2016年3月26日 (土) 掲載

◎北海道新幹線開業 道民の夢出発

 北海道新幹線新函館北斗—新青森間(149キロ)が26日、開業した。整備決定計画から40年、新幹線が津軽海峡を越えて北の大地を初めて駆け抜け、北海道の歴史に新たなページを刻んだ。新しい動脈の誕生で、新函館北斗駅から鹿児島中央駅まで全長2150キロが新幹線のレールで結ばれた。

 新函館北斗—東京間の最速時間は4時間2分、同—仙台間が2時間半。関東や東北との距離が縮まり、今後は交流人口拡大や道南経済の活性化が期待される。

 沿線の各駅では一番列車の出発に合わせて開業式典が行われ、待ち望んだ新幹線時代の到来を盛大に祝った。

 【北斗】新函館北斗駅の開業式典は、石井慶一国交相や高橋はるみ知事、JR北海道の島田修社長ら約100人が出席して行われた。

 北斗大野中学校吹奏楽部約20人による記念演奏に続き、島田社長が「多くの方々の熱意と努力により、この日を迎えられた。感謝を胸に刻み、新幹線時代のスタートを切りたい」とあいさつ。石井国交相は「地元の真剣な取り組みが実を結び、北の大地まで新幹線がつながった。今後は札幌延伸を着実に推進したい」と述べた。

 また、高橋知事は「一番列車の発車ベルがいよいよ鳴り響く。道民の夢だった新幹線を最大限に活用し、北海道の活性化に取り組むという新たな挑戦がこれから始まる」と語った。

 その後、2階コンコースから、上り列車が発車する11番ホームに場所を移し、テープカットやくす玉割りを実施。鳴海正駅長の合図で東京行き一番列車「はやぶさ10号」が定刻通り午前6時35分に出発すると、見物客から拍手が沸き起こった。

 上りの初便はJR北海道が投入した新型車両「H5系」(10両編成)で運行。731席の座席は、販売開始後約25秒で完売となっていた。(山田大輔)


◎いさりび鉄道も開業

 北海道新幹線開業に伴い、江差線五稜郭—木古内間37・8キロはJR北海道から第三セクター「道南いさりび鉄道」(函館、小上一郎社長)に経営が引き継がれた。沿線住民の生活の足を守るとともに、北海道と本州を結ぶ物流の大動脈でもある重要な路線。道南の鉄路新時代の幕が開けた。

 26日、JR函館駅ホームで出発式があり、約90人が出席。JR北の島田修社長が「安全で、地域に愛されるように、JRとしても最大限の努力をしたい」とあいさつ。小上社長が「安全を第一に、魅力あふれる鉄道づくりを目指し一生懸命頑張る」と決意を込めた。石井啓一国交相、高橋はるみ知事が来賓祝辞を述べ、高橋知事は「函館山や津軽海峡の景色を見ながら、ゆっくり旅を楽しんでもらうことが可能」と観光需要にも期待を寄せた。

 石井国交相、高橋知事、島田社長、小上社長がテープカット、くす玉も開放して開業を祝った。

 午前11時53分に函館—新函館北斗のアクセス列車「はこだてライナー」の出発を見送り、正午にいさりび鉄道の上磯行き「ながまれ号」の初々しい車両を送り出した。

 江差線は2014年5月に木古内—江差駅が廃止されており、今回の経営移管で江差線の運行は終了した。(山崎大和)


◎前夜祭、赤レンガにH5系登場

 道は25日、函館市末広町の金森赤レンガ倉庫で「北海道新幹線開業前夜祭」を開いた。プロジェクションマッピングや音楽ライブ、花火打ち上げなど多彩な催しを繰り広げ、ひと足早く新幹線時代の幕開けを祝った。

 イベントは、この日のために結成された「道南太鼓連合」約70人による力強い演奏で幕開け。記念セレモニーで、高橋はるみ知事は「新幹線開業という大きな夢の実現を地域の活性化につなげたい」とあいさつした。

 地元自治体の首長ら約20人が一斉にボタンを押すと、赤レンガ倉庫の壁面に色鮮やかな光の立体映像が登場。馬車鉄道から新幹線まで交通手段の移り変わりを約5分間で紹介し、来場者を幻想的な世界へいざなった。

 家族と訪れた会社員の遠藤真知子さん(37)は「とても感動した。新幹線で仙台へ行ってみたいです」と笑顔で話していた。(山田大輔)



◎鉄山町に巨大庭園計画

 国際的な庭園デザイナー石原和幸さん(58)=石原和幸デザイン研究所代表=は25日、函館市鉄山町45のゴルフ場跡地を利用して、33ヘクタールの巨大庭園「チェルシーフラワーガーデン」を整備する計画を明らかにした。6月には「チェルシーフラワーホテル函館」(全61室)がオープン予定で、ホテルと庭園の一体的な運営を行う。国内最大規模の広さとなる見通しで、2018年秋のグランドオープンを目指し、今年から整備が進められる。

