2016年4月19日 (火) 掲載

◎道南各地で強風被害 建物損壊や倒木相次ぐ

 発達した低気圧の影響で、道南は17日夜から18日午前にかけて強風に見舞われ、函館市や七飯町などで建物の屋根がはがれたり、ビニールハウスの倒壊などの被害が相次いだほか、JRやフェリーなどの公共交通機関に運休や遅れが生じた。けが人はなかった。

 函館地方気象台によると、18日午前10時までに観測した道南各地の最大瞬間風速は江差で17日午後11時17分に33・6メートルを記録。奥尻(32・4メートル)と松前(30・5メートル)は観測開始から4月では最大となった。函館は25・3メートル。

 渡島総合振興局や函館市によると、渡島管内2市5町で被害が報告された。函館市内では海岸町や西桔梗町、大縄町など広範囲でトタン屋根がはがれたり、物置が壊れるなど建物に関する被害が189件に達した。倒木や電柱損壊、漁船転覆などの被害も91件寄せられた。千代台公園では直径約70センチのポプラが根元から倒れ、市青年センター長の仙石智義さん(34)は「この付近で巨木が根元から倒れるのは近年ではなかったと思う。子どもにけががなくて良かった」と話した。

 森は住宅の屋根・トタン剥がれや灯油タンクの倒壊など25件。七飯はハウス倒壊を中心に24件の被害。知内で3件、北斗、松前、木古内でも各1件被害があった。

 桧山管内でも被害があり、桧山振興局によると、江差、上ノ国、乙部、せたなの4町で8件。上ノ国で道道の道路上に倒木、廃屋が倒壊する被害があったほか、乙部で漁船が転覆した。

 JRは17日午後8時に札幌を出発した特急スーパー北斗24号が定刻より7時間半遅れで函館に到着したほか、函館―森間の普通列車6本が運休や経由変更し、約470人の足に影響が出た。フェリーは江差と奥尻を結ぶハートランドフェリーは1往復を欠航し、約70人に影響。函館と大間、函館と青森を結ぶ津軽海峡フェリーは、大間行きが約3時間半遅れて出港したほか、青森行きを不定期運航に切り替えた。

 道道や国道合わせて5カ所で越波や道路内に入り込んだ支障物の影響で一時通行止めとなったが、いずれも18日正午ごろまで復旧。函館や森町など5市町で合わせて約2670世帯が一時停電となったが、午後6時までにすべて復旧した。(鈴木 潤、山崎大和、半澤孝平)



◎公立高、20~23年度に7、8学級減か 函館市内での再編示唆

 公立高校配置計画の策定に向け、地域の意見を聞く検討協議会が18日、渡島合同庁舎で開かれた。道教委は中学校卒業者の減少などに伴い、2019年度に函館市内で最大1学級、20~23年度には渡島学区全体でさらに7~8学級を調整する必要があるとの見通しとともに、将来的な函館市内での再編が必要との認識を示した。

 公立小・中・高校の校長や私立高校の校長、市町教委の教育長、傍聴者ら約80人が出席。道教委が配置計画の考え方などを説明した。

 昨年度策定した配置計画では「19~22年度で4~5学級の調整が必要」としていたが、道教委は20~23年度で中卒者が441人減少すると想定。特に21年度は178人、23年度は158人と大幅に減る見込みで、「これまでの定員調整の状況や欠員の状況を考慮し、定員調整の検討が必要」としている。

 また、現在3学級の函館稜北と七飯、来年度から3学級になる函館西について、「望ましい学級数維持と教育環境の向上という点から、函館市内での再編が必要だと考えている。七飯は町内で1校ということを勘案する必要がある」と言及した。

 出席者からは地域キャンパス校の在り方や北斗市内の再編、障害のある生徒が普通高校に通えるようにする配慮などについて意見が上がった。

 本年度は、昨年度策定した18年度までの計画に19年度を加えた3年間の計画を定める。計画案は6月に公表され、2回目の協議会を経て計画が策定される。(稲船優香)



