2016年3月23日 (水) 掲載

◎「はまなす」惜しまれ廃止

 JR全社で最後の急行、ブルートレイン、そして青函トンネルを通る最後の在来線旅客列車となった「はまなす」(青森-札幌)の下りが22日未明、函館駅に到着し、札幌へ向かった。函館駅の8番ホームは鉄道ファンや同列車の乗客合わせて約800人で混雑し、けん引する機関車の交換作業を目に焼き付け、別れを惜しんだ。

 「はまなす」は、1988年の青函トンネル開業から運転を開始。夜間に本州と北海道を結ぶ足として、ビジネスや旅行客に親しまれてきた。北海道新幹線開業後は、同トンネルの電圧がけん引する機関車に合わないことなどで廃止となった。

 最終列車は21日夜に青森駅を発車し、函館駅には定刻より2分遅い22日午前0時44分に到着。カメラを持った乗客らが、青森からけん引してきた電気機関車「ED79」形の前に殺到。通常は1両だが、この日は2両の重連でファンを喜ばせた。函館から引っ張るディーゼル機関車「DD51」形も重連。定刻の同1時23分に札幌へ出発した。

 青森市の会社員長内卓哉さん(42)は「出張で何度も使った。札幌で朝早い仕事がある時の移動が不便になるのは残念だ」と惜しんだ。函館駅周辺で写真撮影していた東京都の会社員西岡孝司さん(55)は「全国で新幹線が延伸し、豪華な周遊列車が登場するのは悪くないが、夜行列車は独特の旅の情緒を演出するので消えるのは寂しい」と話した。

 JR北海道は22日から青函トンネルなど在来線と新幹線の共用区間(82キロ)の設備を新幹線用に切り替える作業を開始し、新幹線開業に備える。在来線として旅客列車が走行した28年の歴史に幕を閉じ、26日からはトンネル本来の目的であった新幹線が駆け抜ける。(山崎純一)



◎冨士冷菓のアイス 最高金賞を受賞

 函館市大森町のアイスクリーム専門店、冨士冷菓(金子陽子社長)の「獺祭(だっさい)酒粕あいす」が、アジア最大級の国際食品展示会「FOODEX JAPAN 2016」(千葉市、8~11日)で行われた「ご当地アイスクリームグランプリ」で最高金賞を受賞した。中村久仁子店長は「食品業界のプロの方たちに評価をしていただいてとても光栄」と喜びを語った。

 全国的な人気で入手困難とされている旭酒造(山口県岩国市)の純米大吟醸酒「獺祭」の酒粕を使用し、5年前に商品化。蔵元から直送される出来たての酒粕を北海道産の生クリームや牛乳と混ぜ合わせ、甘酒のような豊かな香りと濃厚なクリームの甘みが口いっぱいに広がる商品に仕上げた。

 同グランプリには書類審査を通過した61品が出品。パッケージやご当地性、味などを1431人の食のプロたちが審査し、「獺祭酒粕あいす」が上位8品の最高金賞に選ばれた。また、同時に出品した北斗市特産の大玉トマト「りんか409」を使った「北斗市産トマトあいす」も銅賞を受賞した。

 「獺祭酒粕あいす」は120ミリリットル入り330円(税込み)。同店のほか、JR函館駅の北海道四季彩館、旭酒造、京橋駅前ローソン(東京都中央区)の函館市アンテナショップで販売している。(金子真人)



◎公示地価、渡島25年連続下落

 国土交通省は22日、2016年公示地価(1月1日現在)を発表した。渡島管内全用途の1平方メートル当たりの平均価格は3万9700円、平均変動率はマイナス1・4%で25年連続の下落。渡島の地価トップは16年連続で函館市本町32の13の「ピア21」(商業地)で、昨年と同額の19万4000円。桧山管内の平均地価は1万6300円、平均変動率はマイナス4・4%で16年連続下落した。渡島85地点、桧山9地点で調査し、上昇した地点はなかった。渡島は15地点で横ばい、桧山は全地点で昨年より下落した。

 渡島の住宅地平均価格は3万100円、平均変動率はマイナス1・5%と17年連続の下落。商業地は5万8700円、マイナス1・3%と25年連続で下がった。

 函館市内では、長年の下落により値ごろ感も見られ、下落幅は昨年より縮小。渡島の横ばい地点は、住宅地で昨年より7地点多い10地点、商業地で2地点多い5地点となった。

 函館市の住宅地平均は4万200円、マイナス1・1%。商業地平均は6万7300円、マイナス0・6%となり、下落幅は縮小しているものの、住宅地は18年連続、商業地は8年連続で下がった。

 地価1位のピア21は3年連続で同額。2位でJR函館駅前・大門地区にある若松町20の59(商業地)も4年連続同じ12万2000円と、横ばいで推移した。

 桧山は、住宅地の平均価格は1万4000円、マイナス4・2%と16年連続の下落。商業地は2万700円、マイナス4・8%と16年連続で下がった。桧山の地価トップは、江差町新地町50の1内(商業地)3万800円、マイナス5・2%だった。人口減少が続いており、住宅地、商業地とも需要が減退している。

 調査対象は、渡島が函館、北斗、福島、木古内、七飯、森、八雲、長万部の8市町で住宅地54地点、商業地29地点、工業地2地点。桧山が江差、今金、せたなの3町で住宅地6地点、商業地3地点を選定した。(山崎大和)


◎観光客の胃袋つかめ 函館駅前で新規出店相次ぐ

 北海道新幹線開業で観光客の増加が見込まれる中、JR函館駅前では飲食店の新規出店が相次いでいる。既存店もチャンスを逃すまいと人員を大幅に増やし、飲食需要の取り込みを図る考えだ。

 老舗ラーメン店「函館麺屋ゆうみん」(若松町、木村国富店長)は30日、昨年8月までケンタッキーフライドチキンが入居していた松風町6の空き店舗に「函館麺屋四代目」をオープンする。31席を用意、名物の塩ラーメンなど15種類のメニューを提供する予定で、木村国華料理長は「元気がなかった大門地区を盛り上げたい」と意気込む。

 本町の居酒屋「活魚料理いか清」(室田秀文店長)は4月27日、グループ店として3店目となる「いか清大門」を若松町6に開業する。以前別の居酒屋が営業していた建物を約5000万円を投じて改装、夏場は1日平均50万円の売り上げを見込む。室田店長は「単価を安めに設定して、市民や観光客が気軽に入れるような店にしたい」と話す。

 一方、若松町11の居酒屋「函館海鮮料理海光房」(菊地博文社長)は、ホール、調理スタッフの合計で新たにアルバイトを10人雇用する計画だ。同店の菊地亜希さんは「一度にこれだけ雇うのは例年にはないこと。観光客の受け入れ準備を整えたい」とする。

 求人情報誌を発行する北海道アルバイト情報社函館営業所によると、新幹線関連の求人募集は飲食、サービス業を中心に約30社から寄せられているという。市内の飲食店関係者は「パートやアルバイトの奪い合いで人員確保が例年以上に厳しいが、客を取り逃さないようしっかり準備をしたい」としている。(山田大輔)