2016年4月2日 (土) 掲載

◎ガールズケイリン選手育成プロジェクト結団式

 函館市と市営函館競輪の包括委託事業者・日本トーター、日本競輪選手会北海道支部(俵信之支部長)がガールズケイリン選手の育成に向けた「ホワイトガールズプロジェクト」が1日に函館競輪場で結団式を行い、本格始動した。函館出身の伊藤のぞみさん(28)と三尾那央子さん(28)、紋別市出身の寺井えりかさん(23)の3人が第1期訓練生となり、今秋実施の日本競輪学校(静岡県)入学試験への合格を目指して、トレーニングを開始した。

 函館競輪場では2014年からガールズケイリンを50年ぶりに復活させて人気を集めている。約80人の登録選手のうち、道内出身者はいるものの北海道を登録地とする選手はいないため、初の登録選手誕生と自転車競技の普及・発展を目的にプロジェクトを立ち上げた。

 伊藤さんは、市内の眼科で看護師として勤務。「体を動かすことが大好き」といい、卓球や陸上、テニス、社会人になってからも函館ハーフマラソンを毎年走るなど、スポーツ歴は豊富だ。

 「これまでは観戦する側だったが、ガールズで興味を持った。初心者なので少しずつ慣れて頑張りたい」と抱負。周囲の後押しを得て看護師の仕事も続けながら、朝夕の練習に精力を傾けていく。

 三尾さんは、道教大函館卒。「1年ほど前から競輪場に遊びに行く機会が増え、話を聞くうちにやってみたいと思った。20代最後の挑戦です」と力を込める。

 身長165センチの長身で、これまでロードバイクの経験を持っている。「自転車には乗っていたが趣味の範囲は出ておらず、持久力や筋力に課題があると感じている。訓練を通して持久力をつけていきたい」と意気込んでいる。

 寺井さんは東海大卒。3歳からスキーを始め、大学まで選手として活動してきたが、アルペンスキーの恩師から「競輪に向いている足」と言われたことが契機となり、「やるなら日本一を目指したい」と応募した。

 昨年からトレーニングを始め、競輪学校も受験した。「2回目は絶対に落ちることはできない。昨年以上に練習し『絶対プロになってやる』という気持ち」と、思いは人一倍強い。

 結団式の後、メカニック担当者とともに自転車のサドルのサイズや、ペダルに合わせて靴に付いている金具を調節するなどし、午後からはバンクを使って早速練習に励んだ。3人は俵支部長やOBの大森芳明さんらの指導を受けながら、強風の中を疾走。伊藤さん、三尾さんは昨年11月以来ぶりのバンク走行といい、「トレーニングはしていたが、やっぱりバンク上は難しい。これからどんどん練習メニューをこなしたい」と意欲。寺井さんも「応援してくれる人たちのためにも課題を修正して絶対受かりたい」と前を向いた。

 練生は俵支部長ら現役選手、OBの指導を受けてトレーニングに打ち込み、10月以降の入試に備える。合格すれば17年5月入校の114回生(女子7期)として、約1年間競輪選手に必要な技術を身につける。選手資格を取得後、18年夏にもデビューする。

 俵支部長によると、ガールズ選手が登録のない都道府県は北海道など2つしかないといい、函館をホームとする選手を生み出すことが至上命題。俵支部長は「自場開催がない時にできるだけ多くの時間をつくって練習していきたい」とし、「競輪場の入場者が少ないので選手たちの知人らも含め、足を運ぶことにもつながるのでは」と、ファン層の拡大に期待を寄せている。(千葉卓陽、小杉貴洋)



◎天津線開設1年 利用率9割超の高水準

 函館と中国・天津を結ぶ天津航空の定期路線が3月31日、開設1周年を迎えた。利用率は90%以上を維持し、路線開設以降、ほぼ満席状態での運航が続いている。この日の到着便の利用者は5割程度の92人とやや少なかったが、出発便には多くの土産品を手にした人が搭乗し、道内観光を終えて帰路に就いた。

 同路線は2014年11月に定期チャーター便として運航が始まり、15年3月31日から定期便化した。使用機材は180人乗りのエアバスA320で、毎週火、木曜日の週2往復している。市港湾空港部によると、就航から昨年末までの往復の利用者は2万6799人(利用率94・1%)。今年1月は2781人(同97・6%)、2月は2778人(同97・5%)とほぼ満席に近い運航状況が続いている。