◎グリーンプラザを回遊拠点に 計画策定事業者公募

 函館市は、函館駅前・大門地区の回遊性向上につなげるため、「はこだてグリーンプラザ」(松風町)の整備に着手する。整備基本計画策定業務を担う事業者をプロポーザル方式で公募。地域のイベントや活動拠点として、市民や観光客が足を運びやすい空間づくりを進める。

 2012年度に策定した駅前・大門地区の整備方針「中心市街地トータルデザイン」の考え方などを反映させ、現在整備中の駅前通との連続性を確保する。

 グリーンプラザは若松広路側から市役所方向にA、B、Cの3ブロックで、計4236平方メートル。毎年多くの人出でにぎわう「はこだて花と緑のフェスティバル」や「はこだてグルメサーカス」などのイベント会場としての利用や、函館港まつり開催時には出店が並ぶ。

 市はブロックごとの整備の方向性をまとめ、Aブロックには花と緑に包まれた空間の演出、多目的利用可能な倉庫「マチ庫」、トイレの整備を求める。イベント時にメーン会場として利用される機会が多いBブロックはグリーンプラザの象徴的空間とし、ステージ、電源、給排水設備を設置。Cブロックには水辺やトイレを設ける。

 市経済部中心市街地再生担当は「市民や観光客が集まりやすい場所として整備することで、周辺の店舗への波及も期待している」とする。

 委託上限額は496万円。5月2日までに参加申込書を提出し、同30日までに応募書類を提出。6月に審査を行い、最適提案者を決定。正式契約後、来年1月末までに素案をまとめ、本年度中の成案化を目指す。17年度以降、設計や工事を進める考え。問い合わせは同担当(☎0138・21・3988)へ。(今井正一)


◎函館太洋倶楽部創設110周年 道南野球盛り上げに意欲

 現存する野球のクラブチームとして国内最古の歴史を持つ、函館太洋(オーシャン)倶楽部」(辻見典之監督)が、今年で創設110周年の節目を迎える。記念大会の実施や少年野球との連係を図るなどし、道南の野球をさらに盛り上げる考えだ。辻見監督は「脈々と続いてきた伝統を絶やすことなく受け継ぎ、少しでも地元に還元できれば」と意欲を燃やす。

 同クラブは1907(明治40)年に創設された。北洋漁業が盛んだった大正後期から昭和初期には青森・岩手で育ったスーパースター、久慈次郎(1898―1939年)が選手として活躍するなど黄金期を誇った。平成初期の約40人をピークに選手の減少は続いているが、全国大会を3度経験している強豪チームだ。

 現在は30代の選手を中心に18~40代の28人が在籍。社会人が多いことから、全員が練習や大会にそろうことは少ないというが、就任3年目の辻見監督や高田茂樹コーチ、三井覚マネジャーのほか、2枚看板の吉田剛、奥山翔一両投手らが中心となって各種大会で勝ち星を挙げてきた。

 17日は函大との今季初のオープン戦に臨み、昨年9月以来となるグラウンドの感触を確かめた。ここ数年は道南に働き口がなく若手選手の確保に苦慮しているが、今年は高校野球などで活躍した4人が新加入し、明るい話題となった。企業の理解が不可欠なことから三井マネジャーらが必要に応じて選手の勤務先に出向き、活動について説明をするという。三井マネジャーは「理解なくしては続けられないが、本当に良くしてくれる企業ばかり」と感謝する。

 少子化や競技数の増加などが影響して野球に取り組む子どもが圧倒的に少なくなり、道南からは久しく甲子園出場の機会が減っている。同クラブはこの現状を憂慮し、4月から函館北リトルシニア(竹田謙治監督)と連携を図ることを決めた。今後も要請があれば拡大する考えで、同チームは「情報共有やお互いの良さを引き出し合えれば」とする。

 10月には道内・東北圏のチームが会する第1回道・東北地区交流クラブ選手権大会を記念大会として誘致した。今後も活動の幅を広げる予定で、辻見監督は「110周年を契機に道南の野球チームが一丸となって盛り上げられる活動ができれば」と願っている。(小杉貴洋)