2016年3月6日 (日) 掲載

◎本道へ東北へ ツアー続々、人気過熱

 北海道新幹線開業まで、残すところあと20日。所要時間が縮まる東北エリアへの商品を続々と発売する道内の旅行会社は、多数寄せられる申し込みや問い合わせに手応えをつかんでいる。一方、首都圏発では、日本航空(JAL)とJR東日本が大手旅行会社と連携して新幹線と飛行機を組み合わせた商品の販売を始めるなど、北海道、東北向けの旅行商戦が本格化している。

 JTB北海道(札幌)は「北海道新幹線で行く!東北・東京」と題し、青森・盛岡・宮城の各県や都内に泊まるフリープラン商品を発売。函館支店の榎ひろみ店頭営業課長は「パンフレットの送付希望や問い合わせが日を重ねるごとに増えており、盛り上がりを感じる」と話す。

 他社に先がけ、新幹線を行程に組み込んだ東北方面の商品を1月上旬から発売した近畿日本ツーリスト北海道(札幌)は「シニア層を中心に申し込みが多い」とし、新たなツアー商品造成も視野に入れる。

 一方、新幹線と飛行機をそれぞれ片道に使う首都圏発の旅行商品を売り出すJALとJR東日本は、「話題の北海道新幹線に乗車したい」「現地でゆっくり滞在したい」という旅行予定者の二つのニーズに応えるのが狙いだ。旅客輸送でライバル関係にある両者が連携するのは初めて。

 往路は新幹線で新函館北斗駅まで移動、青函圏を周遊し、復路は青森空港から飛行機で戻るといったさまざまな行程を組むことが可能で、日本旅行やびゅうトラベルサービスなど4社で取り扱う。

 JR東日本広報は「空路の速達性、陸路の周遊性という両方のメリットが生かせる」、JAL函館支店は「北海道・青森エリアへの観光機運盛り上げにつなげたい」としている。(山田大輔)



◎山川牧場新店舗オープン

 【七飯】山川牧場自然牛乳(山川明社長)が建設した「山川牧場ミルクプラント」(大沼町628)が5日、オープンした。大沼の新たな観光スポットを楽しもうと開店前から多くの客が列をつくり、大勢の人でにぎわった。

 北海道新幹線開業を見据えて整備。道南スギを取り入れた新店舗は、従来の店舗にはなかったイートインスペースを設け、木のぬくもりを感じながらソフトクリームなどを味わえる。入り口付近にはテラスも用意され、親子連れらが暖かな日差しの下でくつろぐなど、憩いの場として早速にぎわっていた。

 函館市から訪れた会社員の男性(42)は「改築前の店舗も利用したことがあるが、新しい店舗はとてもいい雰囲気。落ち着いてからまた訪れ、ゆっくりしたい」と笑顔だった。

 同店では7日までオープンセールとして、ソフトクリーム7種類を100円(税込み)で販売するほか、通常価格100円の牛乳を半額で提供。さらに1000円以上買い物した1日先着800人に、同社オリジナルのチーズケーキを1箱プレゼントする。山川社長は「新しくなった店舗で、よりおいしくなった乳製品をぜひ味わってほしい。地元住民や観光客の皆さんが集まり、落ち着ける場になれば」と利用を呼び掛けている。

 営業時間は7日まで午前10時~午後5時。通常営業は午前9時~午後4時(11~4月)、午前9時~午後5時(5~10月)。問い合わせは同店(☎0138・67・2114)へ。(野口賢清)



◎伝統的建造物の保存へ補助制度を拡充

 函館市は新年度、西部地区の歴史的建造物の保存に向け、所有者に対する補助制度を拡充する。緊急的な修繕に活用できる補助金や耐震対策、リフォームに対する支援などの必要経費を新年度予算案に計上。建物を次世代へと継承するため、所有者のニーズに柔軟に対応できる制度へと改める。

 対象となるのは伝統的建造物75件、景観形成指定建築物48件の計123件。伝統的建造物群保存地区保存事業費に2600万円(前年度比600万円増)、景観形成指定建築物等保全事業補助金に1238万円(同25万円増)を計上した。従来は、補助率5分の4以内、600万円を上限にして、外観上の損傷を修理する場合に活用する補助金だったが、新たに耐震補強を実施する場合の工事費にも活用できるようにする。

 また、新規に創設する指定建造物等活用支援事業補助金には600万円を計上。日常的な維持管理や修繕費として指定建築物の所有者に年7万円(最大14万円)を補助してきた制度に代わり、緊急的な修繕などに対応できるようにする。防寒改修の対象に開口部(窓枠など)を加えたほか、内部リフォームや防火対策にも活用できる。外部改修の場合の補助率は5分の4以内、内部改修などは2分の1以内で、いずれも上限額は100万円となる。

 今後、市は補助を活用できる条件など、詳細を取りまとめる。市都市建設部まちづくり景観課は「建物を活用しながら、維持、継承していきたい」とする。市伝統建造物群保存会の小林敏夫会長は「従来の制度よりも建物のために使える制度になったのではないか」と話している。(今井正一)


◎清尚高・伊藤君が大会会長賞 〝調理の甲子園〟西洋料理部門

 全国の調理師養成学校の学生が腕を競う「第31回調理技術コンクール」(全国調理師養成施設協会主催)が2月23、24の両日に東京で開かれ、清尚学院高校調理科3年の伊藤蓮人君(18)が西洋料理部門で大会会長賞に入賞した。伊藤君は「貴重な経験を糧に、就職先でも努力を続けたい」と誓っている。

 同コンクールは〝調理の甲子園〟と呼ばれ、開催する年に卒業する学生が西洋料理、日本料理、中国料理の3部門で競い合う。

 昨年11月に札幌で開かれた道地区大会には、校内選考を勝ち抜いた同校生徒2人が出場。西洋料理部門は3つの課題に取り組むが、中でもオムレツは微妙な火加減が出来栄えを左右することから、伊藤君は「卵は練習だけで1000個使った」と苦労を語る。

 決勝大会には、高校生唯一の伊藤君を含む道内5人が進出。全国から集まった精鋭60人が指定された食材を使い、オリジナル2品を考案、調理に挑んだ。

 「締め切り直前まで悩んだ」という伊藤君のメニューは、前菜「エビのラタトゥイユ 道産ゆり根とイクラ」と、主菜「キューブロール(リブロースの中心部分)のステーキ 2色のソースを添えて」。放課後や冬休み、所属する料理研究部で練習を重ね、当初の理想に近づいていく様子をテーマ「理想と現実」に込めた。

 本番は初日の2時間で仕込み、2日目は調理と盛り付けを計1時間半で終える。「調理が時間ぎりぎりだったが、練習以上のものを出せた」と振り返る。

 5日に卒業式を終え、この春からは函館市内の洋食レストランに就職する。「料理の基本はもちろん、調理師としての心構えも学べた3年間だった。いずれは自分の店を出すのが夢」と晴れやかな笑顔を見せる。(稲船優香)