2016年4月15日 (金) 掲載

◎ガソリン平均価格、5カ月ぶり値上がり

 国際的な原油価格の上昇を受け、函館市内ガソリンスタンド(GS)での小売価格が徐々に値上がりしている。市がまとめた今月の石油製品小売価格調査によると、レギュラーガソリンの平均価格は前月比6円上昇の1リットル116・68円と、5カ月ぶりに値上がりに転じた=グラフ。今後も値上がりは考えられ、行楽で自動車を使う消費者が増える春の大型連休と重なる可能性もある。

 市内小売業者は4日から小売価格を4円上げ、14日までにフルサービスのスタンドで1リットル116円、セルフを113円で販売。別の給油所ではセルフ105・8円などで、先・今週は卸価格に大きな変動はなく横ばいを保っているが、1月下旬に100円を割り込むGSが出たことからも、値上げの傾向がうかがえる。

 価格上昇は原油価格の上昇を背景に、石油の元売り会社がGSへの卸価格を引き上げ、小売価格に反映されたため。石油情報センター(東京)によると、17日に一部産油国間で原油の増産凍結に関する会合が行われる見通しだという。合意がなされた場合、現在の供給過剰の状態から一転し「原油価格の上昇は国内GSの小売価格にも影響し、時期的にも大型連休時にさらに値上がることも考えられる」と示唆する。

 一方で石油販売業界の低価格競争は止まらず、セルフとフルの価格差を埋めて切り盛りするGSも少なくない。函館地方石油業協同組合は「マージンを削ってぎりぎりで運営しているが、例年連休中には低価格の競争が激しくなる」とし、価格の行く末は現段階では不透明だ。

 市が卸、小売を兼ねる店と小売販売店を対象に行った調査では、家庭用灯油(1リットルホームタンク用)は平均63・36円(前月比0・27円高)、軽油1リットルで同100・66円(同5・44円高)、重油1リットルで同63・9円(同0・37円高)と軒並み値上がり。

 プロパンガスは下落し、5立方メートル平均で5918・11円(同2・26円安)、10立方メートルで9640・84円(同4・58円安)だった。(蝦名達也)



◎豪華客船シーズン到来 飛鳥II、函館に寄港

 函館に寄港するクルーズ船の今季1隻目となる郵船クルーズの「飛鳥II」(5万142トン)が14日、港町埠頭(ふとう)に接岸した。乗客約550人は福岡県博多発着の9日間のクルーズの最中。北海道新幹線乗車を組み合わせたツアーや市内観光に出かけ、出港までのひとときを楽しんだ。

 JTB九州などのチャータークルーズで、10日に博多を出港し、韓国・釜山、新潟を経由して寄港した。「飛鳥II」は2006年の就航以来、函館寄港は36回目。

 岸壁での歓迎式で、片岡格副市長が「皆さんの寄港を大変光栄に思い、心から感謝します。函館の魅力を十分堪能いただきたい」とあいさつ。函館地区クルーズ振興協議会会長の小松重之道運輸局函館運輸支局長、函館港湾振興会の兵頭法史会長らが記念品を贈った。小久江尚船長は「函館はいま日本で一番熱い街。新幹線を意識したので早く着きすぎてしまい、サクラ前線を追い越してしまいました」と笑いを誘った。

 乗客向けのオプショナルツアーでは、西部地区、大沼公園の散策、湯の川温泉で入浴するコースが人気を集めた。入港時は市民団体「カムカムの会」が横断幕を持って出迎えたほか、出港時には市民有志が「いか踊り」で見送った。同船は今月27日にも寄港する。

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 JTB九州は今回、北海道新幹線乗車を組み合わせた「クルーズ&バスツアー」を企画。函館下船後、新函館北斗から新青森まで新幹線に乗車し、青森では八甲田の雪の回廊や酸ケ湯温泉を満喫。15日は陸路を移動し、同船が寄港する岩手県大船渡港で乗船し、横浜を目指す行程を組んだ。開業直後の北海道新幹線に乗車できるプランの話題性も手伝い、同社の森村朗クルーズ販売課長は「販売開始直後に70人分を完売した」と話した。