 函館と中国本土を結ぶ他の路線の利用率は、中国国際航空の北京線が5割程度、昨年12月就航の中国東方航空の杭州線は6~7割程度で推移。天津線の利用率は北京、杭州線を大きく上回り、同部は「驚異的に高い数字だ」とする。

 1周年となった31日は市や空港ビルデング職員が歓迎の横断幕を持って、観光パンフやイカの珍味を配布した。旅行代理店関係者の男性によると、この日出迎えたツアー客は5泊6日で函館や大沼、ニセコ、札幌などを回り、4月5日に函館から現地に帰るという。男性は「食べ物ならカニが人気。お土産には馬油やオルゴールを買う人が多い」と話していた。

 同社日本支社(大阪)は「利用客の8~9割がツアーの団体客」とし、天津ばかりではなく、北京や周辺都市の広域から集客を図るよう旅行商品が売られているという。今後の増便については「機材繰りや地上業務の関係など条件が合致しないと実現できない」とした。

 さらに、中国民用航空局に路線計画を申請している天津-青森線の開設時期について「めどは立っていない。現時点で未定」とする一方で、「(路線が開設すれば)函館と青森を新幹線やフェリーで結ぶ商品も造られるだろう」としている。(今井正一)



◎団体の垣根越え新組織

 函館を中心とした道南にある、はり・きゅう・マッサージ業界の関係者が新組織「函館鍼灸マッサージ師連携会」を3日に立ち上げる。地域包括ケアシステムの導入を見据え、業界として地域の医療・介護分野との連携を模索するための新組織で、函館にある3つの団体の垣根を越えた取り組みを進める。発起人代表の益井基さん(54)と臼井登さん(50)は「地域の医療資源の一端を担う団体として、同業者同士の連携、他の業種との交流を深めていきたい」としている。

 函館には、はり師などの国家資格有資格者による業界団体として、北海道鍼灸マッサージ柔整協同組合函館支部(益井支部長)、函館鍼灸マッサージ師会(宍戸尚会長)、函館鍼灸師会(中川晋会長)の3団体があり、団体に属さない有資格者も多い。各団体は、全国、全道規模の上部組織も異なり、これまで同業者でありながら横のつながりや目立った交流はなかった。

 一方、函館市では、地域包括ケアシステムの導入に向けて、昨年、医療・介護連携推進協議会を立ち上げて、医療・介護分野の各団体が議論を開始。地域の医療資源の一つとして、同協議会の参画を目指す中で、業界としての窓口を一本化する必要があると分かり、昨年から連携の在り方を模索してきた。各団体の垣根を越えた連携組織構築は「おそらく全国初」とし、個人の有資格者にも参加を呼び掛けて、設立総会を開くことが決まった。

 益井さんは「横のつながりだけではなく、医療、介護の各団体との連携も深めていきたい。地域の人たちの健康を担う使命を持つわれわれにとって、在宅医療・介護の方向性は得意分野でもある。業界の資質向上に努めていく」としている。

 設立総会後の3日午後1時から、市中央図書館で発足記念講習会を開催。函館おしま病院の福徳雅章院長、函館薬剤師会の熊川雅樹会長、道教育大学保健管理センターの羽賀将衛センター長が講演、講習会の講師を務める。入場無料。希望者は直接会場へ。(今井正一)


◎市社協、成年後見センター開設

 認知症などで判断能力が不十分な人の権利、財産を守る成年後見制度の専門的な業務を担う「函館市成年後見センター」が1日、市社会福祉協議会(奥野秀雄会長)内に新設され、開所式が行われた。

 同センターは同制度に関する相談や普及・啓発のほか、市民後見人の育成・支援などを行う。市社協が昨年9月、市から事業を受託し、準備を進めてきた。

 式で奥野会長は「市民に必要とされ、喜ばれるセンターになるよう運営していく」とあいさつ。その後、市保健福祉部の大泉潤次長と奥野会長が入り口に看板を掛けた。

 所在地は市総合福祉センター2階(若松町33)。体制は阿知波健一事業部長がセンター長を兼務するほか、社会福祉士の資格を持つ職員2人と事務員1人が常勤して相談業務などに当たる。

 通常の業務と並行しながら、今後は制度利用者を支援する市民後見人の選任、登録の仕組みづくりを進めていく。

 開業時間は午前9時~午後5時。土曜、日曜、祝日休業。☎0138・23・2600。(鈴木 潤)