2016年4月20日 (水) 掲載

◎新幹線に爆破予告 一時運転見合わせ

 19日午後0時53分ごろ、JR北海道のコールセンター(札幌)に、同0時44分新函館北斗駅東京行き北海道新幹線「はやぶさ22号」(10両編成)に「爆破物を仕掛けた」と男の声で電話があった。はやぶさ22号は青函トンネルに入る直前で停車し、乗務員らが車内外を点検、約1時間後に安全確認が取れて同2時2分に運転を再開した。乗客乗員389人にけがはなかったが、上り3本に最大96分の遅れが出て計約1000人に影響したほか、青函トンネル工事関係者らを招待した特別列車の運行が取りやめになった。

 同社によると、不審電話は新函館北斗駅に着信し、コールセンターに転送されてきた。これを受けて、はやぶさ22号は青函トンネル前の湯の里知内信号場(知内町)に停まり、不審物の確認作業が行われた。いたずらの可能性が高く、道警が威力業務妨害の疑いで調べている。関係者によると、「JR北海道の経営に対する不満を持った男が犯行に及んだ可能性が高い」としている。

 青函トンネル工事関係者らが招待された特別列車は、新函館北斗―新青森間で運行予定だったが急きょ中止に。特別列車の発着が通常列車の運行に影響するためで、今後の開催の有無については検討中という。

 木古内駅で特別列車を待った70代の女性は「開業から日も浅いのに、このようないたずらがあって悲しい」。青函トンネルの掘削工事に従事した福島町の角谷敏雄さん(81)は「道南各地から仲間が十数人集まれる機会だっただけに、とても残念」と肩を落した。3年前に他界した工事現場の上司、南島栄さんの遺影を手に訪れた太田賢一さん(80)は「次に乗る時がきたら、また南島親分を連れて一緒にトンネルをくぐるよ」と話した。

 新函館北斗駅で東京行きの新幹線を待っていた70代の女性は「いたずら電話だと思うと腹立たしい」。友人の60代女性も「朝市で買った海鮮物を宅配便で送ったが、新幹線の遅れで受け取れなくなった」と困惑していた。  



◎青函航路 トラック減少

 道運輸局函館運輸支局は、2015年度の青函航路フェリー3社の輸送実績をまとめた。トラックは前年度比4%減の24万3977台で、07年度以降最低の水準にとどまった。旅客は微増の55万8425人で、各社は3月の北海道新幹線開業を好機ととらえ、運賃の安さを売りに営業を強化し、需要増を狙う考えだ。

 (山田大輔)

 調査対象は津軽海峡フェリー、青函フェリーを共同運航する共栄運輸と北日本海運の3社。

 トラックは2年連続の減少。荷動きが鈍いことに加え、ドライバーの長時間勤務に対する罰則が14年に強化されたことが要因で、同支局は「青函のような短距離航路を控え、苫小牧発着の長距離フェリーに輸送ルートを変更する傾向がある」と分析する。

 車両はこのほか、乗用車が同12%増の11万52台、バスが同11%増の733台だった。

 旅客は2年ぶりの増加。北海道新幹線開業に伴う設備切り替え工事で、JRの津軽海峡線が数日間運休となり、振り替え輸送などで需要が伸びた。内訳は、自動車を利用しない一般旅客が同2%減の11万1445人、航走旅客が同1%増の44万6980人。

 本年度の見通しについて、津軽海峡フェリー青森営業所の担当者は「新幹線開業で鉄道運賃が値上がりになった。青函圏の旅行需要が増える中、安さを選択してフェリーを利用する客も増える」とみる。新函館北斗―新青森間の新幹線料金が最安値で4350円なのに対し、フェリーは2000円前後から乗船可能で、学生などには魅力的な料金だ。

 共栄運輸の桜井耕志営業部長は「新幹線とフェリーを組み合わせた旅行商品も続々と企画されている。効果的なPR方法を考え、新幹線との相乗効果を狙いたい」としている。(山田大輔)



◎北斗星2両目も保存へ

 【北斗】市民有志でつくる「『北斗の星に願いを』推進委員会」(澤田導俊代表)が、廃止された寝台特急「北斗星」の客車を北斗市内に保存する計画で、クラウドファンディング(ネット上で賛同者から資金を集める仕組み)で寄せられた金額が第2目標の1250万円に達した。これで2両分の移設費用が確保でき、プロジェクトの成功に弾みが付いた。

 澤田代表(36)=澤田米穀店専務取締役=によると、18日正午ごろ、1250万円に到達。16日には当初の目標だった1000万円をクリアしており、わずか2日間で250万円が集まった形だ。第3目標を1600万円に設定、3月28日に開始したクラウドファンディングを27日午後11時に締め切る。

 2両目となるロビー室とB個室ソロの合造車は、JR北海道が所有するオリジナル車両で、ファンの人気が高く、保存に向けた強い思いが支援につながったとみられる。1両目は開放型B寝台車の移設が決まっている。

 設置場所は旧茂辺地中学校グラウンドで、資料館やカフェとして活用し、将来的に宿泊施設の利用も検討する。澤田代表は21日、札幌で輸送や譲渡についてJR北海道などと打ち合わせし、夜に茂辺地の住民向けに説明会を開く。

 車両は6月に移設予定で、8月にセレモニーを開催したい意向だ。澤田代表は「車両を守るため、北斗に移設、保存するという目標は達成された。今後は維持管理費をねん出するため、知恵を絞りたい」と話している。(山崎大和)


◎昨年度の児童館利用9984人増

 函館市内にある児童館計27館の2015年度の利用者数(高校生まで、速報値)は、前年度比9984人増の延べ21万9384人だった。昨年4月から学童保育所が入居した亀田港や、同時期に指定管理者制度の導入を開始した美原、神山などの実績が全体を押し上げた。

 年代別では小学1~3年生が10万85人で最も多く、次いで同4~6年が7万8775人と、小学生が全体の8割以上を占めた。幼児は2万4497人だったほか、中学生1万3652人、高校生2375人と、小学校高学年以降、年齢が上がるにつれ少なくなっている。

 最多だった亀田港は前年度比1万324人増の1万8985人。同様に館内に学童保育所を設けるのは、桔梗福祉交流センターと赤川の2館があり、放課後の児童の預かりと安全な遊び場の提供を両立させている。

 昨年度から、民間のノウハウを生かした魅力アップを狙い、モデルとして美原、神山、昭和の3館で指定管理者制度を導入。昭和は児童館と小学校の行事が多く重なり利用は減少した。ただ3館の指定管理者の学校法人野又学園は、運営する他教育施設と連携したイベントや館外活動など独自の活動を展開し、神山は約950人、美原で2700人ほど増えるなど、効果があらわれたといえる。

 ただ各館の利用は小学校区などでばらつきがあるほか、少子化などの影響から利用が減少した施設もある。また半数以上で建物の老朽化が著しく見られ、市次世代育成課は「地域とともにある施設であることからも、今後補修などをどうしていくかが大きな課題」とする。

 各館では子どもが好奇心を持って参加できるような行事を開催するなど、趣向を凝らして児童館の利用につなげている。同課は「児童館は子どものいじめや虐待を早期に発見する場として期待できるほか、子育て支援にもつながる。もっと児童館が楽しい場所だと知ってもらい、遊びに来てほしい」と利用を呼び掛けている。(蝦名達也)