内の3分の1(416万平方メートル)を焼き尽くした。死者2166人、行方不明者662人。罹災人口は10万2001人。身元不明者679人が無縁仏として函館大火慰霊堂に納骨されている。


◎3002号車が車体改良

 函館市企業局交通部が交通事業経営計画に基づき、京王重機整備(東京)で昨年11月末から車体改良を施していた市電3002号車が3カ月半ぶりに駒場車庫に戻った。市電では初めてとなるLEDヘッドライトやカラーLED搭載の行き先表示器などを新規に採用。点検整備後、4月中の営業走行開始を予定している。

 3002号車は1993~96年に計4両を導入した3000形の1両。導入時は青地に白のラインが入った車体で、「マリンブルー号II」の愛称でも親しまれた。

 導入から20年以上が経過し、融雪剤の影響などで車体床下の腐食も目立ちはじめ、3年ごとの全般検査に合わせて大幅改良を実施。八王子市の工場で改良を終えた車両は大型トレーラーに乗せられ、駒場車庫に到着。2台のクレーン車で慎重につり上げられ、約1時間半かけて台車の上に下ろされた。

 新たに導入したLEDのヘッドライトは従来のハロゲンライトより明るく、カラーLEDを採用した行き先表示器では系統番号(2、5系統)を赤、青の色別での表示を予定。内装も座席シートの張り替え、運賃表示器の液晶ディスプレー化などを施した。

 改良費は約4700万円。8000形導入に用いられた車体更新の手法と比べ経費は約半分、超低床電車を新車で購入した場合との比較では約5分の1程度に抑えている。新年度は、2001号車と8001号車の2両で同様の改良を予定し、交通事業会計に約9460万円を予算計上している。

 同部の廣瀬弘司施設課長は「らっくる号のような新車導入も必要だが、既存車両も改良、修繕を施して、末永く使っていきたい」としている。(今井正一)