2016年3月8日 (火) 掲載

◎江差で新スイーツ、新幹線観光客の呼び水に

 【江差】北海道新幹線で桧山に訪れる観光客らの呼び水にしようと、老舗菓子店「浅野屋」(本町45)を中心に官民一丸で取り組んできた、新スイーツの完成報告・試食会が7日、江差商工会で行われた。江差をはじめ桧山南部4町の厳選した食材のロールケーキで「100年後の未来を見据えながら探求心を持ち続け、まちの名物菓子に育てたい」と関係者は意気込んでいる。8日から販売される。

 浅野屋は1923(大正12)年の創業で、新商品づくりは3代目の浅野吉雄さん(66)と長男の寿夫さん(37)が3月26日の新幹線開業前に発売し、郷土の盛り上げになればと昨年6月から商工会や桧山振興局、町役場などと協力して試行錯誤を重ねてきた。

 商品名は「由蔵(よしぞう)ロール」。同店創業者の浅野由蔵氏から命名、先人に敬意を払う。主な原料は、桧山産の小麦や厚沢部の地鶏卵、乙部で採れるアカシアのハチミツ。江差出身のフレンチシェフ、藤谷圭介さんも協力し、焦がしたハチミツのほど良い甘苦さなど、郷土の味わい豊かな原料のうま味を最大限に引き出した。

 報告会で浅野さん親子は「関係機関の皆さまの多くの支えで発売にこぎつけることができた」と感謝。桧山振興局や江差信金の女性職員らと試食を楽しんだ。

 振興局職員の白田愛実さん(23)と加藤友里香さん(21)は「ハチミツの風味が良くて、桧山の食材の素晴らしさを感じた。食べ飽きないおいしさで、ぱくぱく食べられる」と笑顔だった。

 1ロール1728円。当面、同店で数量限定で販売する。問い合わせは同店(☎0139・52・0220)へ。(田中陽介)



◎テクノパーク「アサヒ」が新工場建設へ

 函館市と産業、医療機器用の制御システム設計開発を手掛ける「アサヒ」(本社・東京都江東区、宮野学社長)は7日、市内桔梗町の工業用分譲地「函館テクノパーク」の貸付契約を締結した。同社は北東北・北海道エリアの営業、製造拠点として新工場を建設。7月の完成を予定している。

 同社は、2014年にテクノパークに隣接する市産業支援センターインキュベータルームに入居。業務拡大に伴い、市は東日本大震災後に創設した制度を適用し、テクノパーク内の1区画3276平方メートルを10年間無償で貸し付けする。

 同社は鉄骨平屋425平方メートルの工場を建設。北海道新幹線開業もあり、道内と北東北の拠点と位置付ける。引き続き、市内半導体製造装置メーカー向けの受注品などの製造、本州での一部製品の移管を予定。現在、函館の従業員は7人だが、新工場稼働後の3年間で20人程度の雇用増加を見込む。

 契約締結式で工藤寿樹市長は「北海道新幹線開業で函館に注目が集まる中で契約締結は大変うれしい。函館での事業の成功と発展を願っています」とあいさつ。宮野社長は「当社の主幹たる工場となるよう努力したい。新幹線開業は営業活動の面で便利になる」とし、「高専や未来大卒業生ら、函館でも開発を担える人材を確保したい」と話した。

 市産業支援センターや道立工業技術センターに隣接するテクノパークへの新規進出に向けた契約成立は13年11月以来。分譲地は残り5区画5262平方メートルとなった。(今井正一)



◎摩周丸の功績 曲で語り継ぐ

 北海道新幹線開業を前に青函連絡船が果たした役割を思い起こしてもらう企画展「海峡が見た夢-青函連絡船から北海道新幹線へ」が開かれている函館蔦屋書店(石川町85)で6日、2014年に制作された「はこだてロマンティック・ビュー 摩周丸賛歌」のCD化を記念したミニライブがあった。

 函館市青函連絡船記念館摩周丸を運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会と同書店が企画展、ライブを主催。摩周丸賛歌は14年6月、音楽評論家の湯川れい子さんが、同記念館(若松町)のコンパス甲板から一望できる函館港の絶景を広く知ってもらおうと、同所を「はこだてロマンティック・ビュー」と命名し、「ここにふさわしい曲を作りたい」との案で制作が決まった。

 湯川さんが名誉校長を務める札幌スクールオブミュージック&ダンス専門学校の学生(当時)が楽曲制作プロジェクトを結成。同館を訪れてイメージを膨らませ、庄田拓矢さんが作った「心の宝物」が同年11月に最優秀賞となり、函館市長賞も受賞。同法人がCD化した。

 この日は庄田さん(21)、ボーカルの米川尚之さん(21)、キーボードの松井優さん(22)がライブを行い、同曲と松井さんが作った器楽曲「Dreaming~私の摩周丸」が演奏された。ロマンティックビューの壮大さと港まち函館の情景を感じさせるメロディーと歌に、来場者は聞き入っていた。

 最前列にいた「洞爺丸事件」の生存者で、摩周丸の船長を務めた市内柏木町の山田友二さん(91)は「航海当時を思い出し、感動した。連絡船を語りつぐ素晴らしい曲」と笑顔だった。現在は札幌や東京で音楽活動をしている3人は「山田さんが居たことが分かって、一層気持ちを込めて演奏できた」と話した。

 同企画展は11日まで。同CDは同記念館で発売中。(山崎純一)


◎函教大で前期合格発表

 道教育大函館校で7日、2016年度2次試験前期日程の合格発表が行われ、国際地域学科の地域協働専攻と地域教育専攻合わせて168人が喜びの春を迎えた。

 同大では午前9時、正面玄関に合格者の受験番号を貼り出した。受験生や保護者らが駆け寄って合格を確認し、写真に収めたり家族に報告したりするなどして喜びをかみしめていた。努力が報われ、涙を流す受験生の姿もあった。

 幼稚園教諭免許を取ろうと、地域教育専攻を受験した市立函館高校3年の原田綾乃さん(18)は「信じられない。4年間何事にも挑戦したいし、高校の先輩がいる軽音サークルでも頑張りたい」と満面の笑みを浮かべていた。

 同大の倍率は、地域協働専攻が1・5倍、地域教育専攻が1・3倍だった。北大は同日に札幌で発表があり、公立はこだて未来大は8日に行う。(稲船優香)