 石原さんは世界最高峰のガーデニングショー「英国チェルシーフラワーショー」で数々の受賞歴を持つ。北海道新幹線開業を記念したJR函館駅内のオブジェ「はこだて桜タワー」を手掛けた。

 同ホテルの山本英生統括本部長によると、敷地は函館空港から車で15分ほどに位置する「アラン・チャールズゴルフ&リゾート函館」跡地。旧来の施設を改装したホテルが6月にオープンを予定し、ホテル周辺の33ヘクタールで石原さんが庭園整備をプロデュースする。

 庭園敷地のうち、13・2ヘクタールにはシバザクラを植え、日本一の広さとなる見通しだという。今年から土壌改良などを順次進め、17年夏の一部オープン、18年秋のフルオープンを目指す。石原さんは「函館駅のオブジェを皮切りに、函館のまち全体を花のイメージに変えていきたい」と話した。(今井正一)



◎ブルーインパルス訓練飛行

 北海道新幹線開業を記念した航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」による訓練飛行が25日、JR函館駅上空で行われた。市内各所で6機の雄姿を大勢の市民らがかたずをのんで見守った。本番の祝賀飛行は26日午後3時からを予定している。

 訓練飛行では、午前10時25分ごろに駅舎裏の函館港方向から市街地に向かって6機の編隊が、白いスモークを出しながら飛来。同11時ごろまで本番の飛行演目を確認した。

 駅前や元町公園、函館山などでは大勢の市民や観光客、航空ファンらが美しい飛行に歓声を上げた。函館山山頂では、ロープウエーの営業前から登山してきた数人を含め約150人が訪れた。編隊が函館駅上空付近に近付くと、カメラに収めようとシャッター音が鳴り響いた。函館市富岡町の無職飯田順一さん(67)は「空からも新幹線開業を祝う様子を見たかった。予想以上の迫力と美しさ」と話した。

 西部地区を散策していた東京都の会社員、伊藤健さん(46)は「偶然見ることができ、函館の観光をより楽しめた」と笑顔。市内無職高木浩二さん(67)は「函館はいろいろな場所からきれいに写真が撮れる。本番もばっちり収めたい」と気合十分だった。

 26日は、千歳基地を出発後、新函館北斗駅(午後2時半~同45分ごろ)と木古内駅(同40分~55分ごろ)の上空を経由し、午後3時ごろから函館駅上空での祝賀飛行を開始する。函館駅前の記念イベント会場で演目解説が行われ、その様子は「FMいるか」が番組内で生中継する。

 ブルーインパルスの函館での祝賀飛行は2009年8月以来。訓練飛行は実施したが、函館港開港150周年イベントの本番当日は上空悪天候のため中止となった。当時、ブルーインパルスに搭乗していた航空幕僚監部広報室広報班の槇野亮3等空佐(39)は「函館での祝賀飛行は感慨深い。機上からも函館山に多くの人がいるのが見えたことを覚えています。26日の本番も飛ぶことができそうです」と話していた。(今井正一、山崎純一、蝦名達也)


◎道の駅で奥田シェフ、八神純子さんトークショー

 【木古内】北海道新幹線開業を記念し、町と道の駅「みそぎの郷きこない」に併設するイタリアンレストラン「どうなんデス」は25日、同道の駅で、どうなんデスの監修を務める世界的なイタリアン料理人・奥田政行シェフと「みずいろの雨」などで有名な歌手の八神純子さんによるトークショーとディナー会を開いた。町内外から約250人が訪れ、奥田シェフの料理と八神さんのミニライブを堪能した。

 町姉妹都市の山形県鶴岡市にあるレストラン「アル・ケッチァーノ」のオーナーシェフを務める奥田さんが、木古内を盛り上げたいと八神さんを誘って実現した。

 トークショーでは、アメリカ在住の八神さんが「日本の牛肉は柔らかくておいしいよね。木古内の『はこだて和牛』が楽しみ」とほほ笑み、奥田さんが「道南食材の野菜と一緒に食べると、口の中で絶妙な変化をさらに味わえるよ」と説明。「どうなんデスを地域の皆さんにつくってもらいたい。町とレストランが一緒に育つことで人がどんどん集まります」と話した。

 その後、「パープルタウン」「Mr.ブルー」を八神さんが熱唱し、奥田さんの料理が振る舞われた。

 26日午後6時にもディナー会を開催。奥田さんのスペシャルコースが1万4000円で味わえる。予約は、どうなんデス(☎01392・6・7210)へ。(斎藤彩伽)