 ただ、15日は荒天が予想され、大船渡港に寄港できないリスクもあるため、実際の参加者は約25人となった。妻と参加した長崎県佐世保市の三溝卓男さん(85)は「船ばかりではなく、できたばかりの北海道新幹線に乗ってみたいと申し込んだ。旅行を楽しめるのも年を取ったおかげですよ」と、笑顔でバスに乗り込んでいった。(今井正一)



◎空き家対策で計画策定 改修や解体に補助

 函館市は、空き家対策特別措置法に基づく「市空家等対策計画」(計画期間1016~20年度)を策定した。空き家が多い西部地区と中央部地区を重点対象地区に設定。修繕で利用可能な物件の活用促進や、危険な空き家(特定空家)の解消につなげる補助制度を創設するなど総合的な対策を進め、生活環境の確保に努める。

 市は空き家対策として、14年1月に独自条例を施行し、昨年の同法施行後には条例内容を見直した。これまでに空き家のデータベース化などを進めている。市住宅課によると、同法の施行で可能となった固定資産税情報を活用し、これまで不明だった関係者が判明するケースもあった。

 また、関係者特定後は、現地の写真などと合わせて改善を図るよう文書を送付。同課は「市に連絡が来るのは半数程度だが、連絡が来なかった場所の空き家が改善された事例もある」とする。

 新たな計画の策定に合わせて、空き家の利活用を進める制度として、空き家に入居を希望する子育て世帯(中学生以下の児童がいる世帯)に改修費用の20%以内、100万円を上限に補助する。屋根や外壁改修を想定し、バリアフリー化などを進める既存の住宅リフォーム補助金との併用も可能で、本年度は5件程度の活用を見込む。

 さらに解体工事費の50%以内、30万円を上限とした補助制度も創設。20件の利用を見込み、600万円を予算化した。ともに重点地区内が対象で、5月上旬に受け付けを開始する。

 さらに、跡地の活用促進向けて「地域共有の公共空間としての活用可能性の検討」「土地活用を促進するため、建設誘導する仕組みの検討」とする今後の課題も計画に盛り込んだ。

 同課は「周囲に危険な空き家がある場合は相談をいただきたい。ただ、空き家も個人の財産で、本来は所有者による適正管理が必要。当事者意識の醸成も図り、発生の抑制につなげたい」としている。(今井正一)


◎マイナンバー通知カード 7400通受け渡しまだ

 マイナンバー制度の運用開始から3カ月以上が経過した中、函館市で個人番号を知らせる通知カード入りの簡易書類の受け渡しが思うように進んでいない。郵便局の保管期間を過ぎるなどし、市に返送された約1万5200通のうち、まだ約7400通(3月末時点)が市民の手に渡っていない状態だ。市は通知カードの保管を来年3月末まで延ばし、役所での各種手続きに必要な個人番号の確認を促している。

 市が発送した簡易書類は、市内全世帯分で約14万4000通。昨年12月から、差出人の市に返送された書類を市役所本庁舎の臨時窓口で交付しているが、受け渡しが完了したのは約7800通と、約半数にとどまる。市は道内他自治体の対応なども勘案し、保管期間を当初予定の今年3月末から、1年間延長の来年3月末までとした。

 市戸籍住民課によると、現在通知カードを受け取りに訪れるのは1日当たり10~20人ほどで、窓口開設時に比べると大幅に減っている。一方で、運用開始に合わせ、国民健康保険関係届・申請書や養護老人ホームへの入所届出書、固定資産税の申告書などの手続きの際、個人番号の記入を求めている。4月以降は重度心身障害者やひとり親家庭などの医療費助成、市営住宅の手続きでも個人番号が必要となっている。

 顔写真入りの個人番号カードについて、3月末時点で市人口の約7%に当たる1万8000人ほどから申請があった。申請者には市から交付日などを記載した通知が発送され、窓口に受け取りに行く。

 同課は「今後も各種手続きに個人番号が必要となるため、早めに受け取りにきてほしい」と呼び掛けている。(蝦名達也)