2016年3月29日 (火) 掲載

◎北斗星の車両 北斗市に残す

 【北斗】市民有志による任意団体「『北斗の星に願いを』推進委員会」(澤田導俊代表)は28日、昨年8月に廃止されたJR寝台特急「北斗星」(上野―札幌間)の車両を、市内茂辺地地区に誘致・保存する計画を正式発表した。市に新たな観光資源をつくる狙いで、旧茂辺地中学校グラウンドに設置する。資金調達の手法「購入型クラウドファンディング」を活用、同日に募集を始めた。

 澤田代表(36)=澤田米穀店専務取締役=が、市商業活性化支援センターで記者会見した。「多くの人の思い出が詰まった寝台車を、文化遺産として後世に残す」と強調。市有地を無償で借り、車両に関してもJR北海道から譲渡の内諾を得ている。5~6月に設置、7~8月にセレモニーを予定している。

 設置後の維持管理費は、グラウンドと隣接する体育館を使ったキッズパークなどのイベント開催で捻出。地元住民が、車両でのカフェや物販による収益事業化と雇用創出を目指す。

 資金調達目標は最低1000万円で、ホームページ(www.hokuto―star.jp)を窓口にしたクラウドファンディングと現金書留の2つの方法を使う。4月30日までに目標額に到達しなかった場合は、協力者に返金する。クラウドファンディングは5000円~100万円を設定、JR北が所有する北斗星のマークが入ったオリジナルコースターやバックタグなどを贈る。

 会見に同席した市商工会の宮崎高志会長は「うまくいってほしい」と願いを込め、茂辺地町内会の山本昭宣会長(72)は「地域創生の起爆剤となれば」、高谷寿峰市長は「道南いさりび鉄道の利用者増につながると期待したい」と述べた。

 郵送先は、〒049・0161、北斗市飯生3の4の1、北斗市商工会「北斗の星に願いを推進委員会」。問い合わせは市商工会(☎0138・73・2408)へ。(山崎大和)


◎つながるニッポン祭り、2日で来場7万7800人

 函館市は26、27の両日、JR函館駅前特設会場で開いた北海道新幹線開業記念イベント「つながるニッポン祭り」の来場者数(推計値)をまとめた。2日間ともに晴天に恵まれ、初日は5万2800人、最終日は2万5000人の計7万7800人が来場した。実行委事務局の市企画部新幹線開業イベントプロジェクトチームは「予想を大きく上回ったが、大きな混乱もなく終了できた。会場外のブルーインパルス見学者は含んでいないが、相当多くの皆さんに楽しんでもらえた」としている。

 事務局は、昨年の同時期に開催した開業100日前イベントの来場者が3万3000人だったため、今回の来場者を新幹線開業効果を加味して1・5倍の5万人を想定していた。

 2日間とも早朝から青空が広がる天候にも恵まれ、地元市民の来場も多く、駅周辺の有料駐車場は満車状態が続いた。駅にはこだてライナーが到着するたびに多くの人が押し寄せ、終日、市民、観光客が途切れず、物販、飲食ブースもにぎわいをみせた。

 特に26日は、NHKの人気キャラクター「イカ大王」こと塚地武雅さん(ドランクドラゴン)が登場した午後2時前後から混雑が始まり、同3時のブルーインパルスの祝賀飛行の時間帯は会場内と駅前広場、周辺の歩道上が人で埋め尽くされ、身動きが取れない状況だった。同担当は「祝賀飛行が終わり、夕方に気温が下がった後のナイトイベント、花火が終わるまで多くの人が会場にいた」とする。

 最終日の27日は目立った混雑はなかったものの、ステージの催しや駅構内での歓迎行事などが展開されたほか、イベント終了前に売り切れとなる店舗もあり、初日同様のにぎわいをみせた。(今井正一)


◎函館、関東の架け橋に

 函館在住のピアニストで中学校教諭の吉本有佑さん(31)が、4月から東京に拠点を移して音楽活動を始める。13年間の函館生活にピリオドを打つ一方、これまで築いたつながりを生かし、引き続き函館の教育に携わる決意を新たにしている。

 吉本さんは小樽出身。道教育大函館校芸術文化課程音楽コース(当時)を卒業後、同大大学院を経て函館市内の中学校で音楽教諭として勤務しながら声楽や吹奏楽、函館市民オペラなどさまざまな場面で伴奏を担当。ピアノ伴奏の質の向上に貢献したとして、函館音楽協会の2014年度奨励賞を受賞している。

 東京に移る理由は、よりたくさんの人と出会うため。これまで学校に親交のある演奏家を招き、授業で生演奏を見せるなど、自身の活動で得た縁を生徒に還元してきた。そのたびに生徒の生き生きとした表情が見られたという。「演奏者と距離が近い生演奏が、子どもに与えるものは大きい」と実感した。

 現在は、関東で知り合った函館出身の音楽家に呼び掛け、母校で演奏してもらうことでキャリア教育に生かせないかと考えている。「音楽はもちろん、芝居やダンスなど音楽以外とのコラボレーションなど工夫を凝らして、子どもたちに『音楽を聞く楽しみ』を伝えたい」と目を輝かせる。

 今後は演奏活動の傍ら、横浜市の小学校で非常勤講師を務める。函館にも毎月来る予定で「音楽を通じ、育ててもらった函館と関東を結ぶ架け橋になりたい」と意気込んでいる。(稲船優香)



◎佐藤被告に有罪判決

 東京のIT関連会社「ブレーン」元松前支店長の男性から現金100万円を受け、同社の企業誘致の便宜を図ろうとしたとして事前収賄の罪に問われた、前福島町長、佐藤卓也被告(54)=福島町福島=の判決公判が28日、函館地裁であり、佐藤卓生裁判長は懲役1年6カ月、執行猶予5年、追徴金100万円(求刑・懲役1年6カ月、追徴金100万円)を言い渡した。

 判決理由で佐藤裁判長は「町長が町政に関する広範な職務権限を有し、町政を統括する立場であることを十分理解しながら、請託を受けて賄賂の供与を受けている。町長就任後、役場の関係職員らに条例改正案の作成を指示するなど、企業誘致に向けての具体的な行動にも出ている」とした。

 その上で「被告人は不合理な弁解をし、反省の態度は見受けられない。町政の混乱も招き、被告人の責任は決して軽いものではない」とした一方、「町議と町長も務め、町政に一定程度貢献した実績が認められ、刑期を定めるに当たって有利に考えることができる」と述べた。

 判決によると、同被告は2012年8月26日投開票の町長選前の同13日、後援会事務所で元支店長から、同被告が当選した際に同社が町の各種助成を受けやすくなるようにと持ちかけられ、報酬の100万円を受け取ったとしている。  同被告の弁護人は有罪判決について「甚だ遺憾で、今後は本人と相談し決定する」とコメントを発表した。

 元支店長は1月に贈賄罪で函館地裁から懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受け、刑が確定している。